Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0460) 90年代における個人的 UK ロック 4大アーティスト

Grand Prix / Teenage Fanclub

[title]
Grand Prix [グランプリ]
 5th album
 released: 1995/05/29

  1. About You
  2. Sparky's Dream
  3. Mellow Doubt
  4. Don't Look Back
  5. Verisimilitude
  6. Neil Jung
  7. Tears
  8. Discolite
  9. Say No
  10. Going Places
  11. I'll Make It Clear
  12. I Gotta Know
  13. Hardcore/Ballad

[artist]
Teenage Fanclub [ティーンエイジ・ファンクラブ]
 origin: Glasgow, Scotland, U.K.

[comment]
 2nd アルバムの Bandwagonesque を聴いたときは、英国のシューゲイズと米国のグランジをミックスしただけのように聴こえていたのだが、数年後に曲の良さに気付き、それ以来、掌を返して愛聴するようになったバンド。
 基本的にドラマー以外の3人のメンバーが、それぞれ単独で曲を書くのだが、どのメンバーが書く曲もメロディーが秀逸なのは凄い。
 このバンドのアルバムから一枚選ぶのは難しいのだが、初めて聴くなら徹底して楽曲至上主義に振り切ったこのアルバムがいい。


Casanova / The Divine Comedy

[title]
Casanova [カサノヴァ]
 8th album
 released: 1996/04/29

  1. Something for the Weekend
  2. Becoming More Like Alfie
  3. Middle-Class Heroes
  4. In & Out of Paris & London
  5. Charge
  6. Songs of Love
  7. The Frog Princess
  8. A Woman of the World
  9. Through a Long & Sleepless Night
  10. Theme from Casanova
  11. The Dogs & the Horses

[artist]
 The Divine Comedy [ザ・ディヴァイン・コメディ]
 origin: Enniskillen, Northern Ireland, U.K.

[comment]
 欧米人から見るとアジア各国の違いが分からないように、アジア人の筆者から見ると欧州各国の違いが分からないのだが、一方的に「こういのが欧州っぽい」と思っているイメージにピタリと当てはまるのが The Divine Comedy の音楽だ。
 こういう音楽をバロック・ポップというらしいのだが、その始祖は Scott Walker であり、The Divine Comedy はその後継者と言えるだろう。
 1st ~ 3rd にかけて丁寧に作り上げてきた彼の世界観が、満を持して見事に昇華したロマンティシズムの塊のようなアルバムがこれである。


Everything Must Go / Manic Street Preachers

[title]
Everything Must Go [エヴリシング・マスト・ゴー]
 9th album
 released: 1996/05/20

  1. Elvis Impersonator: Blackpool Pier
  2. A Design for Life
  3. Kevin Carter
  4. Enola/Alone
  5. Everything Must Go
  6. Small Black Flowers That Grow in the Sky
  7. The Girl Who Wanted to Be God
  8. Removables
  9. Australia
  10. Interiors (Song for Willem de Kooning)
  11. Further Away
  12. No Surface All Feeling

[artist]
Manic Street Preachers [マニック・ストリート・プリーチャーズ]
 origin: Blackwood, Caerphilly, Wales, U.K.

[comment]
 内省的で暗い作風の The Holy Bible リリース後、リッチー・エドワーズ (rhythm guitar) の失踪によりバンド解散の危機に直面していた彼らが、リッチー不在のまま3人体制で放った起死回生の一発。
 このバンドの成り立ちを考えると、サポート・ミュージシャンの力を借りることはできても、新メンバーを迎え入れるのは無理なのだと思う。
 逞しく生まれ変わった明るいサウンドは過去最高のヒット作となったが、反体制/反権力というデビュー当時からのイデオロギーは全く失われていない。


Coming Up / Suede

[title]
Coming Up [カミング・アップ]
 4th album
 released: 1996/09/02

  1. Trash
  2. Filmstar
  3. Lazy
  4. By the Sea
  5. She
  6. Beautiful Ones
  7. Starcrazy
  8. Picnic by the Motorway
  9. The Chemistry Between Us
  10. Saturday Night

[artist]
Suede [スウェード]
 origin: London, England, U.K.

[comment]
 バーナード・バトラー (guitar) の脱退によりバンドの行く末が危ぶまれる中、リチャード・オークス を加入させて放った起死回生の一発。
 その状況は、かつて、ブライアン・イーノ (synthesizer and tapes) 脱退後、エディ・ジョブソン (synthesizers, keyboards, violin) を加入させて名盤 Stranded で健在ぶりを見せつけた Roxy Music に似ている。
Suede にとって、このアルバムは過去最高のヒット作となり、初期の耽美な一面は残しながらも、その音楽性には生き生きとした力強さが加わった。


~ 総括 ~

 90年代の UK を代表するアーティストと言えば、OasisBlurRadioheadPulp あたりなのだろうか?

 他には 今回取り上げた Manic Street PreachersSuede も上述のアーティストに肩を並べられる存在だと思う。

Oasis は 1st を聴いて「なかなか良いかも」と思ったのだが10回くらい聴いたら飽きてしまい、2nd も「なかなか良いかも」と思ったのだが5回くらい聴いたら飽きてしまった。

Blur は 1st を聴いて「?」となり、その後、5th までは熱心に聴いてみたものの、3rd 以外はアルバムの最後まで聴くのが苦痛だった。

Radiohead は、1st と 2nd は好きだったのだが、3rd は名盤と思いつつ「?」とも感じてしまい、4th 以降は着いていけなくなった。

Pulp は、当時も今も大好きだ(ただし、一世代前のアーティストという感じがする)。

 筆者にとって、90年代の UK ロックのビッグ4は、今回取り上げた4組だ。

 偶然にも、イングランド(Suede)、スコットランド(Teenage Fanclub)、ウェールズ(Manic Street Preachers)、北アイルランド(The Divine Comedy) という具合に、現在の UK を構成する4つのカントリーになった。

 今回、UK のアーティストを取り上げたのだが、実のところ、50代半ばになった筆者は日常的に聴く音楽の嗜好が変わってしまったので、取り上げた4組のアーティストも殆ど聴かなくなった。

 何となく、当時好きだった UK アーティストとのお別れをするために、この記事を書いたような気がしている。

#0459) キャリアのピークを過ぎた後の名盤

Songs from Black Mountain / Līve

[title]
Songs from Black Mountain [ソングス・フロム・ブラック・マウンテン]
 7th album
 released: 2006/04/10

  1. The River
  2. Mystery
  3. Get Ready
  4. Show
  5. Wings
  6. Sofia
  7. Love Shines (A Song for My Daughters About God)
  8. Where Do We Go from Here?
  9. Home
  10. All I Need
  11. You Are Not Alone
  12. Night of Nights

[artist]
 Līve [ライヴ]
 origin: York, Pennsylvania, U.S.

[comment]
 このアルバムは、母国の米国では52位を記録し、オーストラリアではゴールド認定されているので商業的な成功は収めているのだが、米国だけで800万枚を売り上げて、1位を獲得した 2nd アルバム Throwing Copper 以降の快進撃と比べると、このアルバムの成績が地味に見えてしまうのは否めない。
 しかし、1曲目の "The River" から、いきなり聴く者の心に染み込む名曲であり、そのままアルバムが終わるまで、包容力のある優しくて美しい曲が続く名盤である。
 Ed Kowalczyk [エド・コワルクジーク ] (vo, rhythm gt) の歌が目立ちすぎの感もあるのだが、言い方を変えれば、彼の歌を存分に味わえるアルバムでもある。


Let Love In / Goo Goo Dolls

[title]
Let Love In [レット・ラヴ・イン]
 8th album
 released: 2006/04/29

  1. Stay with You
  2. Let Love In
  3. Feel the Silence
  4. Better Days
  5. Without You Here
  6. Listen
  7. Give a Little Bit
  8. Can't Let It Go
  9. We'll Be Here (When You're Gone)
  10. Strange Love
  11. Become

[artist]
Goo Goo Dolls [グー・グー・ドールズ]
 origin: Buffalo, New York, U.S.

[comment]
 このアルバムも、母国の米国では9位を記録し、米国ではゴールド認定、英国ではシルバー認定されているので商業的には大成功だと思うのだが、5th アルバム A Boy Named Goo、6th アルバム Dizzy Up the Girl という過去のビッグ・ヒットと比べると、成功していないかのように錯覚してしまう。
 筆者にとっては好きすぎて客観的な評価が難しいバンドなのだが、このアルバムについては、過去のビッグ・ヒットと比べても何の遜色もない名盤だと断言できる。
 このアルバムに収録されている曲のメロディーからは前向きな希望が感じられるのだが、ある程度、年を重ねてから分かる切なさも併せ持っているところが実に良いのである。


The Silver Lining / Soul Asylum

[title]
The Silver Lining [ザ・シルバー・ライニング]
 9th album
 released: 2006/06/11

  1. Stand Up and Be Strong
  2. Lately
  3. Crazy Mixed Up World
  4. All Is Well
  5. Bus Named Desire
  6. Whatcha Need
  7. Standing Water
  8. Success Is Not So Sweet
  9. The Great Exaggerator
  10. Oxygen
  11. Good For You
  12. Slowly Rising
  13. Fearless Leade [hidden track]

[artist]
Soul Asylum [ソウル・アサイラム]
 origin: Minneapolis, Minnesota, U.S.

[comment]
 このバンドは、全米5位を記録し、グラミー賞も獲得した93年のシングル "Runaway Train" のヒットが際立って大きすぎるため、一発屋扱いされることが多いのだが、筆者はそれを非常に腹立たしく感じている。
 その後、95年には "Misery" も全米20位のヒットを記録しているので、二発屋と言って欲しい!...というのは冗談で、このバンドのソングライター Dave Pirner [デイヴ・パーナー] はインディー・レーベル(Twin/Tone)時代から良い曲を書いていたので "Runaway Train" だけでこのバンドを語ってほしくないのだ。
 このアルバムはヒット作とは言い難いので、殆ど知られていないかもしれないが、「生きることへの希望」と「挫折のほろ苦さ」が感じられる、バンド史上屈指の名盤なのである。


Major Lodge Victory / Gin Blossoms

[title]
Major Lodge Victory [メジャー・ロッジ・ヴィクトリー]
 4th album
 released: 2006/08/08

  1. Learning the Hard Way
  2. Come On Hard
  3. Someday Soon
  4. Heart Shaped Locket
  5. The End of the World
  6. Long Time Gone
  7. Super Girl
  8. Let's Play Two
  9. Curious Thing
  10. Jet Black Sunrise
  11. Fool for the Taking
  12. California Sun

[artist]
 Gin Blossoms [ジン・ブロッサムズ]
 origin: Tempe, Arizona, U.S.

[comment]
 92年にリリースされた、このバンドの 2nd アルバム New Miserable Experience は、全米で400万枚を売り上げた大ヒット作なのだが、当時トレンドだったグランジの殺伐とした雰囲気のとは無縁の爽やかなパワー・ポップだった。
 このアルバムは、97年に解散した彼らが01年に再結成してから初めてリリースしたアルバムなのだが、胸をキュンとさせる美メロには更に磨きがかかり、栄光と挫折を味わったことで曲の深みが増している。
 全盛期のような大ヒットにはならなかったのだが、個人的には当時と同等か、それ以上の満足感を得られるアルバムだと思っている。


~ 総括 ~

 あえて、そうしたのだが、今回取り上げた4枚は、いずれも2006年のアルバムだ。

Goo Goo DollsSoul Asylum、Gin Blossoms のアルバムはリリースされた2006年に聴いており、いずれのアルバムも、これといって買うあてもなく立ち寄った近所の「タワーレコード京都店」で、「えっ、ニュー・アルバム出てるやん!」という感じで購入した。

 Līve のアルバムだけは発見が遅れ、2~3年経ってから通販サイトで購入した。

 どのアルバムも、バンドとしてキャリアのピークを過ぎてからのアルバムなのだが、ピーク時のアルバムと比較しても遜色が無い上、むしろ楽曲に円熟味が加わり深い味わいを醸し出している。

 限りなく上昇して成功を続けられるアーティストは殆どいないわけであり、一定の成功の後には下降がある。

 そもそも、成功を得られないアーティストの方が多い。

 今回取り上げた4枚に共通している音は「優しさ」であり、たぶん、それは上昇の後の下降を味わったことにより得られた感情なのではないだろうか。

 自分が若い頃は「バンドなんか長いことやるもんやない」と思っていたのだが、50代の半ばを迎える今では「長いことやるのもええかも」と思うようになってきた。

#0458) 好きなサザン・ロック・アルバム6選 (80~90年代編)

A


B

Shake Your Money Maker / The Black Crowes

[title]
Shake Your Money Maker [シェイク・ユア・マネーメイカー]
 1st album
 released: 1990

[artist]
The Black Crowes [ザ・ブラック・クロウズ]
 origin: Atlanta, Georgia, U.S.

[comment]
 90年代のサザン・ロックは、このアルバムによって幕を開けた。
The Allman Brothers Band や Mick Taylor 期の The Rolling Stones に影響を受けた、原点回帰のロックン・ロール・バンド。
サウンドもヴィジュアルもカッコ良すぎたため、そのスタイルは多くのバンドにパクられまくった(例えば英国のあのバンドとか)。
 バンド名はデビュー前の Mr. Crowe's Garden の方がカッコ良いのでは?


C


D

Mystery Road / Drivin' N' Cryin'

[title]
Mystery Road [ミステリー・ロード]
 3rd album
 released: 1989

[artist]
 Drivin' N' Cryin' [ドライヴィン・アンド・クライン]
 origin: Atlanta, Georgia, U.S.

[comment]
 85年結成で86年にデビュー・アルバムをリリースし、2024年1月現在も活動を続けている長寿バンドの代表作。
 サザン・ロックにカテゴライズされることもあるが、南部っぽい豪快なイメージは無い。
 The Flying Burrito Brothers 等、オルタナ・カントリーの影響が大きい。
 バンド名が滅茶苦茶カッコ良いのも魅力の一つ(筆者は N や ' が入るバンド名を好む傾向にある)。


E


F

Tuff Enuff / The Fabulous Thunderbirds

[title]
Tuff Enuff [タフ・イナフ]
 5th album
 released: 1986

[artist]
 The Fabulous Thunderbirds [ザ・ファビュラス・サンダーバーズ]
 origin: Austin, Texas, U.S.

[comment]
 ギタリストの Jimmie Vaughan が、あの Stevie Ray Vaughan の実兄であるという理由で買ったアルバムだが、最初の印象は「?」だった。
 ブルース・ロックというよりはテキサス・ブルースそのもであり、ロックを求めていた当時の筆者には渋すぎたのだ。
 その後、ブルースの魅力を知ってから 1st に嵌り、このアルバムにも戻ってこれた。
 このアルバムを聴いていると、下戸の筆者でもちょっと酒を飲んでみたい気分になる。


G

Georgia Satellites / The Georgia Satellites

[title]
Georgia Satellites [ジョージア・サテライツ]
 1st album
 released: 1986

[artist]
 The Georgia Satellites [ザ・ジョージア・サテライツ]
 origin: Atlanta, Georgia, U.S.

[comment]
 好きなロック・バンドは数多存在するが、このバンドは筆者にとって常に上位にランクされている。
 このアルバム収録のシングル "Keep Your Hands to Yourself" に度肝を抜かれた人は多いのではないだろうか?
 テクノロジー重視の80年代において、それを嘲笑うかのようなプリミティヴな同曲は全米2位に駆け上がった。
 このデビュー・アルバムに限らず、ビッグ・ヒットの出なかった 2nd と 3rd も最高なのだが、惜しむらくは野球チームみたいなバンド名がちょっとダサい。

Gov't Mule / Gov't Mule

[title]
Gov't Mule [ガヴァメント・ミュール]
 1st album
 released: 1995

[artist]
 Gov't Mule [ガヴァメント・ミュール]
 origin: Atlanta, Georgia, U.S.

[comment]
 Warren Haynes (vo, gt) と Allen Woody (ba) は、共に The Allman Brothers Band のメンバーであり、Matt Abts (ds) も凄腕だ。
 従って、演奏技術については折り紙付きなのだが、音楽的には母体である Allman のようなカントリーっぽい明るさは無く、Cream や Free 等、英国のブルース・ロックに近い。
 このデビュー・アルバムでは上述した Free の名曲 "Mr. Big" をカヴァーしている。
 このアルバムに嵌ったら、次は Live at Roseland Ballroom (ライヴ盤) の演奏に酔いしれてもらいたい。


H, I, J, K, L, M, N, O, P, Q, R, S, T, U, V


W

'Til the Medicine Takes / Widespread Panic

[title]
'Til the Medicine Takes [ティル・ザ・メディシン・テイクス]
 6th album
 released: 1999

[artist]
 Widespread Panic [ワイドスプレッド・パニック]
 origin: Athens, Georgia, U.S.

[comment]
 このバンドは配信で音楽を聴くようになってから発見したバンドなのだが、結成は86年、デビュー・アルバムは88年なのでベテランである。
 米国ではジャム・バンドの大御所らしいのだが、当時の日本の音楽雑誌では(たぶん)紹介されていなかった。
 しなやかで奥行きのあるサウンドは耳に心地よく、ずっと聴いていたくなる。
 暖かい日差しと爽やかな風が感じられる音楽だ。


X, Y, Z


~ 総括 ~

 サザン・ロックの最盛期は70年代だと思うのだが、80年代以降も新しいアーティストがコンスタントにメジャー・レーベルから出てくるということは、米国では一定以上の人気があるジャンルなのだろう。

 40歳を過ぎてから、この十数年、新しく登場するアーティストを聴かなくなったのだが、サザン・ロックについては新しいアーティストを探してみたい気分になってきた。

 ただし、新しい音源については、その音質自体に馴染めないので、そこがネックなのだが...

#0457) 好きなサザン・ロック・アルバム10選 (70年代編)

A

Idlewild South / The Allman Brothers Band

[title]
Idlewild South [アイドルワイルド・サウス]
 2nd album
 released: 1970

[artist]
The Allman Brothers Band [ジ・オールマン・ブラザーズ・バンド]
 origin: Jacksonville, Florida, U.S. → Macon, Georgia, U.S.

[comment]
 このバンドの名盤と言えば、必ずと言っていいほど71年の At Fillmore East が挙げられるのだが、これはライヴ・アルバムであり、インプロビゼーションがテンコ盛りなので最初に聴くアルバムとしては敷居が高い。
 先ずは、今回取り上げた 2nd と、1st の The Allman Brothers Band を聴き込んで、ブルースやカントリー等、米国のルーツ・ミュージックに根ざしたこのバンドの曲の良さ、そして、演奏技術の高さを知った方が良い。


B

Strikes / Blackfoot

[title]
Strikes [真紅の砦]
 3rd album
 released: 1979

[artist]
 Blackfoot [ブラックフット]
 origin: Jacksonville, Florida, U.S.

[comment]
 筆者のようなハード・ロック/ヘヴィ・メタルからロックに入った輩にとって、極めて無理なくスムーズに聴き始めることができるサザン・ロック・バンドの一つがこの Blackfoot なのではないだろうか?
 もちろん米国南部のテイストはあるのだが、このバンドの音楽性は、Led ZeppelinHumble Pie、Bad Company 等、米国のブルースに影響を受けたブリティッシュハード・ロックに近い。

High on the Hog / Black Oak Arkansas

[title]
High on the Hog [ハイ・オン・ザ・ホッグ]
 4th album
 released: 1973

[artist]
 Black Oak Arkansas [ブラック・オーク・アーカンソー]
 origin: Black Oak, Arkansas, U.S.

[comment]
 米国において、バンド初の大ヒットとなったアルバムらしいのだが、1曲目の "Swimmin' in Quicksand" はサザン・ロックというよりは濃い目のファンクであり、あまりキャッチーではないので意表を突かれる。
 前述のファンクに加え、カントリー、スウィング、ブギー等、米国のルーツ・ミュージックを1枚のアルバムにゴリ押しで詰め込んでおり、統一性は皆無なのだが何故かこのバンドの世界観に引き摺り込まれてしまう不思議な魅力がある。


C, D, E, F, G, H, I, J, K


L

Second Helping / Lynyrd Skynyrd

[title]
Second Helping [セカンド・ヘルピング]
 2nd album
 released: 1974

[artist]
Lynyrd Skynyrd [レーナード・スキナード]
 origin: Jacksonville, Florida, U.S.

[comment]
 サザン・ロックには豪放磊落なイメージがあるが、このバンドとその音楽性は正にそれを体現しており、このアルバムで聴けるトリプル・ギターを主軸に据えた豪快な演奏はサザン・ロックのイメージそのものだ。
 1st の (Pronounced 'Lěh-'nérd 'Skin-'nérd) も素晴らしいのだが、Neil Young から "Southern Man" で売られた喧嘩へのアンサー・ソング "Sweet Home Alabama" で始まるこの 2nd は格別である。


M

The Marshall Tucker Band / The Marshall Tucker Band

[title]
The Marshall Tucker Band [キャロライナの朝焼け]
 1st album
 released: 1973

[artist]
 The Marshall Tucker Band [ザ・マーシャル・タッカー・バンド]
 origin: Spartanburg, South Carolina, U.S.

[comment]
 筆者が主に聴いている音楽はロックなのだが、何故か一番好きな楽器はフルートであり、このアルバムを聴いたときに魅せられた大きな理由はフルートの音色であり、1曲目 "Take the Highway" におけるフルートのソロは圧巻だ。
 フルートと言えば、ビゼーの『アルルの女』やメンデルスゾーンの『春の歌』等、クラシックのイメージが強いのだが、このアルバムのカントリー調の曲にフルートが入ると何故か牧歌的な雰囲気が増すのである。

Molly Hatchet / Molly Hatchet

[title]
Molly Hatchet [モリー・ハチェット]
 1st album
 released: 1978

[artist]
 Molly Hatchet [モリー・ハチェット]
 origin: Jacksonville, Florida, U.S.

[comment]
 このバンドは上述の Blackfoot と並び、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルのリスナーが違和感なく聴くことができるサザン・ロック・バンドであり、土埃の匂いのするアーシーなハード・ロック・バンドとしての側面もある。
 結成は71年だが、このデビュー・アルバムは78年のリリースであり、当時のロックのトレンドだったパンク/ニュー・ウェイヴに完全に背を向けたトリプル・ギターの豪快なサザン・ロックからは漢気が感じられる。


N


O

Outlaws / Outlaws

[title]
Outlaws [戦慄のアウトローズ]
 1st album
 released: 1975

[artist]
 Outlaws [アウトローズ]
 origin: Tampa, Florida, U.S.

[comment]
 このアルバムの聴きどころは、何といっても Hughie Thomasson のストラトキャスターと Billy Jones のレスポールという、個性が真逆の二人のギタリストによるツイン・ギターのアンサンブルだ。
 Hughie Thomasson のカントリー・テイストなギターと、Billy Jones のブルージーなギターが絡むと乾いた哀愁が溢れ出し、南部のフロリダ出身でありながら、何故か西部っぽさも感じられるところが興味深い。


P, Q, R, S


T

38 Special / 38 Special

[title]
38 Special [38スペシャル]
 1st album
 released: 1977

[artist]
 38 Special [サーティエイト・スペシャル]
 origin: Jacksonville, Florida, U.S.

[comment]
 このバンドの全盛期は80年代初期であり、中でも 4th の Wild-Eyed Southern Boys と 5th の Special Forces は、70年代型のサザン・ロックを80年代仕様にアップデートしたアリーナ・ロックの名盤だ。
 この 1st は曲も素晴らしく、演奏もツイン・リード・ギター、ツイン・ドラムスという、いかにもサザン・ロックらしいサウンドで売れる要素が満載なのに、何故か大ヒットにはならなかった隠れた名盤なのである。


U, V


W

Keep On Smilin' / Wet Willie

[title]
Keep On Smilin' [キープ・オン・スマイリン]
 3rd album
 released: 1974

[artist]
 Wet Willie [ウェット・ウィリー]
 origin: Mobile, Alabama, U.S.

[comment]
 アルバム・カヴァーに使われているギターを弾く老人を見ると戦前のデルタ・ブルースっぽい音を連想してしまうのだが、実際にレコード再生してみるとそこまで古い音ではなく、そこから聴こえてくるのはR&Bだ。
 多くのサザン・ロック・バンドはブルースやカントリーをベースにしているのだが、R&Bをベースにしているバンドはレアであり、特に女性コーラスの入れ方はかなりR&Bっぽくてユニークで興味深い。


X, Y


Z

Tres Hombres / ZZ Top

[title]
Tres Hombres [トレス・オンブレス]
 3rd album
 released: 1973

[artist]
 ZZ Top [ズィー・ズィー・トップ]
 origin: Houston, Texas, U.S.

[comment]
 ZZ Top のアルバムは全て名盤なのだが、80年代からロックを聴き始めた筆者にとっては、当時のテクノロジーを取り入れて超絶ヒットを記録した 8th の Eliminator と 9th の Afterburner への思い入れが深い。
 この 3rd は当然ながら後追いで聴いたアルバムなのだが、Billy Gibbons のギュインと鳴るピッキングハーモニクスが美しく、泥臭いながらも時折感傷的なブルース・ロックが聴ける初期の名盤である。


~ 総括 ~

 ロックを聴き始めてから40年以上が経過しているのだが、50歳の手前あたりから聴くジャンルに明確な偏りが生じてきた。

 そもそも、新しいアーティストは40歳くらいから殆ど聴かなくなったのだが、50歳の手前あたりからはハード・ロック/ヘヴィ・メタル、ロックン・ロール、ハートランド・ロック、そして今回取り上げたサザン・ロックばかりを聴くようになった。

 いずれも、ロックを聴き始めた80年代に出会ったジャンルであり、どちらかと言えばメインストリームであり、コンサバティブな部類に入るジャンルだ。

 今回取り上げたサザン・ロックについては、音楽的に素晴らしいということは当然なのだが、聴き続けても全く疲れないのが良い。

 例えば、Black Sabbath は大好きなのだが、長時間に渡り聴き続けると流石に疲れてしまう。

 しかし、ZZ Top なら一日中聴いていても疲れない。

 休日の日がな一日、音楽配信サービスでサザン・ロックを聴いていると、現実の世界が危機的な状況でも、そこから逃避して仮初の平和に浸れるのだ。

 新しい音楽を受け入れられなくなった筆者のような老人ロック・リスナーにとって、サザン・ロックはとてもありがたい音楽なのである。

#0456) 不遇だったが最高だったUKロックとアイリッシュ・ロック(90年代前期)

Adorable [アドラブル]

origin: Coventry, England, U.K.

[comment]
 何故かシューゲイズにカテゴライズされることのあるバンドだが、バンドのフロントマンである Piotr Fijalkowski (vo, gt) [ピョートル・フィヤルコフスキー] はシューゲイズを嫌っており、筆者もこのバンドはシューゲイズではないと思っている。
 Piotr のヴォーカルは「ささやき系」ではなく、エモーショナルに歌い上げるタイプなので、メロディー・ラインの設計がシューゲイズとは根本的に異なるのだ。
 1stシングルの "Sunshine Smile" がインディー・チャートで1位となり、英国のメディアやリスナーから注目を集めたものの、1stアルバム Against Perfection をリリースした頃にはメディアやリスナーから掌を返したように冷たくあしらわれた不遇のバンド。
 この時期の新人バンドは、The Stone Roses のフォロアー(マッドチェスター)か、My Bloody Valentine のフォロアー(シューゲイズ)でなければ受け入れて貰い難かったのだろうか?
Against Perfection は Echo & the Bunnymen や The House of Love の系譜を受け継ぐ、由緒正しいポストパンク/ニュー・ウェイヴの名盤だ。
 それ故「Ian McCulloch が歌う The House of Love」と揶揄されたりもしたが、Echo & the Bunnymen を敬愛し、バンド解散後は The House of Love の Terry Bickers (gt) と活動を共にする Piotr にとって、それは誉め言葉だ。
 2ndアルバム Fake も名盤であり、特にバンドのラスト・シングルにもなった "Vendetta" は Adorable というバンドの美学が凝縮された名曲である。

【1993】Against Perfection [アゲインスト・パーフェクション]
1st

【1994】Fake [フェイク]
2nd


Power of Dreams [パワー・オブ・ドリームス]

origin: Dublin, Ireland

[comment]
 このバンドのデビュー・アルバム Immigrants, Emigrants and Me には、10代のときにしか表現できないイノセンスが詰め込まれている。
 特に2ndシングルでもある "100 Ways to Kill a Love" を聴いたときは、普段ロックの歌詞を殆ど意識しない筆者なのだが、心に突き刺さってくるプリミティヴな言葉と美しいメロディーに瞬殺されてしまった。
 彼らは、というか、特にフロントマンの Craig Walker (vo, gt) は、母国アイルランドの英雄 U2 が大嫌いで、当時のインタビューでは「大丈夫かな」と心配になるくらいストレートに U2 を批判していた。
 相反して、隣国イギリスの The Smiths が大好きで、再結成後の復活アルバム Ausländer リリース時のインタビューでは「残りの人生で1曲だけ聴けるなら?」という質問に対して、"Some Girls Are Bigger Than Others" と答えるほど、Craig Walker の The Smiths に対する思い入れは深い。
 今、思えば、Power of Dreams は、ソングライティングも達者で、唯一無二の個性もあるのだが、色々な意味で世に出るのが早すぎたバンドだったような気がする。
 とは言え、矛盾しているが、下積みのドサ回りで擦れてしまった彼らを聴きたいとも思わない。
 特に、デビューから2ndアルバム 2 Hell with Common Sense までの彼らを聴いていると、もう二度と取り戻せない失ってしまった大切なものへの思いが蘇り、少し悲しい気分になる。

【1990】Immigrants, Emigrants and Me [イミグランツ・エミグランツ・アンド・ミー]
1st

【1992】2 Hell with Common Sense [トゥ・ヘル・ウィズ・コモン・センス]
2nd


The Seers [ザ・シアーズ]

origin: Bristol, United Kingdom, U.K.

[comment]
 UKロックという言葉からイメージする音楽は人それぞれだと思うのだが、ポストパンク/ニュー・ウェイヴからの影響が薄いロックは、UKロックの定義から外れるような印象がある。
 それ故、例えば The Dogs D'Amour、The Quireboys、The Wildhearts などを聴いているときは、UKロックを聴いているという意識が稀薄であり、それはこの The Seers についても同じである。
 The Seers は、彼らより少し前に登場した Zodiac Mindwarp & the Love Reaction や Crazyhead に近いワイルドなロックン・ロール・バンドなのだが、僅かではあるがUKロックぽっさがあるのが面白い。
 デビュー・アルバムの Psych Out は掛け値なしでロックン・ロールの歴史に残る名盤であり、1曲目 "Wild Man" の短めで妖しげなアコギから始まり、突然爆発する展開は、Hanoi Rocks の名盤 Back to Mystery City を思い出させる。
 このバンドの知名度は、The Stooges、New York DollsRamonesBuzzcocks あたりのレジェンドと比較すると圧倒的に低いのだが、楽曲の水準は互角だ。
 しかし、この時代は、バギー・パンツを履いてマラカスを振って踊り狂うか、俯きながら陰鬱なギターを轟音で掻き鳴らかの、いずれかがトレンドであり、ストレートなロックン・ロール・バンドには分が悪かった。
 2nd の Peace Crazies はロックン・ロール色が後退し、サイケデリックになったのだが、これはこれで捨てがたい魅力のある名盤だ。

【1990】Psych Out [サイケ・アウト]
1st

【1992】Peace Crazies [ピース・クレイジーズ]
2nd


~ 総括 ~

 今回取り上げたバンドは、全て1990年代前半に登場したUKバンドとアイリッシュ・バンドなのだが、非常にクオリティーの高い作品をリリースしながらも、時代の流れに翻弄され、消えていったバンドだ。

 同時代における、筆者にとっての2代巨頭は SuedeManic Street Preachers、そこに2組加えて四天王にするなら Teenage Fanclub と The Divine Comedy が入る。

 今回取り上げた、Adorable、Power of Dreams、The Seers は、上述した筆者にとっての四天王と比較すると、商業的には大きな成功を収めていないと思うのだが、筆者にとっては四天王と同じくらい大切なバンドだ。

 他にも取り上げたいバンドが何組もあるのだが、一度に多くのバンドを取り上げてしまうと焦点がぼやけてしまいそうなので、厳選して特にお気に入りのバンドを3組だけ選んだ。

 いずれまた、同じタイトルで第二弾を書きたいと思う。