英国で1990年前後に勃発したダンスとロックの融合を目指した一大ムーヴメントであるマッドチェスターを代表するアーティストと言えば、その名称の由来でもあるマンチェスター出身のTHE STONE ROSES[ザ・ストーン・ローゼズ]、HAPPY MONDAYS[ハッピー・マンデーズ]、INSPIRAL CARPETS[インスパイラル・カーペッツ]のマッドチェスター御三家だろう。
マッドチェスター・ムーヴメントというのは全てのアーティストがマンチェスター出身だったわけではなく、上記の御三家と肩を並べる人気バンドだったTHE CHARLATANS[ザ・シャーラタンズ]はウェスト・ミッドランズの出身だ。
また、シングル"Loaded"からアルバム「SCREAMADELICA」あたりのPRIMAL SCREAM[プライマル・スクリーム]は、かなりマッドチェスターに接近していたと思うのだが、こちらはグラスゴー出身だ。
このあたりのグループがマッドチェスター・ムーヴメントにおける1軍であり、筆者もTHE STONE ROSESの「THE STONE ROSES」とPRIMAL SCREAMの「SCREAMADELICA」は相当な回数を聴いたはずだ。
ただし、どんなムーヴメントであれ、1軍だけがそのムーヴメントを盛り上げているわけではなく、2軍、3軍といったアーティストの存在も重要なのである。
一方的に2軍、3軍扱いするのは失礼なのだが、今回取り上げているグラスゴー出身のTHE SOUP DRAGONS[ザ・スープ・ドラゴンズ]には、ちょっと2軍っぽいイメージがある。
筆者はこのバンドの2ndアルバム「LOVEGOD」と3rdアルバム「HOTWIRED」の2枚を、上記した「THE STONE ROSES」と「SCREAMADELICA」よりも好んで聴いていた。
「LOVEGOD」と「HOTWIRED」は同じくらい好きなのだが、今日、直感的に聴きたいと思ったのは「HOTWIRED」だったのでこちらを取り上げてみた。
THE SOUP DRAGONSは、しばしばPRIMAL SCREAMのパクリと言われることがあるのだが、批判を恐れずに言えば、そもそもPRIMAL SCREAMがパクリの天才だ。
THE SOUP DRAGONSがPRIMAL SCREAMをパクったのかどうかは知らないが、もしそうだとしても、盗人から盗むというのは、なかなかのセンスだと思う。
「HOTWIRED」というアルバムはマッドチェスターの美味しいところ集めてコンパイルしたようなアルバムであり、ある意味、最もマッドチェスターらしいアルバムだと言える(ちなみにこれは「LOVEGOD」も同じだ)。
筆者はロックに精神性を求めるリスナーではなく、ロックを音楽として楽しみたいリスナーなのでこういうアルバムは大歓迎なのである。