ロック・バンドにおける担当パートの中でもギタリストという人達は「生まれながらのロックン・ローラー」が多いような気がする。
これは、もしかすると、Keith Richards〔キース・リチャーズ〕、Johnny Thunders〔ジョニー・サンダース〕、Michael Schenker〔マイケル・シェンカー〕、Andy McCoy〔アンディ・マッコイ〕、Yngwie Malmsteen〔イングヴェイ・マルムスティーン〕等、一筋縄ではいかない奴らが目立ち過ぎるため、それがギタリスト全体のイメージになっているだけなのかもしれないが、それでも、やはり筆者の中ではギタリストと言えば「生まれながらのロックン・ローラー」と言うイメージが付き纏うのである。
今回取り上げているRichie Kotzen〔リッチー・コッツェン〕も「生まれながらのロックン・ローラー」のイメージを持つギタリストだ。
Richie Kotzenを知った切っ掛けは、当ブログでしばしば登場する、筆者が学生時代にアルバイト先で知り合ったU君であり、彼が貸してくれたRichie Kotzenのアルバムが今回取り上げている3rdアルバムの「ELECTRIC JOY」なのである。
「若くて凄腕の速弾きギタリストが現れたな」というのが、当時の筆者がRichie Kotzenを聴いた時の印象だった。
その上、ルックスも良いのでギターを弾く姿がメチャクチャ絵になるのである。
「ELECTRIC JOY」はインストゥルメンタル・ロックなので、この時は分からなかったのだが、実は歌も抜群に上手く、それは「ギタリストが歌も歌います」というレベルではなく、シンガーとしても歌だけで充分に食っていけるほどの上手さなのである。
POISON〔ポイズン〕からC.C. DeVille〔C・C・デヴィル〕が抜けた時や、MR. BIG〔ミスター・ビッグ〕からPaul Gilbert〔ポール・ギルバート〕が抜けた時も、その後任として期待以上の役割を完璧に務め、そこに自分の個性もしっかりと遺す仕事ぶりは見事である。
ただし、POISON在籍中に、ドラマーのRikki Rockett〔リッキー・ロケット〕の彼女を奪い、POISONをクビになってしまうあたりは、褒められた話ではないが、この人の「生まれながらのロックン・ローラー」らしいところだ。
Richie Kotzenはロック以外にもブルース、ジャズ、ファンク、ソウル等、ブラック・ミュージックからも多大な影響を受けており、今回取り上げている「ELECTRIC JOY」にもその影響が顕著なのだが、彼が弾くスウィープの滑らかさや美しさは一級品であり、とにかくこの音には、いつもうっとりと聴き惚れてしまうのである。