今回取り上げているTina Turner[ティナ・ターナー]の5thアルバム「PRIVATE DANCER」は筆者にとっての「想い出のアルバム」だ。
1984年にリリースされたアルバムであり、筆者が15歳(中3)の時に出会ったアルバムなのだが、とにかく、このアルバムは大ヒットしていたという印象が強い。
50歳を超えた今では、それほどでもなくなったが、若い頃の筆者は流行りものには直ぐに飛びつくタイプだったので、当然のようにこのアルバムにも飛びついたわけである。
"What's Love Got to Do with It"(邦題「愛の魔力」)のミュージック・ヴィデオを見た時は「アメリカにはワイルドな女性シンガーがいたはるわぁ~」くらいに思っていたのだが、このアルバムをレンタルレコード店で借りてきて初めて聴いた時は、収録されている曲の良さとTina Turnerの歌の上手さに度肝を抜かれたものである。
この記事を書くにために久しぶりに聴いてみたのだが、今聴いてもこのアルバムは充分に凄いアルバムであることに改めて気付いた。
確かに、いかにも1980年代といった響きのシンセサイザーの音には古臭さを感じるのだが、テクノロジーなんて日進月歩、否、秒進分歩で進化するものなので、そんなことを言い始めたら音楽を純粋に楽しめなくなる。
とにかく、このアルバムは曲が良く、そして、Tina Turnerの歌が上手いのだ。
カヴァー曲も多く収録されているのだが、中でもTHE BEATLES[ザ・ビートルズ]の"Help!"と、David Bowie[デヴィッド・ボウイ]の"1984"のインパクトは大きい。
あの高速シャッフルのような"Help!"を、しっとりとしたバラードに仕上げており、ちょっと聴いただけではこの曲があの"Help!"ということに気付かないのではないだろうか。
筆者も暫くの間、この曲があの"Help!"だということには気づかずに聴いていた。
"1984"はDavid Bowieの原曲よりも先にTina Turnerのカヴァーを聴いたので、"1984"と言えばTina Turnerが歌うソウルフルなこの曲のイメージが強い。
David Bowieも大好きなアーティストなのだが、今でも"1984"に関してはBowieの(良い意味で)ソウルフルではない声で聴くと違和感がある。
1980年代は、日本が最も洋楽を受け入れた時代だと思うのだが、筆者にとってこの「PRIVATE DANCER」というアルバムは古き良き時代の記憶を蘇らせてくれる1枚なのである。