#0368で取り上げたFRANKIE GOES TO HOLLYWOOD[フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド]は、1983の後半にデビューし、翌年の1984年にかけて、英国でセンセーショナルなヒットを連発していたが、今回取り上げているBRONSKI BEAT[ブロンスキ・ビート]も1984年にデビューし、FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD(以下FGTH)のような派手さはなかったが、かなりのヒットを飛ばしていた。
今回、この記事を書くための下調べて分かったのだが、FGTHとBRONSKI BEATは共に1984年の10月に1stアルバムをリリースしている。
BRONSKI BEAT は、Jimmy Somerville[ジミー・ソマーヴィル](vocals)、Steve Bronski[スティーヴ・ブロンスキ](keyboards)、Larry Steinbachek[ラリー・スタインバチェック](keyboards)の3人によるシンセポップ・グループなのだが、3人ともゲイであることを公表していた。
FGTHのHolly Johnson[ホリー・ジョンソン](lead vocals)とPaul Rutherford[ポール・ラザフォード](backing vocals)もゲイであることを公表していいたので、これら二つのグループにゲイのメンバーがいることを殊更強調するような音楽雑誌の記事もあったのだが、当時の筆者は「こんな音楽性と全く関係のないつまらんことが記事のネタになるんやなぁ~」と不思議に思ったものである。
筆者はそのアーティストの音楽性にしか興味が無い故に、メンバーがゲイであろうが、ヘテロであろうが、そんなことは全く重要な情報ではなかったので、今回取り上げているBRONSKI BEATの1stアルバム「THE AGE OF CONSENT」も、ただただ優れたシンセポップの名盤として楽しんで聴いていた。
やはり、このアルバムの聴きどころは、メランコリックで美しい楽曲はもちろんなのだが、Jimmy Somervilleの突き抜けるようなハイトーン・ヴォイスに尽きるのではないだろうか。
THE ASSOCIATES[ジ・アソシエイツ]のBilly Mackenzie[ビリー・マッケンジー]やERASURE[イレイジャー]のAndy Bell[アンディ・ベル]等、シンセポップ・グループのシンガーにはハイトーン・ヴォイスの名手が多いような気がするが、Jimmy Somervilleもまたその一人なのである。
こんなシンセポップの名盤をデビュー・アルバムとしてリリースしていたにも関わらず、Jimmy Somervilleはこの1枚限りでBRONSKI BEATを脱退しており、その後はシンセポップ・デュオのTHE COMMUNARDS[ザ・コミュナーズ]を経て、ソロ・シンガーとして、それなりの成功を得る。
この経緯の真相は不明だが、筆者の中でのJimmy Somervilleは、BRONSKI BEATを踏み台にした、強かな男というイメージがある。