MY LIFE WITH THE THRILL KILL KULT[マイ・ライフ・ウィズ・ザ・スリル・キル・カルト]は、彼らが登場した時期(1987年)にリアルタイムで知ったバンドではない。
かつて、毎月買っていた洋楽系音楽雑誌(MUSIC LIFE、rockin'on、CROSSBEAT等)の新譜レビューで見たことがあるような、ないような...
MINISTRY[ミニストリー]、NINE INCH NAILS[ナイン・インチ・ネイルズ]、KMFDM[ケーエムエフディーエム]、PIG[ピッグ]等の、所謂インダストリアル・ロック/インダストリアル・メタルが聴きたくて、あれやこれやと探している時に見つけたのがMY LIFE WITH THE THRILL KILL KULTなのである。
MY LIFE WITH THE THRILL KILL KULTは、インダストリアル・ロック/インダストリアル・メタルはではなく、インダストリアル・ダンスというジャンルに分類されているらしい。
上記した、MINISTRY、NINE INCH NAILS、KMFDM、PIG等のような、まるで拷問を受けているかのような激烈な音を求めていたので、MY LIFE WITH THE THRILL KILL KULTを初めて聴いた時は、かなりポップな音に拍子抜けした感もあったのだが、何故かまた聴きたくなる音でもあり、いつの間にか嵌ってしまったのがこのバンドなのである。
このバンドのどこが好きなのかと言えば、激烈ではないところである。
激烈な音を求めていて「激烈ではないところ」が好きになった理由というのは、おかしな話だが、大抵のロック・リスナーはハードな音もソフトな音も、両方楽しんでいるのではないだろうか?
筆者は、MINISTRYがインダストリアル・メタルに移行する前の1st「WITH SYMPATHY」や2nd「TWITCH」、或いは、UNDERWORLD[アンダーワールド]がテクノに移行する前の1st「UNDERNEATH THE RADAR」や2nd「CHANGE THE WEATHER」といったシンセポップが大好きなのだが、MY LIFE WITH THE THRILL KILL KULTの音は、そういった初期のMINISTRYやUNDERWORLDの音に近い。
MINISTRYやUNDERWORLDは「あれは無かったことにする」という空気を出しているが、いやいや「あれは名盤ですよ」と言って、本人が嫌がるところをあえてイジる楽しさがあると思うのだが、MY LIFE WITH THE THRILL KILL KULTは、そんな感じの音をずっと続けているバンドなのである。
MY LIFE WITH THE THRILL KILL KULTは、どのアルバムを聴いても似たような感じなのだが、その中で1枚選ぶなら、筆者は今回取り上げている3rdアルバムの「SEXPLOSION!」を上げたい。
曲も良いが、タイトルやカヴァーの、ちょっとアホっぽい感じも絶妙に良いのである。