#0332) ONCE AROUND THE WORLD / IT BITES 【1988年リリース】

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英国におけるプログレッシヴ・ロックの最盛期は間違いなく1970年代だろう。


所謂5大バンドと言われているPINK FLOYDピンク・フロイド〕、KING CRIMSONキング・クリムゾン〕、YES〔イエス〕、GENESISジェネシス〕、Emerson, Lake & Palmer〔エマーソン・レイク・アンド&パーマー〕が特に有名だ。


筆者は1980年代からロックを聴き始めたので上記の5大バンドは当時の筆者にとって、10年くらい前に活躍していたロック界における大御所中の大御所という存在だった。


それでは、1980年代にはプログレッシヴ・ロックは完全に過去の音楽になっていたのか言うと実はそうではない。


1980年代にはMARILLION〔マリリオン〕、IQ〔アイキュー〕、PENDRAGON〔ペンドラゴン〕、そして、今回取り上げているIT BITES〔イット・バイツ〕等が登場し、英国ではそれなりの盛り上がりを見せていたと記憶している。


今回はIT BITESの2ndアルバム「ONCE AROUND THE WORLD」を取り上げているが、このアルバムは1980年代におけるプログレッシヴ・ロックの大名盤だ。


アルバム・カヴァー以外には全く付け入る隙を与えない、一つ一つの音の細部まで研ぎ澄まされた完璧なアルバムだ。


これだけ凄いアルバムでありながら、メンバーの写真が使われているつまらないアルバム・カヴァーは実に勿体ない。


もっとアルバムの内容にあった絵画や写真をカヴァーにしてほしかったものである。


IT BITESは1980年代に登場した他のプログレ・バンドと比べると少し趣を異にしている。


MARILLION、IQ、PENDRAGONはPomp Rock〔ポンプ・ロック〕とも呼ばれ、彼らの音はその名のとおり「華麗」や「荘厳」という言葉が似合っており、1970年代的なエッセンスが強い。


それに対し、IT BITESの音は1970年代のプログレッシヴ・ロックからの影響を取り入れながらも、1980年代的なポップ・ミュージックのモダンなセンスを持っていたのである。


曲によっては、ヒット・チャートで活躍するソロ・シンガーに提供して歌わせたとしても違和感の無いキャッチーなものさえある。


アルバムのラストを飾る曲、"Once Around the World"は14分を超える大作なのだが「終わるのが速すぎる」、「もっと聴いていたい」と思えるほど長さを感じさせないポップな曲なのである。