やっぱりPaul Rodgers〔ポール・ロジャース〕やな。
今回取り上げているBAD COMPANY〔バッド・カンパニー〕の1stアルバム「BAD COMPANY」を聴いて、いつも辿り着く答えがそれだ。
このアルバムに出会ったのは高1の頃(1980年代中期)だったと記憶している。
学生時代によく行っていたレコード屋の店員さん(元バンドマンで後にホテルマンになった10歳以上年上の人)が「勉強しぃ」と言って、ある日突然50枚以上のレコードを貸してくれたことがあったのだが、その中の1枚がこのアルバムだった。
このアルバムはブルース・ロック的なテイストはあるものの、メロディがキャッチーでアリーナ・ロック的なスケールの大きさがあり、いかにも1970年代の米国で売れそうな音だ。
BAD COMPANYとは、元FREE〔フリー〕のPaul Rodgers(vocals)とSimon Kirke〔サイモン・カーク〕(drums)、元MOTT THE HOOPLE〔モット・ザ・フープル〕のMick Ralphs〔ミック・ラルフス〕(guitar)、元KING CRIMSON〔キング・クリムゾン〕のBoz Burrell〔ボズ・バレル〕により結成された所謂スーパーグループであり、確かな技術と曲作りの上手さが際立つ1970年代における英国の名バンドだ。
筆者にとっての3大ヴォーカリストとは、SMALL FACES〔スモール・フェイセス〕~HUMBLE PIE〔ハンブル・パイ〕のSteve Marriott〔スティーヴ・マリオット〕、THE JEFF BECK GROUP〔ザ・ジェフ・ベック・グループ〕~FACES〔フェイセス〕のRod Stewart〔ロッド・スチュワート〕、そして、FREE~BAD COMPANYのPaul Rodgersなのだが、この中で最も安定感があり万人受けする上手い歌を聴かせてくれるのがPaul Rodgersだと思っている。
Mick Ralphsは「自分の書いた曲はPaul Rodgersのような人に歌ってほしかった」と言ったらしいのだが、その思いがこのアルバムでは現実のものとなり、Mick RalphsがMOTT THE HOOPLE時代に書いた"Ready for Love"もこのアルバムに収録されている。
それほどPaul Rodgersというヴォーカリストのスキルは高く、同業者からの信頼も篤い。
LED ZEPPELIN〔レッド・ツェッペリン〕のRobert Plant〔ロバート・プラント〕は、Jimmy Page〔ジミー・ペイジ〕がWHITESNAKE〔ホワイトスネイク〕のDavid Coverdale〔デイヴィッド・カヴァデール〕と組んだ時は悪態を吐いていたが、Paul RodgersとTHE FIRM〔ザ・ファーム〕を結成した時は何も言っていなかったと記憶している。
「BAD COMPANY」というアルバムは、そんなPaul Rodgersという稀代のヴォーカリストのスキルが最も商業的成功と結びついた名盤中の名盤なのだ。