#0360) WE STARTED NOTHING / THE TING TINGS 【2008年リリース】

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今回取り上げるのは英国のインディー・ポップ・デュオ、THE TING TINGS〔ザ・ティン・ティンズ〕である。


THE TING TINGSという語感は英語のネイティヴ・スピーカーにはどう聞こえるのだろう?


英語を話すことも聞き取ることもできない日本人の筆者には"ティン・ティン"という響きがどうにも間抜けに聴こえて仕方がない。


そう言えば、1980年代にStephen "Tin Tin" Duffy〔スティーヴン・"ティン・ティン"・ダフィ〕というシンガーがいたことを思い出した。


Stephen "Tin Tin" Duffyの名前を初めて見た時は「アホみたいな芸名やなぁ~、こんな名前では売れへんでぇ~」と思ったものである。


今回取り上げているTHE TING TINGSはKatie Whiteという1983年生れの女性と、Jules De Martino〔ジュールズ・デ・マルティーノ〕という1969年生れの男性によるデュオであり、それぞれが色々な楽器を操るマルチ・インストゥルメンタリストだ。


#0350でNOISETTES〔ノイゼッツ〕を取り上げた時に「2000年以降に登場した若いロック・バンドやアーティストを積極的に聴いてこなかったので、最近は2000年以降の掘り起こしをしている」ということをNOISETTESそっちのけで書いたのだが、THE TING TINGSもそんな2000年以降の掘り起こし作業で見つけたアーティストだ。


今回取り上げているのは、そのTHE TING TINGSが2008年にリリースした1stアルバムの「WE STARTED NOTHING」なのだが、これがかなり良いのである。


1980年代から1990年代初期の英国によくいた、女の子をフロントに立てたキュートなポップ・ロック・バンドのテイストがあり、筆者のようなオッサンにはドンピシャで嵌るのである。


Katieは1983年生れなので非常に若いのだが、Julesは1969年生れであり、筆者と同い年なので、2000年以降のアーティストでありながら、我々オッサンにとっての古き良き時代であったUKロックのテイストも感じられるのだ。


これほど自分好みのアーティストを見落としていたのは不思議なのだが、このアルバムがリリースされた2008年の筆者は海外(アジアの某国)で仕事をしていた時期なので、きっと悠長にロックを聴いていられるような精神状態ではなかったのだろう。


グループ名に含まれる"ティン・ティン"という間抜けな響きも、Katieのような可愛い女の子がフロントにいるグループだと分かったとたん、何だか可愛らしい響きに感じてしまうのは筆者がオッサンだからだろう。

 

#0359) THE DWARVES MUST DIE / DWARVES 【2004年リリース】

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#0349で取り上げたPOISON IDEA〔ポイズン・アイディア〕はメンバーのヴィジュアルが衝撃的なバンドだったが、今回取り上げているDWARVES〔ドワーヴス〕も下の画像のとおり、なかなかパンチの効いたヴィジュアルである。

 

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しかし、このバンドの場合、メンバーのヴィジュアルよりも、アルバム・カヴァーの方が更にパンチが効いてる。


今回取り上げている(たぶん)7thアルバムの「THE DWARVES MUST DIE」のアルバム・カヴァーは特に好きなのだが、以下のとおり、


BLOOD GUTS & PUSSY 【1990年リリース】

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THE DWARVES ARE YOUNG AND GOOD LOOKING 【1997リリース】

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COME CLEAN 【2000リリース】

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THE DWARVES ARE BORN AGAIN 【2011リリース】

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独特のセンスに溢れた秀逸なアルバム・カヴァーが多いのである。


ロック・バンドのアルバム・カヴァーと言えば、Roger Dean〔ロジャー・ディーン〕やHipgnosisヒプノシス〕あたりが有名だ。


筆者もRoger DeanやHipgnosisが手掛けた芸術的なアルバム・カヴァーも大好きなのだが、誰が手掛けているのか分からないDWARVESのオトボケ感のある面白いアルバム・カヴァーにはどうにもこうにも魅かれて仕方がない。


DWARVESのアルバムを買う切っ掛けは、このアルバム・カヴァーに惹かれたからに他ならない。


所謂ジャケ買いだったので、これまた好きなバンドであるQUEENS OF THE STONE AGEクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ〕のベーシスト、Nick Oliveri〔ニック・オリヴェリ〕がDWARVESのメンバーだったことも後から知ったくらいだ。


筆者はDWARVESの全てのアルバムを聴いた訳ではないが、これまでに聴いたアルバムはどれも大した違いは無く、殆どの曲は1分以上3分未満で激しく駆け抜けるガレージ・パンクだ。


Nick Oliveriが居るからといって、QUEENS OF THE STONE AGEのようなストーナー・ロック的な重々しさやグルーヴィーなサイケ感は無い。


筆者は歌詞に関しては殆ど無関心な音楽リスナーなのだが、DWARVESはアルバム・カヴァーが面白いので歌詞を知りたい気分になっている。


もし、仮に歌詞が、しょーもない内容だったとしても、それ以降の筆者がDWARVESを嫌いになるようなことは多分ないような気がする。

 

#0358) FRIENDS / THE BOLSHOI 【1986年リリース】

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今回は英国のニュー・ウェイヴ・バンド、THE BOLSHOI〔ザ・ボルショイ〕が1986年にリリースした1stアルバム「FRIENDS」を取り上げているのだが、筆者はブリットポップ・ムーヴメントの後期に登場したお気に入りのバンド、MANSUN〔マンサン〕が1997年にリリースした1stアルバム「ATTACK OF THE GREY LANTERN」を聴いた時に、このTHE BOLSHOIのことを思い出した。


当時の洋楽雑誌に載っていたMANSUNのインタビューでは、彼らが影響を受けたアーティストとしてMAGAZINE〔マガジン〕やXTC〔エックス・ティー・シー〕を挙げることが多く、THE BOLSHOIを挙げることはなかったと記憶しているが、個人的にはMANSUNの音楽性はMAGAZINEやXTC よりもTHE BOLSHOIに似ていると思っている。


まぁ、この2020年現在でTHE BOLSHOIと言ってみたところで「誰?」というリアクションになる人が殆どだろう。


この文を書くにあたり、THE BOLSHOIのことを少し調べてみたのだが、活動期間は1983から1988のたった5年間であり、活動期間中にリリースしたスタジオ・アルバムは3枚のみ(1枚はミニ・アルバム)、筆者の記憶では人気があったバンドという印象はない。


しかし、今回調べてみて分かったのだが、解散した年の1988年に「COUNTRY LIFE」という3rdアルバム制作しており、これはバンドが解散したので当時はリリースされなかったのだが、2015年になってから、バンドは存在していないにも関わらず正式にリリースされているので、もしかすると英国では今でもカルト的な人気があるバンドなのかもしない。


THE BOLSHOIの音楽性はニュー・ウェイヴ特有のブルースに頼らないロックである。


ブルースに頼らずにロックをやるというのは、けっこう難しいと思うのだが、英国人にはそれを器用にやってしまう人が多く、その手法を確立させたのが1970年代初期のDavid Bowieデヴィッド・ボウイ〕とROXY MUSICロキシー・ミュージック〕なのではないだろうか。


数あるニュー・ウェイヴ・バンドの中でもTHE BOLSHOIの曲はロマンティシズムに溢れており、実はここがTHE BOLSHOIに似ていると感じたMANSUNとの共通点なのである。


今回取り上げている「FRIENDS」というアルバムはロマンティシズム溢れる美メロの宝庫だ。


なお、THE BOLSHOIのソングライターだったTrevor Tanner〔トレヴァー・タナー〕(vocals & guitar)はバンド解散後も緩やかに音楽活動を続けているらしいので、この機会に円熟味を増した彼の「その後」の曲を聴いてみようと思う。

 

#0357) IN THE HEART OF THE YOUNG / WINGER 【1990年リリース】

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米国のグラム・メタル・バンドであるWINGER〔ウィンガー〕が1988年にリリースしたセルフタイトルのデビュー・アルバムを聴いた時の印象は「洗練されとるなぁ」だった。


WINGERと同じ時期の米国のグラム・メタルとしては、前年の1987年にはGUNS N' ROSES〔ガンズ・アンド・ローゼズ〕、FASTER PUSSYCAT〔ファスター・プッシーキャット〕、同年の1988年にはL.A. GUNS〔エルエー・ガンズ〕、CIRCUS OF POWER〔サーカス・オブ・パワー〕等がデビュー・アルバムをリリースしている。


当時の筆者はこういったロックン・ロール色の強いバンドを好んで追いかけていたのでWINGERのように洗練されていて、ちょっとプログレッシヴな要素も持つポップ・メタルの音は新鮮に聴こえたものである。


WINGERは、Alice Cooperアリス・クーパー〕のバンドにいたKip Winger〔キップ・ウィンガー〕(vocals & bass)とPaul Taylor〔ポール・テイラー〕(keyboards)、Eric Claptonエリック・クラプトン〕やBob Dylanボブ・ディラン〕等多くの大物ミュージシャンとの仕事で知られるセッション・ギタリストのReb Beach〔レブ・ビーチ〕(guitar)、ジャズ・ロック・バンドDIXIE DREGS〔ディキシー・ドレッグス〕のベテラン・ドラマーRod Morgenstein〔ロッド・モーゲンスタイン〕(drums)という、錚々たるメンバーで構成されていたためデビュー時の注目は大きかった。


Kip Wingerはクラシックにも精通していて、交響曲やヴァイオリン協奏曲も書いてしまうほど音楽的教養の高い人なので、1stアルバムの「WINGER」は楽曲やアレンジの完成度の高さが新人ロック・バンドのデビュー作という域を遥かに超えており、筆者もこの文章の冒頭で一応グラム・メタルというジャンル名を使ってはいるが、とてもそれだけに納まりきれる内容のアルバムではなかった。


ただし、1stアルバム「WINGER」にはJimi Hendrixジミ・ヘンドリックス〕の"Purple Haze"のカヴァーが収録されており、それがアルバム全体の雰囲気をと合っていないため、途中で一瞬だけガクッとなる瞬間があるのが残念だった。


これは「いなかる名曲でも使いどころを間違うと失敗しますよ」というお手本である。


今回取り上げている2ndアルバムの「IN THE HEART OF THE YOUNG」は全てがオリジナル曲となった完全無欠のWINGERの最高傑作である。


「非の打ち所がない」とは、まさにこのアルバムのことであり、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルというジャンルを超越した、20世紀におけるポピュラー・ミュージックの金字塔と呼ぶべきアルバムなのである。

 

#0356) ELECTRIC JOY / Richie Kotzen 【1991年リリース】

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ロック・バンドにおける担当パートの中でもギタリストという人達は「生まれながらのロックン・ローラー」が多いような気がする。


これは、もしかすると、Keith Richards〔キース・リチャーズ〕、Johnny Thundersジョニー・サンダース〕、Michael Schenker〔マイケル・シェンカー〕、Andy McCoy〔アンディ・マッコイ〕、Yngwie Malmsteenイングヴェイ・マルムスティーン〕等、一筋縄ではいかない奴らが目立ち過ぎるため、それがギタリスト全体のイメージになっているだけなのかもしれないが、それでも、やはり筆者の中ではギタリストと言えば「生まれながらのロックン・ローラー」と言うイメージが付き纏うのである。


今回取り上げているRichie Kotzenリッチー・コッツェン〕も「生まれながらのロックン・ローラー」のイメージを持つギタリストだ。


Richie Kotzenを知った切っ掛けは、当ブログでしばしば登場する、筆者が学生時代にアルバイト先で知り合ったU君であり、彼が貸してくれたRichie Kotzenのアルバムが今回取り上げている3rdアルバムの「ELECTRIC JOY」なのである。


「若くて凄腕の速弾きギタリストが現れたな」というのが、当時の筆者がRichie Kotzenを聴いた時の印象だった。


その上、ルックスも良いのでギターを弾く姿がメチャクチャ絵になるのである。


「ELECTRIC JOY」はインストゥルメンタル・ロックなので、この時は分からなかったのだが、実は歌も抜群に上手く、それは「ギタリストが歌も歌います」というレベルではなく、シンガーとしても歌だけで充分に食っていけるほどの上手さなのである。


POISON〔ポイズン〕からC.C. DeVille〔C・C・デヴィル〕が抜けた時や、MR. BIG〔ミスター・ビッグ〕からPaul Gilbert〔ポール・ギルバート〕が抜けた時も、その後任として期待以上の役割を完璧に務め、そこに自分の個性もしっかりと遺す仕事ぶりは見事である。


ただし、POISON在籍中に、ドラマーのRikki Rockett〔リッキー・ロケット〕の彼女を奪い、POISONをクビになってしまうあたりは、褒められた話ではないが、この人の「生まれながらのロックン・ローラー」らしいところだ。


Richie Kotzenはロック以外にもブルース、ジャズ、ファンク、ソウル等、ブラック・ミュージックからも多大な影響を受けており、今回取り上げている「ELECTRIC JOY」にもその影響が顕著なのだが、彼が弾くスウィープの滑らかさや美しさは一級品であり、とにかくこの音には、いつもうっとりと聴き惚れてしまうのである。