ニューヨークっぽいバンドと訊かれて思い浮かぶのはどんなバンドだろう?
THE VELVET UNDERGROUND[ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド]?RAMONES[ラモーンズ]?TELEVISION[テレヴィジョン]?TALKING HEADS[トーキング・ヘッズ]?その名もズバリのNEW YORK DOLLS[ニューヨーク・ドールズ]か?
筆者の場合、リアルタイムで出会って大好きになったTWISTED SISTER[トゥイステッド・シスター]と、今回取り上げている「元祖ヘヴィ・メタル」のBLUE ÖYSTER CULT[ブルー・オイスター・カルト]が真っ先に思い浮かぶバンドだ。
初めて筆者が聴いたBLUE ÖYSTER CULTのアルバムは8thアルバムの「FIRE OF UNKNOWN ORIGIN」(1981年リリース)なのだが、曲が良いのでアルバム自体は好きになったものの、「元祖ヘヴィ・メタル」に関しては全くピンとこなかった。
その後、BLUE ÖYSTER CULTのアルバムはCD時代になってからジワジワと買い始めたのだが、やはり、「元祖ヘヴィ・メタル」というのがピンとくることはなく、かろうじてライブ・アルバムの「ON YOUR FEET OR ON YOUR KNEES」(1975年リリース)で聴けるハードな演奏にその片鱗が垣間見れるくらいである。
今回取り上げているのはBLUE ÖYSTER CULTの代表作であり、名盤として誉れ高い4thアルバムの「AGENTS OF FORTUNE」(邦題「タロットの呪い」)なのだが、確かにこのアルバムは評判通り、看板に偽りなしの名盤である。
「元祖ヘヴィ・メタル」というのはマネジメントかレコード会社によって付けられと予想されるが、BLUE ÖYSTER CULTの音楽性はハード・ロック、プログレッシヴ・ロック、ロックン・ロール、サイケデリック・ロック等、曲によってテイストがかなり変わるので一つのジャンル名でこのバンドの音楽性を説明するのは困難だ。
今回取り上げている名盤「AGENTS OF FORTUNE」も、上記したそれぞれのジャンルのテイストを持つ曲が次から次へと繰り出されるのだが、不思議とアルバムとしての統一感があり、「ごった煮」的な感じはない。
どの曲にも共通して言えるのは「ニューヨークっぽい」ということであり、非常に洗練されていて、田舎臭い部分が全く無いのである。
BLUE ÖYSTER CULTはニューヨークのバンドで且つオリジナル・メンバー全員がニューヨーク出身だ。
「AGENTS OF FORTUNE」もオリジナル・メンバーで制作されており、ニューヨークが放つ冷めた炎のような演奏が、このアルバムのリスナーを惹き付けて止まない魅力なのである。