Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0486) 好きな日本人シンガー(6)王様【ハード・ロック/ヘヴィ・メタル 編】

王様 [おうさま]

origin: 兵庫県・西宮市


 今月(2026年2月)は衆議院解散による選挙があった。

 色々なことを言われた選挙だが、筆者としては、その結果を見るとやって良かったと思う。

 筆者は政治に関してはノンポリなので支持政党は無いのだが、資本主義の国家である日本で生まれ育った人間としては、共産主義および反日とは一切の価値観を共有できない。

 今回の衆議院選挙では、共産主義者および反日の政治家(と名乗る活動家)を減らすことができたので良かった。

 日本という資本主義国家で真面目に働きながら、そのシステムの中で、報酬を得たり、財テクで幾ばくかの恩恵を得たりしてきた者にとって共産主義や反日は不要だ。

 今回のような日本の選挙を目の当たりにすると、やはり米国は凄いなと思う。

 米国には保守党のカウンターとして真面目にリベラルを唱える民主党はあるが、米国という国家がけして共産主義を根付かせなかったところは流石である。

 日本には、共産主義者や反日がいるだけでリベラルはいない。

 自民党が政権与党にあるなら、たぶん大手企業の経営も安定するだろう。

 筆者が仕事で指導にあたっているエンジニアの卵のうち、優秀な人材は大手企業で仕事をすることになるので、彼らの未来が安定するなら喜ばしい。

 今回の衆議院選挙では、勉強になることもあった。

 それは「他人を下げても自分は上がらない」ということだ。

 そして、他人を罵る人の顔は醜いということに気付いた。

 造形的な美醜のことではない。

 他人を罵る人の顔には、心の根底に渦巻く「怨念」や「狂気」が顔に浮き出ており、直視できないほどの怖い顔になっている。

 そこには、人が生まれ育つ過程で育まれてきたはずの「余裕」や「優雅さ」というものが無くなっている。

 他人を批判したところで、自分が物質的にも精神的にも豊かになることはない。

 豊かになるためには、自分の能力を磨くしかない。

 筆者のような技術職の世界では、高い技術をもっている人間は他人を黙らせることができるし、組織からも大切にされる。

 そんなときに、ふと思い浮かんだのが今回取り上げた王様だった。

 王様は、彼のルックスを見れば判るのだが、自分を上げる気はなく、むしろ下げている。

 ところが、ひとたびギターを弾いて歌い出すと滅茶苦茶カッコ良いのである。

 所謂(いわゆる)直訳ロックのパイオニアなのだが、これをやっている、というか、こんな凄いことができるスキルの持ち主は王様くらいなのではないだろうか?

 王様は、ルックスのオチャラケ感と、本人のキャラのせいもあって、誤解されがちなのだが、音楽的には至極真面目だ。

 なんせ、リッチー・ブラックモアやエドワード・ヴァン・ヘイレンを余裕でコピーできる人なのだから。

 王様を見ていると「こういう人が本当にロックが好きな人なんだろうな」と思う。

 比較するのも僭越だが、筆者なんてロックのロの字もしらない素人だ。

 筆者はオリジナル曲への拘りもない。

 しょーもないオリジナル曲を下手な演奏や歌で聴かされるよりも、王様のように、あらかじめ良いと判り切っているカヴァー曲を上手い演奏と歌で聴かせてくれる人の方が価値が高いと思っている。

 今回は、そんな王様の作品の中でも、王様の神髄とも言えるハード・ロック/ヘヴィ・メタルに焦点を絞って紹介することにした。


ハードロック講座 〜Vol.1〜

 発売:2010/06/04
 レーベル:コニシス・エンタテインメント

No. タイトル オリジナル
1 朝礼~ロックの基本について~  
2 一時間目~ロックの名曲と女達~  
3 ミシシッピ女王 Mississippi Queen / Mountain
4 二時間目~ロックの名曲とクスリ~  
5 鉄男(てつお) Iron Man / Black Sabbath
6 三時間目~ロックの名曲と子育て  
7 教育上禁止 Virgin Killer / Scorpions
8 学活~ロックの金魚の卵がかえりました~  
9 ミシシッピ女王(カラオケ) Mississippi Queen / Mountain
10 鉄男(カラオケ) Iron Man / Black Sabbath
11 教育上禁止(カラオケ) Virgin Killer / Scorpions

[comment]
 王様とは?
 その答えを最も簡単に得たいのであれば、この作品を聴けばいい。
 全3時間のよる授業構成で、それぞれが「講義」と「直訳ロックの模範演奏」で構成されている。
 ここに収録されている直訳ロックは全て秀逸だが、特に Mountain の "ミシシッピ女王" がカッコいい。
 「二時間目~ロックの名曲とクスリ~」では、明確にクスリを否定してくれており好感がもてる。
 Scorpions の "Virgin Killer" は王様の直訳ロックで初めて歌詞を知ったのだが、あの酷いアルバム・カヴァーとは真逆の内容だったことに驚いた記憶がある。
 まぁ、バンド側にアルバム・カヴァーを決める権利はなかったのかもしれないが...


深紫伝説

 発売:1995/09/01
 レーベル:ファンハウス

No. タイトル オリジナル
1 高速道路の星 Highway Star
2 速さの王様 Speed King
3 燃えろ Burn
4 湖上の煙 Smoke on the Water
5 俺の彼女は東京出身 Woman from Tokyo
6 変わった感じの女 Strange Kind of Woman
7 黒い夜 Black Night
8 宇宙のトラック野郎 Space Truckin'

[comment]
 王様は、Deep Purple の曲をメドレー形式にして、直訳の日本語歌詞を付けた、この作品で衝撃のデビューを飾った。
 なによりも先ず「えっ、この名曲の歌詞って、こんなんやったん?!」とういう直訳の日本語歌詞に対する新鮮な驚きも確かにあった。
 しかし、それ以上に驚いたのは、リッチー・ブラックモアのギターを完コピしつつ、イアン・ギランの歌メロまで同時にやってしまうという、王様の音楽的なスキルの高さだ。
 なお、この作品は、この年の第37回日本レコード大賞で企画賞に選ばれた権威あるレコードでもある。


鉛の飛行船伝説

 発売:1995/12/01
 レーベル:ファンハウス

No. タイトル オリジナル
1 黒い犬 Black Dog
2 ユラユラとグルグル Rock and Roll
3 幻惑されて Dazed and Confused
4 黒い犬 Black Dog

[comment]
 Deep Purple の直訳日本語歌詞でデビューした以上、必ず次に求められるのは Led Zeppelin だろう。
 しかし、Zep の曲に日本語歌詞を付けるのはかなり難しいと思う。
 ぞもそも Zep の曲の歌メロは何回聴いても頭に入りにくく、歌いにくいものが多い。
 さらに、日本語の場合、一音に乗せられるのは、ほぼほぼ「母音」か「子音+母音」のみであり、歌メロに乗せられる情報量が少ないというハンディもある。
 直訳日本語歌詞を付けたのは3曲のみなのだが、これは神業的に凄い。


めっちゃ陽気な鉄道伝説

 発売:1996/08
 レーベル:ファンハウス

No. タイトル オリジナル
1 僕達はアメリカ人の楽団(完全版) We're an American Band
2 めっちゃ陽気な鉄道伝説  
  ・僕達はアメリカ人の楽団 We're an American Band
  ・ピカピカに光れ! Shinin' On
  ・準備はいいか? Are You Ready
  ・ふられた~ Heartbreaker
  ・黒い漢方薬 Black Licorice
  ・妄想狂 Paranoid
  ・オイラが船長 I'm Your Captain
3 めっちゃ陽気な鉄道伝説(Radio Edit)  
4 めっちゃ陽気な鉄道伝説(オリジナル・カラオケ)  

[comment]
 王様は、転石伝説(the Rolling Stones)、浜っ子伝説(the Beach Boys)といったハード・ロック以外の直訳シリーズもリリースしているのだが、Purple、Zep に続くハード・ロックの直訳シリーズは、なんと Grand Funk Railroad だった!
 Purple、Zep ときたら、当然のこと、次は、あの英国3大ハード・ロック・バンドの最後の1つだと思っていたのだが...
 まぁ、王様は1960年生まれなので、GFR はド真ん中世代なのだろう。
 とにかく、We're an American Band の直訳である「おれたちはアメリカ人のがくだ~ん!」というフレーズの破壊力が凄い。
 それにしても、GFR って、他の同時代のハード・ロック・バンドと比べると、日本における現在の評価が不当に低すぎて、どうにも納得できないのだが...


接吻伝説

 発売:2000/11
 レーベル:コニシス・エンタテインメント

No. タイトル オリジナル
1 裸のロック・ファイアー  
2 地獄のロック・ベイビー  
3 接吻伝説~ディープ・キッス
(キッス9曲メドレー・ロング・ヴァージョン)
 
  ・ドンチャン騒ぎ夜通し Rock and Roll All Nite
  ・さわげ派手に Shout It Out Loud
  ・愛するゆえに我あり I Was Made for Lovin' You
  ・冷や酒 Cold Gin
  ・さなだ娘 Parasite
  ・あちち Hotter than Hell
  ・消防署 Firehouse
  ・踊るデトロイト Detroit Rock City
  ・愛銃 Love Gun
13 接吻伝説~ライト・キッス  

[comment]
 "裸のロック・ファイアー" と "地獄のロック・ベイビー" は、直訳ロックではなく、王様のもう一つの芸である「くりそつオリジナル」だ。
 「くりそつオリジナル」とは、カヴァーでなく、そのアーティストのオリジナル曲のように聴こえる王様のオリジナル曲だ。
 当然、この2曲も誰もが「KISS の曲やん!」と言ってしまうほどのクオリティーだ。
 トラック3からが、いよいよ KISS の直訳ロック・メドレーなのだが、もう呆れるくらい普通にカッコいい日本語ロックなのである。
 まぁ、曲は KISS なのだから当然と言えば当然なのだが、そこに直訳日本語詞を付けてしまう王様の翻訳家としてのスキルが凄い!
 筆者は69年生まれなので、KISS の全盛期をリアルタイムで知らない後追い世代なのだが、70年代を体験したロック・ファンで KISS に惹かれない人は相当なヘソ曲がりだったのではないだろうか?


虹伝説

 発売:2003/12/16
 レーベル:コニシス・エンタテインメント

No. タイトル オリジナル
1 リサイクル・スター  
2 路上の煙  
3 虹伝説 レインボー8番勝負 前半戦  
  その1 王将を取れ Kill the king
  その2 照明小僧 Spotlight Kid
  その3 夜通し All Night Long
  その4 フラれてから Since You Been Gone
4 虹伝説 レインボー8番勝負 後半戦  
  その5 占い師の女 Tarot Woman
  その6 降参だ~ I Surrender
  その7 追っかけ娘 Starstruck
  その8 ロックよ、長生きしろ Long Live Rock 'n' Roll
5 リサイクル・スター(カラオケ)  
6 路上の煙(カラオケ)  

[comment]
 Deep Purple の直訳でデビューした王様だから、絶対に Rainbow もやるだろうなと予想していたのだが、やはり期待を裏切らずにやってくれた。
 "リサイクル・スター" と "路上の煙" は「くりそつオリジナル」なのだが、ロックファンならタイトルを見ただけで元ネタは判るだろう(でも何故これに収録したの?)。
 Rainbow の直訳はトラック3から始まるのだが、初っ端から "王将を取れ"(つまり、"Kill the king")がカッコ良すぎて鼻血が出そうになる。
 Rainbow の歴代ヴォーカリストは、音を外さない完璧なヴォーカリスト揃いなので、リッチー・ブラックモアのギターがお手の物の王様にとって、今回はヴォーカルの方が難しかったのではないだろうか?


いとしのオイラ/しろあんこ伝説

 発売:2003/05/23
 レーベル:コニシス・エンタテインメント

Disc 1 しろあんこ伝説

No. タイトル オリジナル
1 爆裂山寺物語
(山寺の和尚サン・社員裸部~透六王)
 
2 白い部屋 White Room
3 ああ愉快 I'm So Glad
4 政治家 Politician
5 十字路 Crossroads
6 おおさじ一杯 Spoonful
7 白い部屋
(ホワイトルーム上方漫才ツッコミ付)
White Room

Disc 2 いとしのオイラ

No. タイトル オリジナル
1 オイラ 保安官を撃っただ I Shot the Sheriff
2 葉っぱちゃん Cocaine
3 わんこそば食べない?
(くりそつオリジナル)
 
4 世界を変えて Change the World
5 いとしのオイラ
(くりそつオリジナル)
 
  ボーナス・トラック
チェンジ・ザ・ワールド
(王様、英語で歌う!)
Change the World

[comment]
 2枚組なのだがアルバム・カヴァーを見れば、そのモチーフが何なのかはロック・ファンであれば説明不要だろう。
 ただし、しろあんこ伝説 の方は Cream の直訳ロック集なのだが、いとしのオイラ の方は Derek and the Dominos の直訳ロック集ではない。
 この2枚組を聴く限り、エリック・クラプトンに関しては、王様は Cream への愛の方は強いのかなと思う。
 "いとしのオイラ" は、そのタイトルから判るとおり「くりそつオリジナル」なのだが、このシリーズの面白さは、始まった瞬間「似てるやん!」となるのだが、聴き進めると「いやいや、けっこう違うやん!」、「そやけど、えぇ曲やん!」となるところだ。
 "世界を変えて" の直訳日本語詞は、かなり真面目な直訳であり、カラオケで "Change the World" を下手な英語で見苦しく歌っている筆者のような不細工なオッサンは、この直訳で歌った方がいい。


黒い安息日伝説

 アーティスト名:王様 + Blood Sabbath
 発売:2013/05
 レーベル:STAY METAL RECORDS

No. タイトル オリジナル
1 戦争豚 War Pigs
2 脳天爆発男 Paranoid
3 鉄男 Iron Man
4 筆先 N.I.B.
5 甘い葉っぱ Sweet Leaf
6 無限の世界へ Into the Void
7 雪盲 Snowblind
8 宇宙の兆候 Symptom of the Universe

[comment]
 その登場から今日まで、多くのロック・ファンに愛されてきた Black Sabbath、そして、オジー・オズボーン!
 いつかやってくれるだろうと信じて疑わなかったのだが、2013になってようやくやってくれた Black Sabbath の直訳ロック。
 そして、これは王様のソロ作ではなく、Black Sabbath を真剣にトリビュートするバンド Blood Sabbath とコラボした「王様 + Blood Sabbath」名義のアルバムだ(+ は実際には十字架の絵文字っぽい機種依存文字だ)。
 そもそも、王様の直訳ロックは、王様のオチャラケた見た目とは真逆で、普通にカッコ良いのだが、このアルバムの王様はいつも以上に真面目だ。
 ロックの歌詞は英語じゃなきゃダメだ!という、しょーもないイデオロギーの持ち主でなければ、このアルバムは Black Sabbath の入門盤としても充分に機能する名盤である。