Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0327) THE YEARS OF DECAY / OVERKILL 【1989年リリース】

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米国産スラッシュ・メタルと言えばMETALLICAメタリカ〕、MEGADETHメガデス〕、SLAYER〔スレイヤー〕、ANTHRAXアンスラックス〕というスラッシュ・メタル四天王の存在が絶大である。


しかし、実はこの四天王は、SLAYER以外は意外と早くスラッシュ・メタルから離れた。


筆者はMEGADETHANTHRAXに関してはその音楽性の変化に違和感を覚えることなく着いていけたのだが、METALLICAに関しては4thアルバムの「...AND JUSTICE FOR ALL」に違和感を覚え、5thアルバムの「METALLICA」で一旦持ち直したのだが「LOAD」以降は一応アルバムを買うものの果敢に新しい音楽に挑戦する彼らに着いていけなくなった。


そうなると、大抵のロック・ファンは、好きだったバンドの不在を埋めてくれる新しいバンドを探すことになる。


米国産スラッシュ・メタルには四天王より後に登場した第2世代と呼ばれるバンドがあり、NUCLEAR ASSAULT〔ニュークリア・アソルト〕、TESTAMENT〔テスタメント〕、DEATH ANGEL〔デス・エンジェル〕、ANNIHILATOR〔アナイアレイター〕等がそれにあたり、バンド名を挙げていくとキリがないのだが、今回取り上げているOVERKILL〔オーヴァーキル〕も第2世代の代表的なバンドだ。


ちなみにEXODUS〔エクソダス〕も第2世代に入れられることがあるのだが、彼らの場合は1stアルバムのリリースが遅かっただけで、バンドとしてのキャリアは四天王と同じである。


筆者はこの第2世代のアルバムも新作がリリースされる度にアホの如く買っていたのだが、正直、四天王ほど熱心には聴いていなかった。


ところが現金なもので、METALLICAが不在となり、四天王が少しずつ変わり始めると、第2世代に俄然魅力を感じ始めるのである。


中でも、今回取り上げているOVERKILLの4thアルバム「THE YEARS OF DECAY」はかなり聴き込んだアルバムであり私的スラッシュ・メタルの大名盤だ。


第2世代を真剣に聴き始めた頃、「もしかすると四天王よりも第2世代の方が、スラッシュ・メタルらしいのでは?」と感じ始めた。


四天王と比べると第2世代は洗練されていないバンドが多いのだが、そこが良いのである。


この「THE YEARS OF DECAY」は初期OVERKILLのパワー・メタル的な要素を残しつつ、スラッシュ・メタルらしい切れ味の鋭い1枚であり、改めてこのアルバムを聴き直した時に、自分がスラッシュ・メタル・バンドに求めるものは「...AND JUSTICE FOR ALL」ではなく、この「THE YEARS OF DECAY」だと明確に気付かされたのである。