#0287) ON THROUGH THE NIGHT / DEF LEPPARD 【1980年リリース】

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1980年代初頭に英国で興ったNew Wave Of British Heavy Metal(以下、NWOBHM)の四天王はIRON MAIDEN〔アイアン・メイデン〕、DEF LEPPARDデフ・レパード〕、GIRL〔ガール〕、WILD HORSES〔ワイルド・ホーシズ〕ということになっているらしい。


しかし、NWOBHMの四天王は後に登場するスラッシュ・メタルの四天王であるMETALLICAメタリカ〕、MEGADETHメガデス〕、SLAYER〔スレイヤー〕、ANTHRAXアンスラックス〕のように世界的に認知されているものではなく、日本の洋楽雑誌が考案したものらしい。


そもそもNWOBHMとは、1970年代後半に英国で勃発したパンク・ムーヴメントにより、オールド・ウェイヴと呼ばれ、古くてダサいロックとされてしまったハード・ロック復権を目指したムーヴメントであり、ここから出てきたバンドの音楽性に何らかの共通項があるわけではない。


NWOBHMはロックの歴史上、極めて重要なムーヴメントであり、これがあったからこそハード・ロック/ヘヴィ・メタルが死滅することなく、1980年代中期から後期にかけてのメタル・バブルが花開くことになったのである。


さて、今回はNWOBHM出身アーティストとしては破格の商業的成功を収めたバンド、DEF LEPPARDの1stアルバム「ON THROUGH THE NIGHT」を取り上げてみる。


筆者が初めて聴いたDEF LEPPARDのアルバムは「ON THROUGH THE NIGHT」ではなく、3rdアルバム「PYROMANIA」なのだが、「PYROMANIA」を聴いた時は、メタルでありながらそのあまりにも聴き易い音楽性に大きな衝撃をうけたものである。


当然のことながらこの「PYROMANIA」を切っ掛けとしてDEF LEPPARDに興味を持った筆者は彼らのディスコグラフィを追いかけるべく、1stアルバム「ON THROUGH THE NIGHT」に手を出したわけだが、DEF LEPPARDというバンドの音楽性はこの1stアルバムの時点で、ほぼ完成されていたことに更なる衝撃を受けたのである。


「ON THROUGH THE NIGHT」は「PYROMANIA」に比べると演奏に少々荒っぽさがあるものの、メロディアスなヴォーカル、流麗なコーラス・ワーク、巧みなギター・ソロ等、米国で売れる要素がギッシリと詰まっている。


ポップ・メタルとしての大衆性を前面に出しながらも、ヘヴィ・メタルとしての鋭いエッジも残されており、もしこのバンドが売れなかったら運が悪かったとしか言いようがない。


後にBON JOVIボン・ジョヴィ〕やEUROPE〔ヨーロッパ〕がポップ・メタルとして大きな成功を手にするが、DEF LEPPARDはこの1stアルバムの時点で既にその手法を完成させていたのである。