Rock & Roll Prisonerの憂鬱

好きな音楽についての四方山話

#0418) PIGEONHOLE / NEW FAST AUTOMATIC DAFFODILS 【1990年リリース】

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#0408でTHE SOUP DRAGONS[ザ・スープ・ドラゴンズ]を取り上げた時に、「マンチェスター出身ではないのに、マッドチェスターっぽいサウンド」と書いたが、今回取り上げているNEW FAST AUTOMATIC DAFFODILS[ニュー・ファスト・オートマティック・ダフォディルズ](以下、New FADS)は、マッドチェスター・ムーヴメントの頃にデビューしたマンチェスター出身のバンドでありながら、マッドチェスターらしくないサウンドなのである。


そもそも、New FADS知名度は、マッドチェスター御三家であるTHE STONE ROSESザ・ストーン・ローゼズ]、HAPPY MONDAYSハッピー・マンデーズ]、INSPIRAL CARPETS[インスパイラル・カーペッツ]と比べると著しく低いので、そんなバンドを取り上げて「マッドチェスターらしくない」という話を記事にしたところで、何の面白みもないのかもしれない。


それにも関わらず、何故New FADSを取り上げるのかと言うと、ただ単に筆者がこのバンドの1stアルバム「PIGEONHOLE」を気に入っているからだ。


このアルバムで聴けるNew FADSの音楽性は、所謂「ダンスとロックの融合」なので、そこだけに焦点を当てるとマッドチェスターということになるのかもしれないが、このバンドの「ダンスとロックの融合」は、他のマッドチェスター系のバンドとは根っこの部分が違っているように思えてならない。


マッドチェスターというと、バギーパンツを履いてマラカスを振って踊り狂うという、享楽的なイメージがあるのだが、New FADSの音楽性には享楽的なイメージが無い。


マッドチェスター系バンドの曲はしなやかなリズムを持つものが多いのだが、New FADSが刻むリズムは非常に硬質であり、享楽的に踊り狂えるものではないである。


多くのマッドチェスター系バンドのレコードは、ドラムスを構成する打楽器の音をあえてボヤっとさせて録音していることが多いのだが、New FADSはドラムス構成する打楽器の音をかなりカッチリと録音している印象を受ける。


そして、New FADSの曲のリズムは、ドラムスよりもパーカッションの方が目立つことが多い。


正直なところ、筆者は上記したような典型的なマッドチェスター風の享楽的なリズムが少し苦手だ。


今でも時々聴く、マッドチェスター系のバンドは、THE STONE ROSES、THE SOUP DRAGONS、そして、New FADSであり、何故この3つのバンドを聴くのかと考えてみたのだが、やはり、単純に曲がカッコ良いからに他ならないのである。

 

#0417) BLUES FOR THE RED SUN / KYUSS 【1992年リリース】

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QUEENS OF THE STONE AGEクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ](以下QOTSA)のJosh Hommeジョシュ・オム]が、QOTSAを結成する前に在籍していたバンドが今回取り上げているKYUSS[カイアス]である。


いきなり話が横道に逸れるが、Josh Hommeの姓であるHommeのカタカナ表記は、ずっと「オム」だったのだが、いつの頃からか「ホーミ」とも表記されるようになり、現状では「オム」と「ホーミ」が併用されている。


これは、John McGeochがジョン・マクガフからジョン・マッギオークに変わったり、THE SUPREMESがザ・シュープリームスからザ・スプリームス変わったりという具合に、より英語の発音に近づけた結果なのだと思う。


今回取り上げているKYUSS[カイアス]は、米国のカリフォルニア州パームデザート出身のバンドであり、1991年から1995年の間に4枚のアルバムをリリースしている。


1991年から1995年というと、筆者の興味の対象がロックから、ドラムン・ベースやテクノに移っていた時期なので、実のところKYUSSの記憶は全く無い。


2000年代に入ってからQOTSAを聴き、そこから遡ってKYUSSを知ったのである。


KYUSSの音楽性はストーナー・ロック/ストーナー・メタルであり、所謂BLACK SABBATHブラック・サバス]を始祖に持つドゥーム・メタルに近い音楽だ。


筆者はKYUSSを聴く時にQOTSAのようなロックン・ロールっぽいテイストを持つストーナー・ロックを期待して2ndアルバムの「BLUES FOR THE RED SUN」を聴いたのだが、KYUSSの音楽性はQOTSAとかなり違っていた。


QOTSAと比べると、KYUSSの曲はヴォーカルよりもリフが主役であり、異常なほど低音が強調された録音なので、はっきり言って、かなり取っ付きにくい。


しかし、ストーナー・ロックという音楽は、聴きにくいのに何故か聴いてしまうという、中毒性の高い音楽なのである。


最近知ったのだが、KYUSSは、CORROSION OF CONFORMITY[コロージョン・オブ・コンフォーミティ]、MONSTER MAGNET[モンスター・マグネット]、SLEEP[スリープ]と共に、ストーナーBIG 4と呼ばれているらしい。


このブログではCORROSION OF CONFORMITYは既に取り上げているので、いずれ機会があればMONSTER MAGNETとSLEEPも取り上げてみようと思う。

 

#0416) MIND'S EYE / Vinnie Moore 【1986年リリース】

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ロック・ギタリストでMooreと言えば、先ずはGary Moore[ゲイリー・ムーア]なのかもしれないが、今回取り上げているVinnie Moore[ヴィニー・ムーア]も凄いギタリストなのである。


今回取り上げているVinnie Mooreの1stアルバム「MIND'S EYE」は、学生時代(1980年代後半)にバイト先で知り合ったU君が貸してくれたアルバムであり、筆者の想い出の1枚だ。


U君は生粋のメタル・マニアだったので、筆者は彼から色々なメタル系アーティストを教えてもらったのだが、現在でも筆者が聴いている速弾き系ギタリストの95%くらいはU君から教えてもらったと言っても過言ではない。


ちなみに、U君のお兄さんは筋金入りのプログレッシヴ・ロック・マニアで、且つ、膨大な量のプログレのレコードを所蔵しており、現在でも筆者が聴いているプログレ系アーティストの95%以上はU君のお兄さんから教えてもらったと言っても過言ではない。


今回の記事を書いていて、その頃のことを、ふと思いだしたのだが、筆者の音楽リスナーとしての経歴は、実に多くの友人・知人から受けたインプットで成立しているのである。


ノスタルジアに浸ってしまい、話が横道に逸れてしまったが、Vinnie Mooreは、Mike Varney[マイク・ヴァーニー]によって発掘された速弾き系のギタリストだ。


Mike Varneyは、Yngwie Malmsteenイングヴェイ・マルムスティーン]、Paul Gilbert[ポール・ギルバート]、Marty Friedmanマーティ・フリードマン]等を発掘したことで有名な米国の音楽プロデューサーであり、1980年代における「速弾き系ギタリスト」というムーヴメントを作った人物だ。


速弾き系ギタリストと言っても様々なタイプがあるのだが、乱暴に大きく分けるなら「豪快なタイプ」と「丁寧なタイプ」に分かれるのではないかと筆者は感じている。


Vinnie Mooreは後者、つまり、「丁寧なタイプ」だ。


後々、その音楽性の幅を広げていくVinnie Mooreだが、1stアルバム「MIND'S EYE」の時点ではネオ・クラシカルメタルからの影響が強いインストゥルメンタル・ロックを演奏している。


筆者のポンコツな耳では、このアルバムで聴ける超絶テクニックによる難しいギターをどのように弾いているのか全く分からないのだが、速弾きにしろ、スウィープにしろ、弾き方が丁寧なことくらいは辛うじて分かる。


MIND'S EYE」とは、丁寧にギターを弾いているネオ・クラシカルメタルの名盤なのである。

 

#0415) TEXAS FLOOD / Stevie Ray Vaughan & DOUBLE TROUBLE 【1983年リリース】

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Stevie Ray Vaughanスティーヴィー・レイ・ヴォーン]を聴かずして、ブルースを語るなかれ」と言うと、乱暴な言い方に聴こえるかもしれないが、そういうことなのである。


筆者が初めて聴いたStevie Ray Vaughanのレコードは、専門学生時代(1988年頃)にバイト先で知り合い、その後一緒にバンドをやることになるA君が「これ、聴いてみなはれ」と言って貸してくれた、Stevie Ray Vaughan & DOUBLE TROUBLEスティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブル]の1stアルバム「TEXAS FLOOD」だ。


Stevie Ray Vaughanのことは、THE FABULOUS THUNDERBIRDS[ザ・ファビュラス・サンダーバーズ]のギタリストJimmie Vaughan[ジミー・ヴォーン]の弟であるということや、David Bowieデヴィッド・ボウイ]の大ヒットアルバム「LET'S DANCE」に参加しているという事前情報は持っていたのだが、何となく敷居の高さを感じていて、A君が貸してくれるまでは一度も聴いたことがなかった。


しかし、A君が貸してくれた「TEXAS FLOOD」を聴いた瞬間、「もっと早く聴いておくべきだった」と後悔したのである。


筆者は、このアルバムを聴くことで、初めて「ブルースとは何か」を理解できた気がする。


例えば、ブルースを聴いたことがない人に、いきなりRobert Johnson[ロバート・ジョンソン]を聴かせたところで、ブルースを理解してもらえることは殆どないと思うが、Stevie Ray Vaughanなら多くの人がブルースを理解できるだろう。


当時(1980年代後半)の筆者は、Steve Vaiスティーヴ・ヴァイ]やJoe Satrianiジョー・サトリアーニ]等、テクニカルなギタリストを好んで聴いていたので、それまでに何度か聴いたことのあるフォーク・ブルースのレコードで聴けるアコースティック・ギターの良さにはまだ気づいておらず、ただただ「ブルースって地味やなぁ~」としか思っていなかった。


ところが、Stevie Ray Vaughanはエレクトリック・ギターをギンギンに弾きまくってくれるので、一瞬にして彼のギターの虜になったのだ。


そして、Steve VaiJoe Satrianiとは違う「ギターの上手さ」があることに気付いたのである。


後に分かったことなのだが、Stevie Ray Vaughanはブルース・ギタリストだけではなく、Wes Montgomeryウェス・モンゴメリー]やDjango Reinhardtジャンゴ・ラインハルト]といったジャズ・ギタリストからも影響を受けており、彼が極太の弦から鳴らす濁りの無い美しい音はジャズ・ギタリストからの影響なのかもしれない。


陳腐な言い方になるが、Stevie Ray Vaughanとは、ブルース・ギタリストの最高峰なのである。

 

#0414) HOW MEN ARE / HEAVEN 17 【1984年リリース】

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#0404でERASURE[イレイジャー]を取り上げた時にも書いたのだが、母体のバンドやグループよりも、そこから派生したバンドやグループの方が好きになるケースがけっこうな頻度であったりする。


ERASUREはDEPECHE MODEデペッシュ・モード]を脱退したVince Clarke[ヴィンス・クラーク]が立ち上げたシンセポップ・グループだが、今回取り上げているHEAVEN 17[ヘヴン17]はTHE HUMAN LEAGUE[ザ・ヒューマン・リーグ]を脱退したMartyn Ware[マーティン・ウェアー]とIan Craig Marsh[イアン・クレイグ・マーシュ]が立ち上げたシンセポップ・グループだ。


何となくだが、THE HUMAN LEAGUEよりもHEAVEN 17の方が音楽的にキャッチーであり、且つ、音楽的な素養がしっかりしているような気がする(これは、DEPECHE MODEとERASUREの関係にも当て嵌まる)。


今回取り上げているのはHEAVEN 17の3rdアルバム「HOW MEN AREであり、筆者が初めて聴いたHEAVEN 17のアルバムだ。


英国産シンセポップ・グループのシンガーは個性的で癖の強い声の持ち主が多いのだが、HEAVEN 17のシンガーGlenn Gregory[グレン・グレゴリー]は他のシンセポップ・グループのシンガーとは一線を画しているのではないだろうか。


筆者は、Glenn Gregoryの声をあまり個性的だと思っておらず、どちらかと言うと癖が無く主張をしない声だと思っている。


しかし、それがダメなのかと言うと全くそうではなく、むしろその癖の無い彼の声がHEAVEN 17のシンセポップをキャッチーで聴き易い音楽にしているのだ。


HEAVEN 17のライヴは観たことが無いのだが、Glenn Gregoryは見た目もハンサムなので、きっとステージ映えするのではないかと思う。


筆者はHEAVEN 17を先に知って、その後、THE HUMAN LEAGUEの大ヒット曲"Don't You Want Me (邦題:愛の残り火)"のミュージック・ビデオを見たのだが、Philip Oakey[フィリップ・オーキー]のヴィジュアルと声に(申し訳ないのだが)「ウェッ」となってしまい、その後は"Human"を聴くまでTHE HUMAN LEAGUEの良さが分からなかった。


HEAVEN 17はTHE HUMAN LEAGUEに比べると、比較的、誰でもスッと入り込めるシンセポップ・グループなのではないだろうか。


HEAVEN 17のMartyn WareとIan Craig MarshはB.E.F.というチーム名でプロデューサーとしても成功を修めているが、実のところ、彼らはミュージシャンというよりもプロデューサーとしての資質の方が大きいのではないかと思うことがある。