ニューヨーク・パンクの象徴と言えば、やはりRAMONES[ラモーンズ]なのだろうか?確かにRAMONESは最高だ。
人によってはTHE VELVET UNDERGROUND[ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド]やNEW YORK DOLLS[ニューヨーク・ドールズ]の名を上げるかもしれないが、VELVETSはニューヨーク・パンクと呼ぶには古すぎるし、DOLLSはニューヨーク・パンクと呼ぶには早すぎた。
やはり、RAMONES 以外では、TALKING HEADS[トーキング・ヘッズ]、BLONDIE[ブロンディ]、TELEVISION[テレヴィジョン]、Richard Hell & THE VOIDOIDS[リチャード・ヘル&ザ・ヴォイドイズ]、Patti Smith[パティ・スミス]あたりがニューヨーク・パンクの象徴と呼ぶに相応しい存在なのだろう。
筆者も10代の頃(1980年代)に上記のアーティストを一通り聴いてきたのだが、正直なところ、ロンドン・パンクに比べるとニューヨーク・パンクはそれほど嵌らなかった。
嵌らなかった理由は、RAMONES 以外の上記のアーティストの音が、自分のイメージしていたパンクの音とかけ離れていたからだと思う。
そんな筆者が最も嵌って聴いたニューヨーク・パンクのアーティストは今回取り上げているTHE DICTATORS[ザ・ディクテイターズ]だ。
THE DICTATORSに興味を持った切っ掛けは、10代の頃に毎月購入していた洋楽雑誌の「パンク名盤特集」のような記事で今回取り上げている彼らの1stアルバム「GO GIRL CRAZY!」を見たことだ。
上に貼った画像のとおり、かなり強烈なインパクトのあるアルバム・カヴァーなのだ。
このアルバム・カヴァーを見せられて「興味を持つな」という方が無理なのである。
早速、馴染みの輸入レコード店で購入して聴いてみたのだが、THE DICTATORSの音も自分のイメージしていたパンクの音とは違っていた。
ただし、THE DICTATORSの音は、筆者の好きなSuzi Quatro [スージー・クアトロ]、SLADE[スレイド]、SWEET [スウィート]、MOTT THE HOOPLE[モット・ザ・フープル]あたりに通じるグリッターなロックン・ロールであり、一発で嵌ったのだ。
もしも「GO GIRL CRAZY!」のアルバム・カヴァーが違っていたら、筆者はTHE DICTATORSに興味を持たなかったかもしれない。
配信時代になって以降、アルバム・カヴァーなんて意味を持たなくなりつつあるが、筆者の世代にとって、アルバム・カヴァーは音と同じくらい大切なアイテムなのである。