今回は番外編として1992年に米国で制作された映画『シングルス』(原題:Singles)のサウンドトラック・アルバム「Singles: Original Motion Picture Soundtrack」を取り上げてみる。
サウンドトラック・アルバムを取り上げておいて、こんなことを言うのは気が引けるのだが、筆者は映画への関心が殆ど無い人間だ。
ロックを聴いている人には映画好きの人が多いような気がするが、筆者はむしろ映画も含めてお芝居全般が苦手な方である。
2020年7月現在で満50歳の筆者だが、人生で映画館に行った回数は、数えたわけではないが、たぶん20回に満たないのではないだろうか?
しかも、自分で「この映画が観たい」と思って映画館に行ったことは一度もなく、全てはその映画が観たいと言う連れ(殆どはその時付き合っていた彼女)のお供である。
そして、映画が始まると5~10分くらいで寝てしまうのである。
『マトリックス』に至っては本編が始まって30秒くらいで寝てしまった。
最後まで観続けることができた映画は高校生の時に一つ年上の彼女と観に行った『ビー・バップ・ハイスクール』だけだと思う。
何故、映画が苦手なのかと言うと、これは映画好きの方からお叱りを受けると思うのだが、筆者にとって映画というものがストーリーではなく、「これは脚本家の書いた台詞を役者が読んでいるんだな」という観方をしてしまい、全く感情移入ができないのだ。
全くもって筆者は感性の鈍い人間なのである。
ちなみに、お芝居っぽい要素が入っているもの全てがダメなのかというとそうでもなく、落語は三度の飯よりも好きであり、『地獄八景亡者戯』のような1時間を超える大ネタも寝ることなく最後まで観続ける(聴き続ける)ことができる。
話しが完全に脱線してしまっているが、今回取り上げてる「Singles: Original Motion Picture Soundtrack」には、ALICE IN CHAINS〔アリス・イン・チェインズ〕、PEARL JAM〔パール・ジャム〕、MOTHER LOVE BONE〔マザー・ラヴ・ボーン〕、SOUNDGARDEN〔サウンドガーデン〕、MUDHONEY〔マッドハニー〕、SCREAMING TREES〔スクリーミング・トゥリーズ〕、THE SMASHING PUMPKINS〔ザ・スマッシング・パンプキンズ〕といったグランジの大御所アーティストの曲が収録されている。
「最近NIRVANA〔ニルヴァーナ〕を聴いて好きになったんだけど、NIRVANA以外のグランジ系アーティストも聴いてみたい」という人が新たなお気に入りアーティストを見つけるには非常に優れたアルバムなのである。
シアトルを舞台にした映画なのでシアトル出身のJimi Hendrix〔ジミ・ヘンドリックス〕やHEART〔ハート〕(THE LOVEMONGERS〔ザ・ラヴモンガーズ〕名義)の曲が収録されているのも嬉しい。
そして、筆者にとって何より嬉しいのは元THE REPLACEMENTS〔ザ・リプレイスメンツ〕のPaul Westerberg〔ポール・ウェスターバーグ〕がソロとして最初にリリースした"Dyslexic Heart"と"Waiting for Somebody"の2曲が収録されていることだ。
少々乱暴に言い切ってしまうなら、筆者にとってのこのサウンドトラック・アルバムはPaul Westerbergの2曲を聴くためのアルバムなのである。
ちなみに、このサウンドトラック・アルバムの曲が使われている映画『シングルス』は未だに観たことがなく、この先もたぶん観ないような気がする。