今回取り上げているG. LOVE & SPECIAL SAUCE〔G・ラヴ&スペシャル・ソース〕の1stアルバム「G. LOVE & SPECIAL SAUCE」は1994年のリリースだ。
同じ年にはBeck〔ベック〕のメジャー第1弾アルバム「MELLOW GOLD」がリリースされている。
当時、Beckは注目のアーティストとしてrockin'on やCROSSBEAT等の洋楽雑誌で大きく取り上げられていて、筆者は「MELLOW GOLD」を買おうか、買うまいかを1ヶ月ほど悩んでいた。
結局、「MELLOW GOLD」を買うことに決めたのだが、同時に何となくアルバム・カヴァーがカッコ良かったこともあって、気になっていた「G. LOVE & SPECIAL SAUCE」も一緒に買うことにした。
買ってきた上記2枚のアルバムのうち、先ずはBeckの「MELLOW GOLD」から聴き始めたのだが、確かにヒット曲"Loser"の良さはもちろんのこと、エクスペリメンタルでローファイなこのアルバムからは新世代によるオルタナティヴ・ロックの新しい息吹を感じることが出来た。
そして、次は当然のことながら「G. LOVE & SPECIAL SAUCE」を聴くことになるわけだが、このアルバムのカッコ良さに、さっき聴いたばかりの「MELLOW GOLD」が霞んでしまったのである。
「G. LOVE & SPECIAL SAUCE」は、そのアルバム・カヴァーのセンスの良さに「これは何かありそうだ」と直感的に感じていたのだが、その時はそれが見事なまでに的中した。
1曲目の"The Things That I Used to Do"からG. Loveのブルージーで軽やかなギターに持っていかれるのだが、Jimmie Prescott〔ジミー・プレスコット〕のベースとJeffrey Clemens〔ジェフリー・クレメンズ〕が奏でるジャジーで達者なリズムが素晴らしいグルーヴを生み出しているのだ。
筆者としては、一緒に買った「MELLOW GOLD」よりも「G. LOVE & SPECIAL SAUCE」の方にロックン・ロールを感じてしまい、「MELLOW GOLD」を効く回数が日に日に減っていくのと反比例する形で「G. LOVE & SPECIAL SAUCE」ばかりを聴くようになっていた。
「G. LOVE & SPECIAL SAUCE」をWikipediaで調べるとオルタナティヴ・ヒップ・ホップと書かれている。
確かにオルタナティヴ・ヒップ・ホップと言われればそうなのだが、筆者はこのバンドのことをブルース・バンドだと思っている。
理想的な3ピースのブルース・バンドであり、非常に美しい正三角形が描かれているのだ。
このバンドはサーフ・ミュージック・シーンの代表という側面もあるらしいのだが、それについては、筆者はよく分かっていない。