Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0491) 好きな日本のバンド(4)THE WILLARD【キャプテン ~ 東芝EMI 期】


THE WILLARD [ザ・ウィラード]

出身地:日本


 今回書く記事とは別件を少しだけ。

 辺野古沖転覆事故により同志社国際高等学校の女子生徒がお亡くなりになったという痛ましい報道には、ここ数年で最も激しい憤りを感じたのだが、本件を教育基本法違反と判断した文部科学省の英断については大いに評価したい。

 反日左翼活動家は、本件について「教育現場が委縮する」と述べているが、他者から何か言われたくらいのことで委縮するような人は委縮してもらって結構なのではないだろうか?

 生きるというとこは、毎日が必死の戦いであり、他者から何か言われたくらいで委縮するようでは、職場で良い仕事はできないし、家族を守ることもできないし、長い人生を戦い抜くこともできない。

 お亡くなりになられた女子生徒のご遺族の方が書かれた note を読まないという、当該地域における首長の発言や、ご遺族の方からの公開質問に対しても明確に回答しないという首長の姿勢には驚くばかりだ。

 平和教育の名を借りた反日左翼活動というイデオロギーの犠牲になり、未来を奪われた女子生徒と、そのご遺族の方が本当に気の毒で仕方がない。

 あらためて、お亡くなりになられた女子生徒の御霊のご平安を心よりお祈り申し上げます。


 さて、今回取り上げるのは80年代に LAUGHIN' NOSE、有頂天 とともにインディーズ御三家と呼ばれて人気を博した THE WILLARD だ(余談だが、日本で当たり前のように使われている「インディーズ」というこの言葉、間違っているのではないだろうか?)。

 御三家とも、一応パンクにカテゴライズされるバンドだ。

 LAUGHIN' NOSE が1stアルバム「PUSSY FOR SALE」をリリースした84年あたりから、日本のインディペンデント・レーベルが台頭し始め、これらインディ・レーベルはパンク・バンドとの親和性が高かった。

 筆者は、音楽的には好きなパンク・バンドもいたのだが、パンク・バンドが持つメッセージ性やイデオロギーが鬱陶しくて苦手だった。

 パンク・バンドでも洋楽の場合は歌詞が分からないので気にせずに聴くことができたのだが、日本のパンク・バンドの場合は当然ながら歌詞が分かってしまうので敬遠していた。

 THE WILLARD も日本のパンク・バンドにカテゴライズされていたので、自分から望んで聴いたわけではなかった。

 高校の同級生から「これ、えぇし」と言われて、強引に1stアルバムの「GOOD EVENING WONDERFUL FIEND」を貸し付けられたのが、THE WILLARD を知る切っ掛けだった。

 「えぇ~、このバンド、パンクやろ~、聴きたないねんけど~」と思ったのだが、借りた以上は聴くのがお義理と思ってレコードに針を落としたのだが、先入観と全く違っていて驚いた。

 というか、一回聴いただけで THE WILLARD のファンになっていた。

 THE WILLARD の曲には政治的なメッセージ性は無く、ソングライターの Jun が描く世界は海賊や西部劇をモチーフにした物語なのである。

 演奏には荒々しさがあり、パンク的な面もあるのだが、技術的にはかなりしっかりしているので、メタルを好むリスナーでも「ある一点」に目をつむることができれば好きになれる音だ。

 その「ある一点」とは...Jun のヴォーカルである。

 Jun のヴォーカルが上手くない...というか、はっきり言ってしまうとプロのヴォーカリストとしては下手なのである。

 当時はヴォーカルを補正する技術が低かったから仕方ないとは思うのだが、スタジオ盤を聴いているときでもフラットしたのが分かるレベルなのである。

 そして何よりも、Jun は歌詞を書くときに物語を優先させているため、きちんと韻を踏んでいない歌詞になることがあるので、それが仇となって彼のヴォーカルが必要以上に下手に聴こえてしまうのである。

 筆者は歌の上手さにはけっこう拘る方なのだが、Jun の場合、真摯に歌っていることは充分に伝わってくるので、どうしても聴けないというレベルではないと思っている。

 前回取り上げた REACTION の「INSANE」はインディー・レーベルからの発売ながら1万枚という驚異的な売り上げを記録したのだが、今回取り上げた THE WILLARD の「GOOD EVENING WONDERFUL FIEND」は2万枚を売り上げ、インディー・レーベルの売り上げ記録を塗り替えた。

 この頃から、インディー・レーベルで大きな売り上げを記録するバンドに対し、メジャー・レーベルが接触を試みるようになり、バンドにとってはインディー・レーベルでの成功がメジャー・デビューへの足がかりとして確立していくことになる。


GOOD EVENING WONDERFUL FIEND

 1stスタジオアルバム
 リリース:1985年10月5日
 レーベル:キャプテンレコード
 プロデュース:THE WILLARD

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 JOLLY ROGERS JUN JUN -
2 BORECIDE BOYS JUN JUN -
3 GOOD EVENING WONDERFUL FIEND JUN JUN -
4 NIGHTMARE JUN JUN -
5 VANGUARD JUN JUN -
6 TOO MUCH LOVE LIKE HELL JUN JUN -
7 THE END JUN JUN -
8 BORN IN THE FAR EAST END JUN JUN -
9 LAY TO REST JUN JUN -
10 BONDAGE DREAM JUN JUN -
11 VAIN FOR YOU (CONGRATULATION) JUN JUN -
12 C'MON WHIPS JUN JUN -

[comment]
 インディー・レーベルであるキャプテンレコードからの発売ながら、2万枚という驚異的な売り上げを記録した THE WILLARD の衝撃のデビュー・アルバム。
 Jun の描く世界は、海賊や西部劇をモチーフにしているのだが、ホラーっぽさもある。
 アルバム・カヴァーに使われている Jun の写真が「PHANTASMAGORIA」期のデイヴ・ヴァニアンに似ているため、THE DAMNED からの影響云々を言われることが多いのだが、SOUTHERN DEATH CULT や ADAM AND THE ANTS からの影響も大きそうだ。
 Jun の書く歌詞はサディスティックなものが多いのだが、彼の歌詞を聴いていると自分の中に潜む残虐性が鎌首もたげそうで怖くなることがある。


WHO SINGS A GLORIA?

 2ndスタジオアルバム
 リリース:1986年9月29日
 レーベル:東芝EMI
 プロデュース:岡野ハジメ

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 BUT SUN IS TOO BRIGHT Jun Jun THE WILLARD
2 MISERY Jun Jun THE WILLARD
3 TRICK STAR (I WANNA BE YOUR) Jun Jun THE WILLARD
4 SUBURBAN COWBOY Jun Jun THE WILLARD
5 SWEET CANDY Jun Jun THE WILLARD
6 LIGHTNING SCARLET Jun Jun Jun
7 DOWN THE ROTTING STREET Jun Jun THE WILLARD
8 THE WESTERN FURY Jun Jun THE WILLARD
9 DEAR MY CAPTAIN THE WILLARD Jun THE WILLARD

[comment]
 メジャー・デビュー・アルバム。
 収録されているメジャー・デビュー・シングル "LIGHTNING SCARLET" は、これまでにないキャッチーな曲となった。
 本作の中で、この "LIGHTNING SCARLET" のみが、編曲まで Jun が一人で行っており、東芝EMI から何らかの要請があり、Jun が編曲をやり直したのではないかと勘ぐってしまう。
 こういうメジュー・レーベル向きのシングルを書けてしまう Jun の器用な才能が凄い。
 1stで顕著だったサディスティックな歌詞も封印されている。
 他の曲も軒並みキャッチーであり、これぞメジャー・デビュー・アルバムといった感じで出来はすこぶる良いのだが、ちょっと物足りなさを感じてしまうのも確かだ。


THE LEGEND OF SILVER GUNS

 3rdスタジオアルバム
 リリース:1987年7月6日
 レーベル:東芝EMI
 プロデュース:THE WILLARD

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 NERVOUS RED FRIDAY Jun Jun Jun
2 SMART ESCAPE FOREVER (WITH SILVER GUNS) Jun Jun Jun
3 FAIRY TALE Jun Jun Jun
4 HIGHWAY MAN Jun Jun Jun
5 IN THE CITY OF WHITE LIGHT Jun Jun Jun
6 SILLY GAMES Jun Jun Jun
7 WAITING FOR MY PHANTOM JELLEMY Jun Jun Jun
8 THE LEGEND OF SILVER GUNS Jun Jun Jun
9 RETURN IN TRIUMPH Jun Jun Jun
10 SEARCHING FOR YOUR EYES Jun Jun Jun

[comment]
 このバンドにしては珍しく、メンバー全員が均等に映っている写真がアルバム・カヴァーに使われている。
 発売当時、アルバム・カヴァーのメンバーがライダース・ジャケットを来ているので、「RAMONES みたいなロックン・ロールになったのか?」...とは全く思わなかった。
 THE WILLARD はバンド名なのだが、その実態は殆ど Jun のソロ・プロジェクトだ。
 従って、このアルバムでも Jun の世界観が貫かれている。
 その世界観は海賊や西部劇だけに留まらず、童話や寓話の要素も入ってきた。
 "IN THE CITY OF WHITE LIGHT" は THE DOORS っぽい。


THE TOWN IN DESTINY

 4thスタジオアルバム
 リリース:1988年8月28日
 レーベル:東芝EMI
 プロデュース:土屋昌巳

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 GHOST TOWN GANG Jun Jun THE WILLARD
2 JUSTICE Jun Jun THE WILLARD
3 HOLY JUDGEMENT DAY Jun Jun THE WILLARD
4 MISFIT Jun Jun THE WILLARD
5 SHOT IN THE DARK Jun Jun THE WILLARD
6 DEADLY NIGHT SHADE Jun Jun THE WILLARD
7 STANDING ON THIS CORNER FOR LOVE Jun Jun THE WILLARD
8 GOOD-BYE VACANT DAYS Jun Jun THE WILLARD
9 ROSE OR LOSE Jun Jun THE WILLARD

[comment]
 東芝EMIにおける最後のアルバムであり、次の5thアルバム「THE WiLLARD」は日本コロムビアからの発売となる。
 このアルバムは、筆者がスラッシュ・メタルにドップリ嵌っていた時期に発売されているので、リアルタイムでは買っていない(発売されていたことにも気づいてなかった)。
 たぶん、一年遅れくらいで買ったと思うのだが、聴いたのは数回だけだと思う。
 今回、30年以上ぶりに聴いてみたのだが、カッコよくてビックリした。
 これまでのアルバムの中で最もロックン・ロールな作風だ。
 こういう隙間を巧みに使ったロックン・ロールが、当時の筆者の嗜好に合わなかったのだろう。

#0490) 好きな日本のバンド(3)REACTION


REACTION [リアクション]

出身地:日本


 REACTION を語るときに絶対に言わなければならないのは、1985年にインディー・レーベルから発売した1stアルバム「INSANE」が1万枚という驚異的な売り上げを記録したということだろう。

 調べたわけではないが、当時、アルバムを1万枚売り上げることができる日本のヘヴィ・メタル・バンドは、メジャー・レーベルでも殆どいなかったのではないだろうか?

 ミュージシャンが制作する楽曲も商品であり、それに価格を付け、流通に乗せて販売する以上、たくさん売れなければ意味がない。

 売れなければ、製作費の回収もできないし、制作に携わった人たちに支払う報酬すらままならなくなる。

 筆者は、長年にわたり製造業に携わってきたので「売れないものを作る」或いは「売るつもりのないものを作る」という行為は悪だという感覚すらある。

 売れるためにやっているわけではないと言う人もいるが、それは経済活動というものを全く分かっていない人であり、青臭くて幼稚な綺麗ごとである。

 とにかく、資本主義経済においては「数」を持っているものが一番強いのである。

 「数」を持っていない者は、「数」を持っている者を批判できない世界が資本主義であり、この「数」に対し、1万枚の売り上げという結果を出した REACTION は圧倒的な強者なのである。

 この1万枚というインディー・レーベルでの売り上げ記録は、後に、THE WILLARD の「GOOD EVENING WONDERFUL FIEND」(2万枚)や、DEAD END の「DEAD LINE」(2万枚、一説によると3万枚)によって塗り替えられるのだが、だからと言って、その先陣を切った REACTION の評価が下がるものではない。

 音楽的にも REACTION の楽曲は先鋭的であり革新的だった。

 当時、REACTION ほどスピード感(というか突っ走り感)がある楽曲を書いているバンドはいなかった。

 それも、スラッシュ・メタル的な速さではなく、ジャパニーズ・メタル固有の独特な速さなのである。

 REACTION は 聖飢魔II や X(後の X JAPAN)のようにヘヴィ・メタルをお茶の間にまで浸透させることはできず、知名度も80年代のジャパニーズ・メタルを聴いていた人くらいにしかないと思うのだが、彼らがいなかったら後のジャパメタ・シーンは今とは大きく違っていただろう。


INSANE

 1stスタジオアルバム
 リリース:1985年7月20日
 レーベル:Danger Crue

  1. JOY RIDE
  2. ARE YOU FREE TONIGHT
  3. DON'T STOP
  4. HAT TRICK
  5. NOTHING
  6. LET ME SHOUT
  7. LONESOME KNIGHT
  8. DARK ILLUSION
  9. INSANE

[comment]
 インディー・レーベルの Danger Crue から発売されたデビュー・アルバムであり、ジャパニーズ・メタルの歴史において新時代を切り開いた画期的な1枚だ。
 腐るほど言われ続けてきたことだが、当時、1万枚を売り上げた作品であり、この数字は同じ時代にメジャー・レーベルから発売されていた多くのメタル系アルバムの売り上げ枚数を超えているのではないだろうか?
 加藤純也のヴォーカルはメタル系の綺麗なハイトーンではなく、ザラついたダーティーな声質なのだが、それがこの時期の破壊的でスピード感のある REACTION の音楽性に絶妙に合っている。
 そして、そんなダーティーなヴォーカルと相性抜群なのが斉藤康之のロングトーンを駆使したバッキングだ。
 もちろん、ソロも聴きどころなのだが、彼のようにバッキングでも存在感を放つギタリストは、当時のジャパメタ・シーンにはあまりいなかった。
 リズム面では、梅沢康博の攻撃的なドラムと、反町哲之の低音を支えるベースがこのバンドの土台を形成しており、この時期にこの4人が揃ったのはちょっとした奇跡なのではないだろうか?


AGITATOR

 2ndスタジオアルバム
 リリース:1986年11月21日
 レーベル:Victor Musical Industries / invitation

  1. I'M SO EXCITED
  2. HOLD ON TO FREEDOM
  3. NOTHING TO LOSE
  4. NO TURNING BACK
  5. TOO YOUNG TO DIE
  6. FOLLOW THE SHADOW
  7. BAD GROWN UPS
  8. DANCE & SHOUT
  9. DREAM OF CHILDREN
  10. COOK ME DOWN

[comment]
 メジャー・デビュー・アルバムなのだが、インディー・レーベルで1万枚を売り上げた前作と比べて音質が良くなった感じがしない。
 しかし、それがマイナスの作用しているのではなく、明らかにプラスに作用しており、REACTION というバンドが持つ荒々しさや生々しさを伝えることに成功している。
 1曲目がこの時期の REACTION らしいファストナンバーではなくミディアムナンバーなのだが、これでリスナーの意表を突いておいて、2曲目でファストナンバーが始まり、ここでリスナーを狂喜乱舞させるという構成は心憎いほどに上手い。


TRUE IMITATION

 3rdスタジオアルバム
 リリース:1987年5月21日
 レーベル:Victor Musical Industries / invitation

  1. LET IT ROCK
  2. DESIRE
  3. EVERYBODY'S CRAZY
  4. LOOKIN' FOR ACTION
  5. CHANGE YOUR WAYS
  6. BAD BOY'S TOY
  7. COOL IT DOWN
  8. ... 9430
  9. COMING HOME
  10. LUST
  11. THINK 'BOUT TOMORROW

[comment]
 メジャー2作目であり、ここにきて多少メジャー感が出てきた。
 なんと、1曲目から4曲目まではウネリを効かせたミディアムナンバーであり、明確なファストナンバーは5曲目にしてようやく現れるという構成になっている。
 楽曲のクオリティは高いのだが、当時、筆者の周りでは、このアルバムを堺にして REACTION から離れていった人が少なからずいた。
 このアルバムはバンドの歴史において、典型的なヘヴィ・メタルからの脱却を模索し始めた実験作のような気がする。


REACTION

 4thスタジオアルバム
 リリース:1988年2月21日
 レーベル:Victor Musical Industries / invitation

  1. STARTIN' SOMETHING
  2. HAMMER ON THE BEAT
  3. GET MY WAY
  4. DOWN SIDE STRANGER
  5. LEFT BEHIND
  6. HANDS ON DREAM
  7. HOT ROD GIG TONIGHT
  8. ALL TOGETHER
  9. YOU GOT ME BURNING
  10. AT 25:00

[comment]
 前作からの揺り戻しがきたのか、ファストナンバーが増えている。
 バンド名をアルバム・タイトルにしており、原点回帰を目指した感のあるアルバムだ。
 ただ、インディー・レーベル時代の INSANE の頃と比べると、速いながらもキャッチーなリフや歌メロが増えている。
 前作で培ったメロディー・センスを、初期の疾走感に乗せたような感じの曲が多い。


TWIST AND SHOUT

 5thスタジオアルバム
 リリース:1988年12月1日
 レーベル:Victor Musical Industries / invitation

  1. TWIST & SHOUT
  2. RED ZONE
  3. ROSIE
  4. GREEN TAMBOURINE
  5. ALWAYS ON MY MIND
  6. ALL RIGHT HEAVEN
  7. STAND UP
  8. STAR COLLECTOR
  9. MIDNIGHT SHUFFLE
  10. RIGHT TO ROCK
  11. 窓から這い出せ
  12. LAST SONG

[comment]
 最後のアルバムであり、ここにきて、REACTION はヘヴィ・メタル・バンドからロックン・ロール・バンドへの変貌を遂げた。
 この時期の日本では、RED WARRIORS の快進撃や ZIGGY のヒットチャートでの成功があり、ヘヴィ・メタルよりもバッド・ボーイズ・ロックン・ロールの人気が高まっていた。
 REACTION も、その時流に合わせて舵を切ったと思うのだが、あまりにもメタル・アイコンとしてのイメージが強すぎるバンドだったので、当時の筆者はちょっと着いていけない気持ちになった。
 ただし、そこは REACTION であり、名曲揃いで「聴かなきゃ損」の名盤になっているのは流石である。

#0489) 好きな日本のバンド(2)サザンオールスターズ【デビューからKAMAKURAまで】

サザンオールスターズ (Southern All Stars)

出身地:東京都渋谷区(青山学院大学)


 サザンオールスターズを記事のタイトルにしておきながら、別の話から始めてしまい恐縮なのだが、ブルース・スプリングスティーンという人は立派な人だなと思うニュースがあった。

 トランプ大統領のホワイトハウスにおける夕食会で起きた銃撃事件について、スプリングスティーンが「大統領を始め、政権関係者、出席者が全員無事だったことに感謝の祈りを捧げます」と言ったニュースのことである。

 これは、普段、どんなに敵対している相手であっても、その命を奪うことは間違いであり、政策について是々非々でやりあうべきだという意味なのだろう。

 筆者はスプリングスティーンの曲は昔から大好きなのだが、彼を含め、その曲を書いているミュージシャンの人柄や背景には興味がないし、ミュージシャンは政治的な発言をしない方がいいと思っている。

 しかし、そんな筆者でも今回のスプリングスティーンの言葉は本当に素晴らしいと感じたし、彼のような人が真のリベラルであり、日本には殆どいないタイプの人物だと思った。

 世の中には、敵対している人の命が失われることを望んだり、それを言ったり書いたりする人も少なからず存在するが、そういう人は一人の人間として成熟していない幼稚な人であり、何事に関しても議論する価値のない人だ。

 そこまで極端な発言ではないが、今の日本ではリベラルと自称する反日活動家がメディアで幼稚な発言をして、メディアに出れば出るほど多くの日本人から嫌わていくという現象が続いている。

 この現象は日本にとっては喜ばしいことなのだが、筆者が疑問に思うのは、「人前に出る仕事をしているのに、こんなにも人気者になる方法を知らないものなのか?」ということだ。

 日本でリベラルを自称する人の多くは、クラスや職場で嫌われる人と全く同じ傾向にある。

 つまり、クラスや職場で自分本位の正義を振り回し、集団の和を乱す人のことだ。

 自分の行いや考え方は正義であり、それを愚かな周りの人に教えてやっているという上から目線で感情的に言ってくるのだから人気者になれるわけがない。

 そもそも殆どの人は少なからず自分が正義だと思っているので、本当にそれが正義か否かを判断するためには相当緻密な分析が必要なはずだ。

 筆者は学生のときも、就職してからも、常に人気者になるということを意識してきた。

 今では、ほぼ毎日、若い人たちの前に出て喋る仕事をしているので、人気者になれるような言葉選びをしており、ある意味あざとくもあるのだが、この言葉選びのセンスは人前に出る職業の人にとって必須のスキルである。

 学生時代は人気者なった方が女子からも好感をもたれるし、就職後は、仕事もし易くなるし、結果として良い仕事に関わることができて報酬も上がる。

人気者になるにはいくつかのセオリーがあると思うのだが、絶対に必要なのは常に正論を言うということだ。

 正論を言えば、周りの人から、この人とはまともな会話ができるなと思ってもらえる。

 逆に絶対にやってはいけないことは感情的になることだ。

 感情的に話す人はクラスでも職場でも相手にされなくなる。

 ちょっと話の繋げ方が強引だが、筆者が自分のお金で初めて買ったサザンオールスターズのアルバムは 人気者で行こう だった。

 当時も今も、このタイトルがメッチャ好きだ。

 このタイトルのとおり、サザンオールスターズは、多くの日本人に愛される人気者となり、今や日本の国民的バンドとなった。

 世の中には人気のあるものを嫌うという、斜に構えた人もいるので、全ての日本人に愛されているとは言えないが、サザンを嫌いと言う日本人を探す方が難しいのではないだろうか?

 ソングライターとしての桑田佳祐の凄いところは数多くあると思うのだが、一番の凄さは、その言語感覚である。

 もちろんメロディーメーカーとしての才能は今更言うまでもないのだが、子供の頃に初めてテレビで "勝手にシンドバッド" を聴いたときに感じたのは、何を言っているか殆ど分からないのだが、それにも関わらず、やたらと耳に残るということだった。

 彼がメロディーに歌詞を乗せるときの韻の踏み方は、真似をしようとしてもできるものではなく、ある程度の訓練はあったと思うのだが、持って生まれた才能も多分にあるのではないだろうか?

 極端な話だが、ヴォーカルというものは歌詞が何を言っているか分からなくても、韻を踏んでいれば心地よく聴けるものである。

 逆に歌詞を詩として読んだときに優れていたとしても、歌ったときに韻を踏んでいなければ聴いていられないものである。

 その言語感覚に加えて、やはり凄いのは、言うまでもなくコンポーザーとして才能だろう。

 多くのミュージシャンは長く活動を続けているとコンポーザーとしての才能が枯渇していくことが多いのだが、桑田佳祐に関しては枯渇する気配がない。

 おそらく相当努力しているとは思うのだが、これもやはり、持って生まれた才能が多分にあるのではないだろうか?

 98年に ベスト・アルバム「海のYeah!!」が発売されて以降、これを聴くことの方がオリジナル・アルバムよりも多くなりがちなのだが、久々にデビュー・アルバム「熱い胸さわぎ」から「KAMAKURA」までの8作品を聴いてみた。

 もしかすると、けっこうしんどい時間になるのかなと思ったのだが、そんなことは全くなく、とても楽しい時間になった。


熱い胸さわぎ

 1stスタジオアルバム
 リリース:1978年8月25日
 プロデュース:高垣健, Burning Publishers

No. タイトル 作詞 作曲 編曲
A面
1 勝手にシンドバッド 桑田佳祐 桑田佳祐 斉藤ノブ, サザンオールスターズ, Horn Spectrum(管編曲)
2 別れ話は最後に 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, Horn Spectrum(管編曲)
3 当って砕けろ 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, Horn Spectrum(管編曲)
4 恋はお熱く 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
5 茅ヶ崎に背を向けて 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, Horn Spectrum(管編曲)
B面
1 瞳の中にレインボウ 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
2 女呼んでブギ 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, Horn Spectrum(管編曲)
3 レゲエに首ったけ 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, Horn Spectrum(管編曲)
4 いとしのフィート 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, Horn Spectrum(管編曲)
5 今宵あなたに 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, Horn Spectrum(管編曲)

[comment]
 ロックン・ロールとサンバと歌謡曲がゴチャ混ぜになったようなデビュー曲 "勝手にシンドバッド" で、当時、日本中の度肝を抜いたサザンオールスターズの記念すべきデビュー・アルバム。
 当時の筆者は坊主頭の小学3年生。
 初めて "勝手にシンドバッド" を聴いたときは、歌詞が殆ど聴き取れなかったのだが、「今何時?そうねだいたいね」と「胸騒ぎの腰つき」というフレーズだけはしつこいくらい耳に残った。
 短パン姿でギターを弾いている桑田佳祐を見たときは「コミック・バンドかな?」と誤解しそうにもなったのだが、そうこうしている間に教室でクラスメイトが「今何時?」と言い始めた。
 子供の心にガッツリ入り込んだこの瞬間、サザンが国民的バンドになることが約束されたのではないだろうか?
 このアルバム自体は中学生になってから後追いで聴いたのだが、桑田佳祐自身が「一切の後悔がない」と言っているとおり、収録曲の全てが名曲であり、日本の音楽史に残る記念碑的名盤だ。
 特に "女呼んでブギ" のエロさは凄い!


10ナンバーズ・からっと

 2ndスタジオアルバム
 リリース:1979年4月5日
 プロデュース:Burning Publishers

No. タイトル 作詞 作曲 編曲
A面
1 お願いD.J. 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(弦管編曲)
2 奥歯を食いしばれ 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
3 ラチエン通りのシスター 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
4 思い過ごしも恋のうち 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(管編曲)
5 アブダ・カ・ダブラ (TYPE. 1) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
B面
1 アブダ・カ・ダブラ (TYPE. 2) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
2 気分しだいで責めないで 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(管編曲)
3 Let It Boogie 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 兼崎ドンペイ(管編曲)
4 ブルースへようこそ 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
5 いとしのエリー 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(弦編曲)

[comment]
 2ndシングル "気分しだいで責めないで"、3rdシングル "いとしのエリー"、4thシングル "思い過ごしも恋のうち" を含む2ndアルバム。
 筆者を含め、当時のリスナーはサザンに対し、ちょっとコミック・バンド的なイメージを持っていたのだが、そんな間違ったイメージを払拭し、サザンをスーパースターの座に押し上げたのが "いとしのエリー" だ。
 このアルバムも中学生になってから後追いで聴いたのだが、当時、一番心に残った曲は、 桑田佳祐らしさ、茅ヶ崎らしさが全開の名バラード "ラチエン通りのシスター" だった。


タイニイ・バブルス

 3rdスタジオアルバム
 リリース:1980年3月21日
 プロデュース:高垣健, Burning Publishers

No. タイトル 作詞 作曲 編曲
A面
1 ふたりだけのパーティ ~ Tiny Bubbles (type-A) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(弦管編曲)
2 タバコ・ロードにセクシーばあちゃん 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(弦管編曲)
3 Hey! Ryudo! (ヘイ! リュード!) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲)
4 私はピアノ 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲)
5 涙のアベニュー 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲)
B面
1 TO YOU 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲)
2 恋するマンスリー・デイ 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
3 松田の子守唄 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(弦管編曲)
4 C調言葉に御用心 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(弦管編曲)
5 Tiny Bubbles (type-B) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
6 働けロック・バンド (Workin' for T.V.) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲)

[comment]
 これもリアルタイムでは聴いていないのだが、この頃にはサザンのことをコミック・バンド的に扱う風潮が無くなり、実力派バンドとして業界で一目置かれる存在になっていたらしい。
 アルバムのオープニング "ふたりだけのパーティ" では、桑田佳祐の敬愛するリトル・フィートのローウェル・ジョージ風スライド・ギターが秀逸な本格的なロックを聴かせてくれるのだが、同時に "私はピアノ" のような昭和ムード歌謡も書けてしまうところが桑田佳祐の凄さだ。
 "C調言葉に御用心" は、初期サザンを代表する珠玉の名曲。


ステレオ太陽族

 4thスタジオアルバム
 リリース:1981年7月21日
 プロデュース:高垣健, サザンオールスターズ

No. タイトル 作詞 作曲 編曲
A面
1 Hello My Love 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲)
2 My Foreplay Music 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
3 素顔で踊らせて 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
4 夜風のオン・ザ・ビーチ 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
5 恋の女のストーリー 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
6 我らパープー仲間 桑田佳祐 桑田佳祐 八木正生
B面
1 ラッパとおじさん (Dear M.Y's Boogie) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲)
2 Let's Take a Chance 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲)
3 ステレオ太陽族 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
4 ムクが泣く 関口和之 関口和之 サザンオールスターズ
5 朝方ムーンライト 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
6 Big Star Blues (ビッグスターの悲劇) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
7 栞のテーマ 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ

[comment]
 これまでにどれくらい Burning Publishers(バーニングパブリッシャーズ)が音楽面で支えていたのかは不明だが、本作から Burning Publishers がプロデュースから外れた。
 全体的に AOR(Album-Oriented Rock ではなく Adult-Oriented Rock の方)的な雰囲気を持つ作風であり、八木正生が弦管編曲として新たに加わったことが作風の変化をもたらしたのだろう。
 "我らパープー仲間" は、サザンが編曲に関わっておらず、八木正生が単独で編曲しており、これは初めての試みなのではないだろうか?


NUDE MAN

 5thスタジオアルバム
 リリース:1982年7月21日
 プロデュース:高垣健, サザンオールスターズ

No. タイトル 作詞 作曲 編曲
A面
1 DJ・コービーの伝説 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
2 思い出のスター・ダスト 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
3 夏をあきらめて 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲
4 流れる雲を追いかけて 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲)
5 匂艶 THE NIGHT CLUB 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲)
6 逢いたさ見たさ病める My Mind 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
B面
1 PLASTIC SUPER STAR (LIVE IN BETTER DAYS) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(管編曲)
2 Oh! クラウディア 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎, 国本佳宏(管編曲)
3 女流詩人の哀歌 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(管編曲)
4 NUDE MAN 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
5 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
6 来いなジャマイカ 大森隆志 大森隆志 サザンオールスターズ
7 Just A Little Bit 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲)

[comment]
 この頃のサザンは業界で一目置かれるバンドになりながらも、トップ10ヒットからは遠ざかっていたのだが、14thシングル "チャコの海岸物語" でオリコン2位、"匂艶 THE NIGHT CLUB" でオリコン8位というビッグ・ヒットを放ち、見事トップ10に返り咲いた。
 しかし、何故かそのビッグ・ヒットと同年に発売されたこのアルバムには "チャコ~" が収録されておらず、こんなことをすると普通はレコード会社と揉めると思うのだが、それを封じ込める力がこの頃のサザンにはあったのだろう。
 もう一方のビッグ・ヒット "匂艶~" は収録されており、こちらは桑田節全開のラテン・フレーバーを効かせたロックであり、歌謡曲っぽい "チャコ~" に比べると、このアルバムに入っていても違和感がない。
 当時の筆者(中学1年)は気づかなかったのだが、今あらためて "匂艶~" を聴くと、「これ、よくテレビで歌えたな」と思うほど歌詞がエロく、昔の放送コードの緩さに驚かされる。
 このアルバムの収録曲はキャッチーと言えばキャッチーなのだが、実験的な要素も多分にある。
 ビッグ・ヒットを狙った曲を書いてテレビへの露出を増やしたのは、このアルバムを違和感なく聴かせるためのようでもある。


綺麗

 6thスタジオアルバム
 リリース:1983年7月5日
 プロデュース:高垣健, サザンオールスターズ

No. タイトル 作詞 作曲 編曲
A面
1 マチルダBABY 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
2 赤い炎の女 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
3 かしの樹の下で 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(胡弓編曲)
4 星降る夜のHARLOT 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
5 ALLSTARS' JUNGO 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
6 そんなヒロシに騙されて 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(管編曲)
7 NEVER FALL IN LOVE AGAIN 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
B面
1 YELLOW NEW YORKER 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
2 MICO 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
3 サラ・ジェーン 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(管編曲)
4 南たいへいよ音頭 関口和之 関口和之 サザンオールスターズ
5 ALLSTARS' JUNGO (Instrumental)   桑田佳祐 サザンオールスターズ
6 EMANON 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦管編曲)
7 旅姿六人衆 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ

[comment]
 サザンの曲には時代を超越した普遍性があるので、この時代の曲を聴いても古さを感じることはあまりないのだが、このアルバムのオープニング "マチルダBABY" のシンセ・ドラムはニュー・ロマンティックっぽくて流石に時代を感じさせる。
 前年の "Ya Ya (あの時代を忘れない)"、同年の "ボディ・スペシャル II (BODY SPECIAL)" というトップ10ヒットは収録されておらず、アルバムには既発曲はなるべく収録せずに、可能な限り多くの新曲をファンに届けようという、意気込みが感じられる。
 収録曲数もLPレコードの限界に挑戦しているようだ。
 初期サザンのアルバムでは、最も英国ロックよりの曲が多く収録されている。


人気者で行こう

 7thスタジオアルバム
 リリース:1984年7月7日
 プロデュース:高垣健, サザンオールスターズ

No. タイトル 作詞 作曲 編曲
A面
1 JAPANEGGAE (ジャパネゲエ) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 矢口博康
2 よどみ萎え、枯れて舞え 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
3 ミス・ブランニュー・デイ (MISS BRAND-NEW DAY) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(弦編曲)
4 開きっ放しのマシュルーム 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 矢口博康
5 あっという間の夢のTONIGHT 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
6 シャボン 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生(弦編曲)
B面
1 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(管編曲)
2 夕方 Hold On Me 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 新田一郎(管編曲)
3 女のカッパ 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
4 メリケン情緒は涙のカラー 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
5 なんば君の事務所   大森隆志 サザンオールスターズ, 藤井丈司
6 祭はラッパッパ 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 藤井丈司
7 Dear John 桑田佳祐 桑田佳祐, 八木正生 八木正生

[comment]
 初めてリアルタイムで買ったサザンのアルバムがこれだった(当時、中学3年)。
 当時、盛んにプロモーションされていた記憶があり、筆者としては「人気者で行こう」というタイトルがメチャクチャ気に入っていた。
 前作に引き続き、シンセサイザーを積極的に取り入れているのだが、「サザンっぽくない」という感じは無くなり、トップ10ヒットになった "ミス・ブランニュー・デイ (MISS BRAND-NEW DAY)" はテクノと桑田流のロックン・ロールが見事に融合した日本の音楽史に残る名曲になった。
 人気者で行くためには、古いものにしがみつかず、新しいものへの適応力が必須なのである。


KAMAKURA

 87thスタジオアルバム
 リリース:1985年9月14日
 プロデュース:サザンオールスターズ, 高垣健, 藤井丈司

No. タイトル 作詞 作曲 編曲
A面
1 Computer Children 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 藤井丈司
2 真昼の情景 (このせまい野原いっぱい) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 藤井丈司, 大谷幸
3 古戦場で濡れん坊は昭和のHero 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
4 愛する女性ひととのすれ違い 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 藤井丈司
5 死体置場でロマンスを 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 大谷幸
B面
1 欲しくて欲しくてたまらない 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 藤井丈司
2 Happy Birthday 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 藤井丈司
3 メロディ (Melody) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ
4 吉田拓郎の唄 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 藤井丈司, 新田一郎(管編曲)
5 鎌倉物語 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 大谷幸(弦編曲)
C面
1 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 藤井丈司
2 Bye Bye My Love (U are the one) 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, リアル・フィッシュ
3 Brown Cherry 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 藤井丈司, 新田一郎(管編曲)
4 Please! 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 原田末秋
5 星空のビリー・ホリデイ 桑田佳祐 桑田佳祐, 八木正生 八木正生
D面
1 最後の日射病 関口和之 関口和之 サザンオールスターズ, 大谷幸
2 夕陽に別れを告げて 〜 メリーゴーランド 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 大谷幸
3 怪物君の空 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 藤井丈司
4 Long-haired Lady 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 八木正生
5 悲しみはメリーゴーランド 桑田佳祐 桑田佳祐 サザンオールスターズ, 大谷幸

[comment]
 前作に続き、当時、盛んにプロモーションされていた記憶がある。
 このアルバムは同級生のI君が買ったので、最初は彼から借りて聴いたのだが、その後、自分でも買うことになった。
 製作中に1枚に収まらなくり、結果的に2枚組になったという経緯があるアルバムであり、20曲も収められている。
 これがサザンの最高傑作かと問われれば違うと思うのだが、デビューからこの時点に至るまでのサザンの全てを表しているようなアルバムであり、最初の到達点のようなアルバムだ。
 サザンはこのアルバムの後、活動休止期間に入り、次作「Southern All Stars」の発売は、約5年後の1990年となる。

#0488) 好きな日本のバンド(1)LOUDNESS【デビューから米国進出まで】


LOUDNESS [ラウドネス]

出身地:大阪府


 ロック・ミュージシャンには左派・リベラルが多いと言われるが、当然ながら、そうでない人もいる。

 なお、日本の場合、他国と比べて左派・リベラルの定義が難しく、筆者は、日本における左派・リベラルと呼ばれる人の実態は単なる反日活動家だと思っている(ただし、これは筆者だけではなく多くの日本人の共通認識だろう)。

 今回取り上げる LOUDNESS のヴォーカリスト、二井原実は愛国者であることを伺わせる発言があるので、どうちらかと言えば保守派であり、筆者と同様に標準的な日本人の思考を持つ人物なのだと思う。

 「ロック・ミュージシャンには、何故、左派・リベラルが多いのか?」という疑問に対し、筆者は「それは考える必要もないだろう」と言いきれる明確な答えがあると思っている。

 それは、左派・リベラルと言われるロック・ミュージシャンは、「左派・リベラルな発言をした方が、人からカッコいいと思われる」と考えているからだろう。

 筆者がそう思う理由は、昨今の「ウクライナ問題」や「イラン問題」に言及するする左派・リベラルのロック・ミュージシャンは多いが、「チベット問題」や「新疆ウイグル自治区問題」に言及する左派・リベラルのロック・ミュージシャンは殆どいないからだ。

 左派・リベラルな発言をするロック・ミュージシャンにとって、「ウクライナ問題」や「イラン問題」に言及することはカッコいいことだが、「チベット問題」や「新疆ウイグル自治区問題」に言及することはカッコいいことではないのだろう。

 多くのロック・ミュージシャンが言っていることなんて、その殆どがポーズであり、本気で世界のことを考えているのではなく、人からカッコいいと思われることを言っている自分に酔っているだけだ。

 ロック・ミュージシャンという職業はカッコつけることが営業活動の一つであり、昭和の言葉で言えば「カッコマン」である。

 カッコマンであるロック・ミュージシャンの言うことは、彼らの営業活動の一環であり、彼らの曲を聴くリスナーが本気で受け止める価値なんでないのである。

 さて、本題の LOUDNESS だ。

 2026年現在、海外進出を果たした日本のミュージシャンは数多存在するが、日本の音楽産業における歴史的なマイルストーンとして、LOUDNESS を超えることのできるミュージシャンが、この先現れることはない。

 後述する アルバム THUNDER IN THE EAST のコメントにも書いたのだが、彼らが当該アルバムをリリースした1985年はまだコンピュータが一般人に普及していない時代であり、インターネット(つまり TCP/IP を用いたネットワーク)は、米国の政府機関や軍事機関、大学などでしか使われていない時代である。

 従って、現在の WWW を構築する The Internet なんて使える時代ではないので、日本のロック・ミュージシャンが海外進出を果たすためには、リスナーに支持される曲を書き、過酷なコンサート・ツアーを続けるしか方法はないのである。

 当時、海外進出を目指すロック・ミュージシャンには、優れた音楽的才能と同じくらい、強靭な肉体と精神が必要だった。

 そんな時代に LOUDNESS は海外に向けて戦いを挑み、米国はもとより欧州でも一定の評価を得ることに成功した。

 日本にとって、LOUDNESS とは単なるヘヴィ・メタル・バンドではなく「誇り」なのである。


THE BIRTHDAY EVE 〜誕生前夜〜

 1stスタジオアルバム
 リリース:1981年11月25日

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 Loudness 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
2 Sexy Woman 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
3 Open Your Eyes 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
4 Street Woman 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
5 To Be Demon 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
6 I'm On Fire 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
7 High Try 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
8 Rock Shock (More And More) 二井原実 高崎晃 LOUDNESS

[comment]
 日本のハード・ロックは FLOWER TRAVELLIN' BAND、CREATION、紫、BOWWOW といった偉大な先人によって切り開かれたわけだが、日本のヘヴィ・メタルは、この LOUDNESS のデビュー・アルバムによって誕生したと言っていいだろう。
 リリースは1981年、つまり昭和56年なので、さすがにアルバム・プロダクションには古さを感じるのだが、このバンドの演奏力の高さや安定感は充分に感じることができる。


DEVIL SOLDIER 〜戦慄の奇蹟〜

 2ndスタジオアルバム
 リリース:1982年7月21日

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 Lonely Player 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
2 Angel Dust 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
3 After Illusion 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
4 Girl 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
5 Hard Workin' 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
6 Loving Maid 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
7 Rock the Nation 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
8 Devil Soldier 二井原実 高崎晃 LOUDNESS

[comment]
 1stの1曲目 "Loudness" は小気味よいはシャッフルが70年代のハード・ロックを引きずっていたのだが、この2ndは80年代的なメタル・チューン "Lonely Player" で幕を開け、アルバムの最後まで硬質なヘヴィ・メタルが貫かれている。
 今、このアルバムを聴いていると、既に当時の彼らが持っていた「日本を飛び出して世界市場に戦いを仕掛ける」という野心がダイレクトに伝わってくる。


THE LAW OF DEVIL'S LAND 〜魔界典章〜

 3rdスタジオアルバム
 リリース:1983年1月25日

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 Theme of Loudness 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
2 In the Mirror 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
3 Show Me the Way 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
4 I Wish You Were Here 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
5 Mr.Yes Man 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
6 The Law of Devil's Land 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
7 Black Wall 二井原実 山下昌良 LOUDNESS
8 Sleepless Night 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
9 Speed 二井原実 高崎晃 LOUDNESS

[comment]
 先ず最初に、筆者は日本的な味わいのあるロックが好きだということを断っておきたい。
 この3rdアルバムは「日本語で歌っている」ということ以外、良い意味で日本的な味わいが皆無であり、当時の日本において、これほど世界レベルで通用するヘヴィ・メタルを作り上げた彼らの才能には感服するしかない。


DISILLUSION 〜撃剣霊化〜

 4thスタジオアルバム
 リリース:1984年1月21日

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 Crazy Doctor 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
2 Esper 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
3 Butterfly (魔性の女) 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
4 Revelation (啓示) 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
5 Exploder   高崎晃 LOUDNESS
6 Dream Fantasy (夢・Fantasy) 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
7 Milky Way 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
8 Satisfaction Guaranteed 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
9 Ares' Lament (アレスの嘆き) 二井原実 高崎晃 LOUDNESS

DISILLUSION (English Version)

 リリース:1984年7月21日

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 Anthem (Loudness Overture)   Akira Takasaki LOUDNESS
2 Crazy Doctor Tommy McClendon Akira Takasaki LOUDNESS
3 Esper Tommy McClendon Akira Takasaki LOUDNESS
4 Butterfly Tommy McClendon Akira Takasaki LOUDNESS
5 Revelation Tommy McClendon Akira Takasaki LOUDNESS
6 Exploder   Akira Takasaki LOUDNESS
7 Dream Fantasy Tommy McClendon Akira Takasaki LOUDNESS
8 Milky Way Tommy McClendon Akira Takasaki LOUDNESS
9 Satisfaction Guaranteed Tommy McClendon Akira Takasaki LOUDNESS
10 Ares' Lament Tommy McClendon Akira Takasaki LOUDNESS

[comment]
 これは「日本のヘヴィ・メタルの歴史」という限定的なものではなく、「ヘヴィ・メタルの歴史」に燦然と輝く名盤である。
 次作で本格的な全米進出を果たすわけだが、第1期 LOUDNESS の真髄はこのアルバムにあるのではないだろうか?
 English Version における二井原実の英語は、マックス・ノーマンから鬼のシゴキを受ける前なので、もしかすると英語ネイティヴの人には聴き取りにくいのかもしれなが、「日本人はヘヴィ・メタルをプレイできない」という当時の常識を根底から覆した記念碑的な名盤である。


THUNDER IN THE EAST

 5thスタジオアルバム
 リリース:1985年1月21日

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 Crazy Nights 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
2 Like Hell 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
3 Heavy Chains 二井原実 山下昌良 LOUDNESS
4 Get Away 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
5 We Could Be Together 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
6 Run for Your Life 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
7 Clockwork Toy 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
8 No Way Out 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
9 The Lines Are Down 二井原実 高崎晃 LOUDNESS
10 Never Change Your Mind 二井原実 高崎晃 LOUDNESS

[comment]
 本格的な全米進出を成し遂げたアルバムであると共に、日本人のヘヴィ・メタルを世界に認めさせた記念碑的アルバムだ。
 このアルバムは、80年代に隆盛を極めたLAメタル(グラム・メタル)の要素を取り入れており、LOUDNESS 本来の音楽性からは多少ズレているのだが、売り上げを伸ばすために流行を取り入れるのはどの業界でも当たり前の話だ。
 インターネットなんて、まだ米国の政府機関や軍事機関、大学などでしか使われていなかった時代である(補足:当時は TCP/IP で接続されたネットワークであればローカルエリアであっても Internet であり、現在の WWW を構築している The Internet とは少し定義が異なる)。
 成功を得るためには、リスナーから支持される曲を書いて、過酷なコンサート・ツアーに出るしか方法のなかった時代に LOUDNESS はこれを実行して米国市場に戦いを挑み、一定の成功を収めた。
 このアルバムが無ければ、VOW WOW や E・Z・O といった日本のヘヴィ・メタル・バンドの海外進出にはもう少し時間を要したかもしれない。

#0487) 好きな日本人シンガー(7)杉山清貴【embark時代 [1986年~1992年]】


 今回書く記事とは別件なのだが、3月16日に非常に痛ましい報道があった。
 同志社国際高校の女子生徒がお亡くなりになられた、沖縄県名護市辺野古沖の船転覆事故だ。

 この場を借りて、事故の犠牲となった女子生徒の御霊のご平安を心よりお祈りするとともに、哀悼の誠を捧げたく存じます。
 併せて、女子生徒のご遺族の方たちには、心よりお悔やみ申し上げたく存じます。

 筆者は滅多にこのような内容を自分のブログに書くことは無いのだが、この事故についてはあまりにも悲しみが深く、激しい憤りを感じたため書くことにした。
 なにより、犠牲者の女子生徒と同じ京都人として、この事故があまりも身近なものに思えてならなかった。

 この事故と深い関わりを持つ、日本には全く不要な政党である日本共産党と社会民主党には早急に解党してもらいたい。
 そして、人類にとって全く不要な思想である共産主義や社会主義は早急に消滅してもらいたい。


杉山 清貴 [すぎやま きよたか]

origin: 横浜市


 今回取り上げる杉山清貴は、元々は「杉山清貴&オメガトライブ」というバンドのリード・シンガーなのだが、このバンドとその後の展開が実におもしろい。

 「杉山清貴&オメガトライブ」は1980年から1985年というプレ・バブルみたいな時期に売れていたバンドなのだが、バンド解散後、杉山清貴はソロ・シンガーとなり、ギタリストの高島信二とキーボーディストの西原俊次は、カルロス・トシキをリード・シンガーに迎えて「1986オメガトライブ」を結成した。

 そして、杉山清貴、1986オメガトライブ、ともに売れて大成功したのである。

 元々売れていたバンドが解散して、そのリード・シンガーと後継バンドが両方とも売れるケースは稀なのではないだろうか?(ちゃんと調べたわけではないが)

 杉山清貴のソロ・デビューは1986年であり、これは日本におけるバブルの開始時期と重なっているため、筆者にとっての杉山清貴はバブル期のスターという印象が強い。

 当時の筆者は既に洋楽ロックを聴いていたのだが、興味の対象はロックよりもDCブランド系のファッションに対する関心の方が強かった。

 バブル期を含む80年代の日本と言えば、川久保玲(COMME des GARÇONS)や山本耀司(Yohji Yamamoto)といったファッション業界における時代の寵児が世界に衝撃を与えた時代であり、筆者も彼らのデザインするウェアに夢中だった。

 ただ、ギャルソンやヨウジヤマモトは、あまりにも先鋭的すぎるため、相当頑張らなければ着れない服でもあった。

 なので、筆者が当時好んで買っていたのは奇抜さを抑えたデザインが秀逸なNICOLEだった。

 NICOLEは80年代の芸能人にも好まれており、今回取り上げている杉山清貴も着ていることがあり、筆者は杉山清貴のファッションを頑張って真似ていたのである。

 まぁ、そもそも土台の良し悪しに雲泥の差があるため、どれだけ真似をしても似るはずがないのだが...

 とにかく杉山清貴というシンガーの特徴は「爽やかさ」であり、彼の歌声の「爽やかさ」は歴代の日本のシンガーの中でもトップクラスだと言える。

 筆者は、もし自分がシンガーになれたなら「こういう声が欲しいな」と思う日本のシンガーが二人いる。

 一人は既に取り上げた德永英明であり、もう一人は今回取り上げる杉山清貴だ。

 今回は杉山清貴の最盛期ともいえるembarkレーベルから音源をリリースしていた時代のアルバムを改めて聴き直してみた。

 当時、これらのアルバムはレコードやCDで聴いていたのだが、今では低価格の音楽配信サイトで手軽に聴けるようになり、とてもありがたい。

 冬も終わり、間もなく夏が来るので、しばらくは杉山清貴の曲を聴いて、来るべき夏に思いを馳せたい。

 しかし、当時の夏に比べて今の夏は暑すぎるのだが...


beyond...

 1st studio album
 released: 1986/07/02
 label: VAP/embark
 produce: 杉山清貴

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 ocean 大津あきら 杉山清貴 佐藤準
2 what rain can do to love 杉山清貴, 英訳詞: 山口美江 志熊研三 志熊研三
3 position 0 の憂鬱 青木久美子 杉山清貴 志熊研三
4 one more night 大津あきら 杉山清貴 笹路正徳
5 alone 松井五郎 佐藤健 佐藤健
6 illusionを消した夜 麻生圭子 杉山清貴 松下誠
7 you don't know me 園部和範 杉山清貴 志熊研三
8 long time ago 松井五郎 杉山清貴 松下誠
9 さよならのオーシャン 大津あきら 杉山清貴 佐藤準
10 reflexive love 青木久美子 杉山清貴 志熊研三
11 miss.dreamer 大津あきら 佐藤健 志熊研三
12 shadow 麻生圭子 杉山清貴 松下誠

[comment]
 記念すべきソロ・デビュー・アルバム。
 ヒット曲 "さよならのオーシャン" をサンプリングしたオープニングは、ちょっと凝りすぎてて「うん?」となるのだが、2曲目以降は夏のリゾート気分を存分に味わえる。


realtime to paradise

 2nd studio album
 released: 1987/03/21
 label: VAP/embark
 produce: 杉山清貴

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 REALTIME TO PARADISE 大津あきら 杉山清貴 佐藤準
2 MYSTIC LADY 青木久美子 杉山清貴 笹路正徳
3 BOUND FOR RIVER'S ISLAND 青木久美子 杉山清貴 佐藤健
4 タイをはずして 青木久美子 杉山清貴 松下誠
5 想い出のサマードレス 松井五郎 磯広行 磯広行
6 BORDER LINE 大津あきら 杉山清貴 笹路正徳
7 Cape Light 売野雅勇 小田裕一郎 笹路正徳
8 MOVING MY HEART 青木久美子 杉山清貴 松下誠
9 モノローグ 松井五郎 佐藤健 佐藤健
10 THE DREAM Tommy Snyder 杉山清貴 磯広行
11 最後のHoly Night 売野雅勇 杉山清貴 笹路正徳

[comment]
 ウェストコースト・ロックからの影響が強くなった。
 日本の温帯湿潤気候のような夏ではなく(というか今の日本はもう亜熱帯か?)、地中海性気候のような乾いた夏が似合うサウンドだ。


kona weather

 3rd studio album
 released: 1987/12/19
 label: VAP/embark
 produce: 杉山清貴

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 KONA WIND 田口俊 杉山清貴 木戸やすひろ, 杉山清貴, 比山清
2 DOUBLE RAINBOW 田口俊 杉山清貴 芳野藤丸
3 PARK SIDE ROMANCE 青木久美子 杉山清貴 松下誠
4 MIDNIGHT CONFUSION (恋にナイフを!) 青木久美子 杉山清貴 芳野藤丸
5 サンセット・ラブソング 安藤芳彦 杉山清貴 鈴木茂
6 HEARTBREAK CITY リンダ・ヘンリック 杉山清貴 松下誠
7 I'LL BE THERE 安藤芳彦 杉山清貴 鈴木茂
8 あの夜の向こうに 安藤芳彦 杉山清貴 芳野藤丸
9 A PRIME DAYBREAK 青木久美子 杉山清貴 松下誠
10 SHADE〜夏の翳り〜 青木久美子 杉山清貴 佐藤準

[comment]
 当時 kona の意味が分からず、それがハワイの地名だと知ったのはググれる時代になってからだった。
 夏の恋を感じさえるアルバムなのだが、それはずっと続く恋ではなく、一夏の恋のような短く終わりが見えている恋なのである。


here & there

 4th studio album
 released: 1989/05/17
 label: VAP/embark
 produce: 杉山清貴

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 ROCK ISLANDS 田口俊 杉山清貴 新川博
2 リトル・トーキョー 田口俊 杉山清貴 新川博
3 MY GIRL 杉山清貴 杉山清貴 新川博
4 君に逢いたい 青木久美子 杉山清貴 新川博
5 STORMY NIGHTの向こう側 田口俊 杉山清貴 新川博
6 空から降りてくるLONELINESS 青木久美子 杉山清貴 新川博
7 HERE AND THERE 杉山清貴, LYZZ山崎 杉山清貴 新川博
8 OKINAWA IN MAY 田口俊 杉山清貴 新川博
9 プリズム・レインに包まれて 田口俊 杉山清貴 新川博
10 NOAH (虹の大陸) 田口俊 杉山清貴 新川博
11 HOME TOWN 田口俊 杉山清貴 Jeremy Lubbock

[comment]
 真夏の昼の太陽の下ではなく、夏の終わりの夕方から夜にかけての時間を感じさせる作風だ。
 1st~3rdまでは連作的な印象があるのだが、このアルバムはその流れにないような感じがする。


SPRINKLE

 5th studio album
 released: 1990/05/30
 label: ワーナー・パイオニア/embark
 produce: 杉山清貴

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 1945 田口俊 杉山清貴 Tom Keane
ボーカル・アレンジ: Kaz Masumoto & 杉山清貴
2 OVERSEAS CALL 田口俊 杉山清貴 Tom Keane
ボーカル・アレンジ: Kaz Masumoto & 杉山清貴
3 LAST DANCE 杉山清貴 杉山清貴 Tom Keane
ボーカル・アレンジ: Kaz Masumoto & 杉山清貴
4 TELL ME THE TRUTH 杉山清貴 杉山清貴 Tom Keane
ボーカル・アレンジ: Kaz Masumoto & 杉山清貴
5 YOKOHAMA SUNDOWN 田口俊 杉山清貴 Tom Keane
ボーカル・アレンジ: Kaz Masumoto & 杉山清貴
6 いつも君を想ってる 青木久美子 杉山清貴 Tom Keane
ボーカル・アレンジ: Kaz Masumoto & 杉山清貴
7 IN THE FAR EAST 田口俊 杉山清貴 Tom Keane
ボーカル・アレンジ: Kaz Masumoto & 杉山清貴
8 ギャツビー達の長い夜 田口俊 林仁 Tom Keane
ボーカル・アレンジ: Kaz Masumoto & 杉山清貴
9 ALL OF MY LOVE 杉山清貴 杉山清貴 Tom Keane
ボーカル・アレンジ: Kaz Masumoto & 杉山清貴
10 INSPIRATION 青木久美子 杉山清貴 Tom Keane
ボーカル・アレンジ: Kaz Masumoto & 杉山清貴
11 NORTH SHORE SHUFFLE 田口俊 杉山清貴 Tom Keane
ボーカル・アレンジ: Kaz Masumoto & 杉山清貴
ホーン・アレンジ: Jerry Hey
12 THE BIG BLUE
(dedicated to Jacques Mayol)
田口俊 杉山清貴 Tom Keane
ボーカル・アレンジ: Kaz Masumoto & 杉山清貴

[comment]
 "1945" と "IN THE FAR EAST" はけっこう重めの歌詞であり、杉山清貴が作詞家の田口俊にそのような歌詞を依頼したのだろうか?
 明確な変化を感じるのアルバムなのだが、ちょっとコンセプトが分からないアルバムでもあり、実のところ聴いたのは数回のみ。
 リアルタイムで聴いたアルバムはこれが最後だ。


moonset (優しくなれるまで)

 6th studio album
 released: 1991/06/12
 label: ワーナー・パイオニア/embark
 produce: 杉山清貴

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 青空が目にしみる 亜蘭知子 杉山清貴 Tom Keane
2 さよならを探さないで 亜蘭知子 杉山清貴 Tom Keane
3 ハッピー・エンドSINGLES 青木久美子 杉山清貴 Tom Keane
4 CRISIS 青木久美子 杉山清貴 Tom Keane
5 Yellow Ribbon (On The Sea Gull Blvd.) 田口俊, 杉山清貴 Tom Keane Tom Keane
6 ガイア 青木久美子 杉山清貴 Tom Keane
7 潮風のFreedom 亜蘭知子 杉山清貴 Tom Keane
8 Whale Song 田口俊 杉山清貴 Tom Keane
9 優しくなれるまで 杉山清貴 Tom Keane Tom Keane
10 Moonset〜月のしずく〜 田口俊 杉山清貴 Tom Keane

[comment]
 正直なところ前作には嵌れなかったので、このアルバム以降はリアルタイムでは聴いていない。
 リリースから数年遅れで聴いたのだが、初期の作風に戻っていた安心した。


彼方からの風

 7th studio album
 released: 1992/09/25
 label: ワーナーミュージック・ジャパン/embark
 produce: 杉山清貴

収録曲
No. タイトル 作詞 作曲 編曲
1 彼方からの風 杉山清貴 Jeff Pfeifer & Rob Pfeifer 山内薫
バックグラウンドボーカルアレンジ: 杉山清貴
2 潮風に逢いにくればいい 松井五郎 杉山清貴 小林信吾
バックグラウンドボーカルアレンジ: 杉山清貴
3 STORMY HEAVEN 亜蘭知子 杉山清貴 山内薫
バックグラウンドボーカルアレンジ: 杉山清貴
4 水の中の風 田口俊 杉山清貴 山内薫
5 LONG DISTANCEを越えた夜 青木久美子 杉山清貴 小林信吾
バックグラウンドボーカルアレンジ: 杉山清貴
6 TRADE WIND 秋元康 杉山清貴 小林信吾
バックグラウンドボーカルアレンジ: 杉山清貴
7 風の強かった日 田口俊 杉山清貴 山内薫
バックグラウンドボーカルアレンジ: 杉山清貴
8 サーフボードが折れた朝 杉山清貴 林仁 林仁
バックグラウンドボーカルアレンジ: 杉山清貴
9 夏服 最後の日 松井五郎 杉山清貴 小林信吾
10 FOREVER WOMAN 青木久美子 杉山清貴 小林信吾
バックグラウンドボーカルアレンジ: 杉山清貴

[comment]
 バブル崩壊後という時代背景の影響が有るのか無いのか、けっこうダークな印象の曲が多い。
 初めてチャートの一桁代に入らなかったアルバムなのだが、これ以降も息の長い活動が続く。