今回取り上げているのは、RAGING SLAB[レイジング・スラブ]が1989年にリリースしたセルフタイトルのメジャー・デビュー・アルバムだ。
ニューヨーク(以下、NY)のバンドだが、ジャンルとしてはサザン・ロック、或いは、サザン・メタルに該当する。
筆者は1980年代中期から1990年代初期にリリースされたハード・ロック/ヘヴィ・メタル系バンドのアルバムは、殆ど片っ端から聴いていたのだが、その多くはロサンゼルス(以下、LA)のバンドが多かった。
LAのバンドと言っても、例えばPOISON[ポイズン]のように本当の出身はLAから遠く離れたペンシルベニアだが、バンド活動のためにLAに流れてきたようなバンドも多く、そういう流れ者も含めて当時の日本では彼らのことをLAメタルと呼んでいた。
そんなLA勢が犇めく1980年代のハード・ロック/ヘヴィ・メタル界だったが、当然ながら他の都市からメジャー・デビューするバンドも少なからず存在した。
中でもNYからは今回取り上げているRAGING SLABやCIRCUS OF POWER[サーカス・オブ・パワー]、LAW AND ORDER[ロウ・アンド・オーダー]、SPREAD EAGLE[スプレッド・イーグル]、THE LOST[ザ・ロスト]といったバンドがメジャー・デビューし、けして大きな成功を修めたわけではないが、筆者にとってはどれも忘れ難いバンドだ。
はっきりとは分からないのだが、RAGING SLABは上記のバンドのなかでは、けっこう成功した方なのではないだろうか。
Wikipedia情報だが、このブログを書いている2020年11月現在でもバンドは存続しているようだし、リリースしているアルバムの枚数も多い。
RAGING SLABの奏でるロックはサザン・ロック/サザン・メタルであり、NYらしさは全く無い。
それも「NYのバンドが南部っぽい音を出してみました」というレベルではなく、かなり本格的に南部を感じさせる音なのである。
このアルバムを初めて聴いた時、当時主流だったLAのバンドが持つ華やかな音とは違い、NYのバンドの音はゴツいなと感じたものである(RAGING SLABの音にはNYらしさは無いのだが)。
実は、上述したNYのバンドのうち、SPREAD EAGLE 以外のCIRCUS OF POWER、LAW AND ORDER、THE LOSTにもRAGING SLABほどではないが、いずれも南部っぽさがある。
筆者が知らないだけで、実はNYはサザン・ロックの人気が高い都市なのだろうか?