所謂ポストパンクやニュー・ウェイヴというジャンルにおいて、ECHO & THE BUNNYMEN〔エコー&ザ・バニーメン〕の現在での評価とは如何ほどのものなのだろう?
彼らが最も盛んに活動していた1980年代前半と、現在とでは、その評価に大きな差があるのではないだろうか?
同じ時代に人気を得ていたTHE CURE〔ザ・キュアー〕やNEW ORDER〔ニュー・オーダー〕ほどの評価をECHO & THE BUNNYMENは得ていないような気がする。
その原因は、たぶん、バンドの顔であるシンガーのIan McCulloch〔イアン・マッカロク〕が中途半端なタイミングでバンドを脱退し、尻切れトンボのような感じで急激に勢いを失速させたからではないだろうか?
ドラマーのPete de Freitas〔ピート・デ・フレイタス〕がバイク事故により27歳という若さで亡くなってしまったことも、このバンドに暗い影を落としている。
筆者にとってのECHO & THE BUNNYMENはどのような存在なのかと言うと、THE CUREやNEW ORDERよりは聴いていたが、THE PSYCHEDELIC FURS〔ザ・サイケデリック・ファーズ〕やSIMPLE MINDS〔シンプル・マインズ〕ほどは聴いていないバンドだ。
ECHO & THE BUNNYMENは最高傑作となるアルバムを選ぶのが難しいバンドでもある。
それでもあえて選ぶなら2ndアルバムの「HEAVEN UP HERE」か3rdアルバムの「PORCUPINE」あたりが妥当なのだろう。
少なくとも今回取り上げている5thアルバムの「ECHO & THE BUNNYMEN」ではないはずだ。
しかし、筆者が個人的に彼らの最高傑作を選ぶなら迷うことなく「ECHO & THE BUNNYMEN」を選ぶ。
何故なら、このアルバムが彼らのアルバムの中で最も音楽的であり、安心して聴けるアルバムだからだ。
前作となる4thアルバム「OCEAN RAIN」からその傾向はあったが、この「ECHO & THE BUNNYMEN」で彼らの音楽的才能が完全に開花した。
正直なところ、初期の彼らのアルバム(1st~3rd)にはヒリヒリとした緊張感が有り過ぎて、アルバム1枚を丸ごと聴き続けるには少々しんどい部分がある。
ECHO & THE BUNNYMENを今から聴いてみたいという人には、この5thアルバム「ECHO & THE BUNNYMEN」から1stアルバム「CROCODILES」に遡りながら聴くことをお薦めしたい。