MUDHONEY〔マッドハニー〕はグランジの始祖のような呼ばれ方をするバンドだが、本当にそうなのだろうか?
NIRVANA〔ニルヴァーナ〕の「NEVERMIND」がリリースされたのが1991年であり、この年をグランジ元年とするなら、MUDHONEYは1988年結成なので、それほどの古参バンドではないように思える。
ただし、MUDHONEYのMark Arm〔マーク・アーム〕(vocals & guitar)とSteve Turner〔スティーヴ・ターナー〕(guitar)は、PEARL JAM〔パール・ジャム〕のJeff Ament〔ジェフ・アメン〕(bass)、Stone Gossard〔ストーン・ゴッサード〕(guitar)と共に1984年からGREEN RIVER〔グリーン・リヴァー〕をやっているので、シアトル界隈のミュージシャンとして古参である。
MUDHONEYが凄いなと思うのは、NIRVANA、ALICE IN CHAINS〔アリス・イン・チェインズ〕、SOUNDGARDEN〔サウンドガーデン〕といったシアトル・グランジにおける大物バンドのフロントマン達が次々に命を落として解散や活動停止になっていく中、現在でも元気にバンド活動を継続させていることだ。
アントニオ猪木ではないが、やはり「元気があれば何でもできる」のである。
MUDHONEYは上記したシアトル・グランジの大物バンドほど売れなかったわけだが、それが逆に良かったのだろう。
彼等は当時からグランジ・ムーヴメントの喧騒を冷めた目で見ていた感があり、マイペースに活動をしていた。
音楽的にもグランジというよりは、ロックン・ロール、或いは、ガレージ・ロックと言った方が合っている。
同期のグランジ・バンドの名前を挙げるより、MC5〔エム・シィー・ファイヴ〕、THE STOOGES〔ザ・ストゥージズ〕、MOTÖRHEAD〔モーターヘッド〕、THE DAMNED〔ザ・ダムド〕といった1960年代~1970年代のバンドの名前を挙げて説明した方が彼らの音楽性を伝え易いのである。
筆者にとって、そんな彼らの最高傑作アルバムは2ndアルバム「EVERY GOOD BOY DESERVES FUDGE」だ。
リリース当時にリアルタイムで聴いて、その後、これまでに相当な回数を聴いたアルバムだが、未だに色褪せないロックン・ロール、或いは、ガレージ・ロックの名盤である。
最近ではアルバムの邦題を見なくなって久しいが、このアルバムには「良い子にファッジ」という邦題が付いており、このとぼけた邦題もMUDHONEYらしくて良いのである。