今回は英国リヴァプール出身のFRANKIE GOES TO HOLLYWOOD[フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド]が、1984年にリリースした1stアルバムの「WELCOME TO THE PLEASUREDOME」を取り上げている。
FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD(長いので以下FGTH)は、このアルバムにも収録されている1stシングル"Relax"、2ndシングル"Two Tribes"、3rdシングル"The Power of Love"を立て続けに全英1位に送り込んでいる。
FGTHの少し前にKAJAGOOGOO[カジャグーグー]の1stシングル"Too Shy"が全英1位になっているが、FGTHのようにデビューから3作連続で全英1位になるというのは珍しいのではないだろうか。
FGTHの登場は、かなりセンセーショナルだったと記憶している。
FGTH以前に筆者が好んで聴いていた英国のアーティストは上記のKAJAGOOGOOや、DURAN DURAN[デュラン・デュラン]、SPANDAU BALLET[スパンダー・バレエ]、ABC[エービーシー]、CULTURE CLUB[カルチャー・クラブ]、WHAM![ワム!]辺りなのだが、何れも非常にソフィスティケートされていた。
CULTURE CLUB のBoy George[ボーイ・ジョージ]が女装ファッションで登場した時は衝撃を受けたが、それでも彼のファッションはカラフルで、どこか柔らかな印象があった。
FGTHは上記したアーティストの少し後に登場したので違うイメージ戦略を取らざるを得なかったという事情もあるが、とにかくFGTHには過激で挑発的なイメージがあり、当時の筆者はドキドキしながらFGTHのミュージック・ビデオを見ていた記憶がある。
当時(中3)から筆者の英語のスキルは低かったので、曲を聴きながら歌詞を理解することは出来なかったのだが、"Relax"がSMについて歌っていることを洋楽雑誌の記事を読んで知っていたので、FGTHのレコードを聴く時はちょっとした背徳感を覚えたものである。
FGTHの曲は、プロデューサーであるTrevor Horn[トレヴァー・ホーン]からのインプットがかなりあると思うのだが、強烈に人間の下半身に響くダンス・ポップなのでディスコ等で流れれば確実に受けるように設計されているのだ。
ただし、けして長く続くようなバンドではないことも薄々分っていた感があり、今回取り上げている「WELCOME TO THE PLEASUREDOME」がリリースされた頃には既に大衆はFGTHに飽き始めていた。
なお、筆者はこのアルバムでカヴァーされている"Born to Run"がBruce Springsteen[ブルース・スプリングスティーン]の曲であることを知り、その後、オリジナルを聴きたくてBruce Springsteenの「BORN TO RUN」を買うことになるのである。