今回取り上げているFOREIGNER〔フォリナー〕は、#0302で取り上げたSTYX〔スティクス〕、#0312で取り上げたJOURNEY〔ジャーニー〕、#0342で取り上げたASIA〔エイジア〕等と並び、日本では産業ロックと呼ばれることがあり、インディー・ロックやオルタナティヴ・ロックのファンからは「売れるための音楽」と揶揄され、しばしば「あんものはロックではない」と否定されたり馬鹿にされたりすることがある。
しかし、そんな物言いは全くのお門違いだ。
筆者は産業ロックも聴くし、インディー・ロックやオルタナティヴ・ロックも聴くし、ジャンルなんて全く気にせずに40年近くロックを聴いてきた。
そして、常に感じてきたのは、ロックとは「お金を払ってその音源を購入した消費者に聴いてもらえることによって成立している」ということである。
これはロック以外のエンターテイメントでも同じことだろう。
簡単に言うなら、ロック・ミュージシャンとは「売れるための音楽」を制作するのであって、「売れないための音楽」を制作するなどありえないのである。
従って、全てのロック・ミュージシャンは「売れるための音楽」を制作し、流通させ、消費者に購入してもらい、それによって報酬を得ている以上、全てのロック・ミュージシャンは巨大な音楽産業に組み込まれた存在であり、全てのロックは産業ロックなのである。
これは、レーベルがメジャーであってもインディペンデントであっても同じことだ。
今回取り上げているFOREIGNERの5thアルバム「AGENT PROVOCATEUR」は、空前の大ヒットとなった前作「4」に続く作品であり、ファンや音楽業界から並々ならぬ注目を集めていた作品だ。
筆者もこのアルバムはリリースとほぼ同時に聴いており、秀逸なメロディと洗練されたアレンジが素晴らしく、前作「4」以上にお気に入りの1枚となったのだが、結果として売上枚数は前作を超えられなかった。
筆者は売上枚数というのは、そのアルバムの評価の基準には殆どならないと思っているので、FOREIGNERのアルバムで1枚お薦めを選ぶ時はいつもこのアルバムを選ぶことにしている。
FOREIGNERと言えば、一般的にはバラードのイメージが強いのかもしれないが、実はそれだけではなく、アルバムを聴くと、けっこう激しくロックしている曲も多いのである。