最近はロックを聴くことが殆ど無くなってきたのだが、先月、「久々にロックらしいロックを聴いてみよう」と思い立ち、選んだ1枚がGRAND FUNK RAILROAD[グランド・ファンク・レイルロード]の2ndアルバム「GRAND FUNK」だった。
その時に「ロックらしいロック」ということで、もう1枚、思い浮かんだのが今回取り上げているMOUNTAIN[マウンテン]の「CLIMBING!」だ。
MOUNTAINの中心人物であるLeslie West[レスリー・ウェスト](guitars, vocals)は、「MOUNTAIN」というアルバムを1969年にソロ名義でリリースしており、今回取り上げている「CLIMBING!」は1970年にMOUNTAINというバンド名義でリリースしている。
名義だけ見るとMOUNTAINというバンド名義でリリースしたアルバム「CLIMBING!」が正式な1stアルバムなのかもしれないが、ソロ名義でリリースしたアルバム「MOUNTAIN」にはMOUNTAINのもう一人の主役とも言うべきFelix Pappalardi[フェリックス・パパラルディ](bass, vocals)が既に参加しているので、筆者の中での「CLIMBING!」というアルバムの位置づけは、何となくMOUNTAINの2ndアルバムというイメージがある。
このアルバムは久々に聴いたのだが、とにかく非の打ち所がない完全無欠のハード・ロック・アルバムだ。
ハードな曲はとことんハードに、抒情的な曲はどこまでも抒情的に、ブルージーな曲はいぶし銀の光を放つ。
Leslie Westのギターを堪能できるインストゥルメンタルが収録されているのも良い。
とにかく、全ての曲が極端に振り切っていて、分かり易いところが良いのである。
時々、ロック初心者が聴くのに適したアルバムというのを考えることがあるのだが、このアルバムは「ロックって、こういう音楽だよ」と言って聴かせるのに丁度良いアルバムだ。
筆者が1980年代に毎月購入していた洋楽雑誌の「MUSIC LIFE」に「アメリカン・ハード・ロックの源流」のような記事が掲載されていたことがあり、MOUNTAINはGRAND FUNK RAILROAD、MC5[エム・スィー・ファイヴ、THE STOOGES[ザ・ストゥージズ]等と共にその名が列挙されていたのだが、中でもMOUNTAINとGRAND FUNK RAILROADは特に大きく取り上げられていたと記憶している。
確かにこの「CLIMBING!」というアルバムを聴いていると、その後のAEROSMITH[エアロスミス]、KISS[キッス]、VAN HALEN[ヴァン・ヘイレン]といった偉大なバンド達により隆盛を極めるアメリカン・ハード・ロックの源流がはっきりと感じられるのである。