Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0364) ASH RA TEMPEL / ASH RA TEMPEL 【1971年リリース】

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今回取り上げているASH RA TEMPELアシュ・ラ・テンペル]は1970年に西ドイツの西ベルリンで結成されたバンドだ(この時代のドイツにはわざわざ「西」と付けなければならないところが歴史のややこしさである)。


ドイツという国は、19世紀に帝政による近代国家として成立し、20世紀は第二次世界大戦を枢軸国として連合国と戦い、大敗を期したにも関わらず戦後に目覚ましい発展を遂げた。


上記の文は「ドイツ」を「日本」に置き換えても成立する。


日本とドイツは近現代史の歩みが非常に似ているため、筆者は欧州の中でも、とりわけドイツ関しては並々ならぬ興味を感じてきた。


今回取り上げている「ASH RA TEMPEL」は、ASH RA TEMPELが1971年にリリースした1stアルバムである。


ASH RA TEMPELはドイツのバンドなのでクラウトロックと呼ばれるが、アンビエントプログレッシヴ・ロックと言った方が分かり易い。


筆者はこのアルバムを、当ブログでは度々登場する、筆者が学生時代にアルバイト先で出会ったU君のお兄さんから聴かせてもらった。


U君のお兄さんは無類のプログレ・マニアで且つ高給取りだったので、大量のプログレのレコードを所蔵しており、その中から筆者に色々なプログレのレコードを聴かせてくれた。


そんなU君のお兄さんが聴かせてくれたレコードの中でも、とりわけ驚かされたのが今回取り上げている「ASH RA TEMPEL」なのである。


1971年に、英米以外の国で、ここまで独創的で完成度の高いロックをやっていたアーティストがいたことに筆者は度肝を抜かれたのだ。


確かにドイツ(西ドイツ)は、筆者がロックを聴き始めた1980年代から、SCORPIONSスコーピオンズ]は世界的な成功を修めていたし、Michael Schenker[マイケル・シェンカー]は神と崇められるほどのギタリストだったし、ACCEPT[アクセプト]やHELLOWEEN[ハロウィン]は英米のバンドと互角に渡り合える存在だった。


しかし、「ASH RA TEMPEL」がリリースされたのはTHE BEATLESザ・ビートルズ]のデビューからまだ10年も経っていない1971年であり、そんな時代に彼らは、ヴォーカル無しの全2曲約45分でありながら、全く冗長さを感じさせないアンビエント・ロックを作り上げたのだ。


共に似た近現代史を歩みながらも、ことロックに関しては、日本はドイツに大きく水をあけられたと言わざるを得ない。