【12位】Blood, Sweat and Towers / Towers of London
[title]
Blood, Sweat and Towers
1st album
released: 2006
[artist]
Towers of London [タワーズ・オブ・ロンドン]
origin: Buckinghamshire, England, UK
[comment]
知性の無い Manic Street Preachers と言うと貶しているように思われるが、そんなつもりは全くない(Manics も初期の頃は Richey Edwards が剃刀で自分の腕を斬ったりして、けっこうアホっぽいところがあった)。
Blood, Sweat and Towers というアルバム・タイトルは、たぶんブラス・ロック・バンド Blood, Sweat & Tears のもじりだと思うのだが、ロックン・ロールには、こういう意味不明な遊び心が大切だと思う。
【11位】Bazooka!!! / The Star Spangles
[title]
Bazooka!!!
1st album
released: 2003
[artist]
The Star Spangles [ザ・スター・スパングルス]
origin: New York City, US
[comment]
このニューヨーク出身のバンドは、間違いなく、New York Dolls、The Heartbreakers、Ramones あたりのニューヨーク・パンクが好きで集まった連中が始めたバンドだと思う(だって、メンバーのルックス見たら、そんなん丸わかりやん)。
しかし、曲に関しては、上に書いた、どのバンドよりも、ニューヨークから遠く離れた英国・マンチェスターの Buzzcocks っぽいと感じるのは筆者だけだろうか?
【10位】Le Red Soul Comunnitte / Tokyo Sex Destruction
[title]
Le Red Soul Comunnitte
1st album
released: 2002
[artist]
Tokyo Sex Destruction [トーキョー・セックス・ディストラクション]
origin: Barcelona, Spain
[comment]
スペインと言われて、筆者思い起こせるものは闘牛くらいなのだが、こんなカッコ良いロックン・ロール・バンドがいるなんて新鮮な驚きである(まぁ、日本のような極東にもロック・バンドがいるくらいだから、スペインにロック・バンドいるのは当たり前なのだが)。
メンバー全員が MC5 のマネージャーだった John Sinclair (ジョン・シンクレア) にちなんで Sinclair 姓を名乗っているとおり、MC5 直系のヘヴィなロックン・ロール・バンドである。
【9位】Le Bring 'Em In / Mando Diao
[title]
Le Bring 'Em In
1st album
released: 2002
[artist]
Mando Diao [マンドゥ・ディアオ]
origin: Borlänge, Dalarna County, Sweden
[comment]
ロックン・ロールの名盤には、インパクトの強いオープニング曲が必要であり、それもイントロのギターの音一発で決まったりする(例えば、Alice Cooper の "School's Out" とか、New York Dolls の "Personality Crisis" とか)。
そういう意味において、このアルバムのオープニング曲 "Sheepdog" は 100 点であり、メンバーの無邪気なまでの The Beatles への憧憬が微笑ましい。
【8位】Favourite Enemy / Trashmonkeys
[title]
Favourite Enemy
4th album
released: 2006
[artist]
Trashmonkeys [トラッシュモンキーズ]
origin: Germany
[comment]
ドイツと言えば、Scorpions、Accept、Helloween 等、良質なヘヴィ・メタル・バンドを輩出する国のイメージがあるのだが、このバンドはストレートなロックン・ロール・バンドだ(そう言えば、ドイツにはメタルだけでなく、良質なプログレ・バンドも多い)。
このバンドのバックグラウンドは殆ど知らないのだが、もの凄く曲作りが上手く、キーボードの使い方に只者ではないセンスを感じる。
【7位】Your New Favourite Band / The Hives
[title]
Your New Favourite Band
compilation album
released: 2001
[artist]
The Hives [ザ・ハイヴス]
origin: Fagersta, Sweden
[comment]
こういうリストにコンピレーション・アルバムを入れるのは邪道だと思うのだが、The Hives に関しては、このアルバムを選ばざるを得ない(オリジナル・アルバムも良いのだが、このアルバムには The Hives の最もプリミティヴなロックン・ロールがギッシリと詰っている)。
スウェーデンのバンドだが、The Hives に関しては、オリジナル・アルバムよりも、先ずはこの英国のポップトーンズ・レーベルからリリースされたコンピレーション・アルバムを聴くべきなのである。
【6位】We Sweat Blood / Danko Jones
[title]
We Sweat Blood
2nd album
released: 2003
[artist]
Danko Jones [ダンコ・ジョーンズ]
origin: Toronto, Ontario, Canada
[comment]
「断固ダンコ主義!」というカッコ良い邦題にレコード会社のセンスの良さを感じる(かつての洋楽には、おおおっっっ!!!と唸るような邦題が付けられていたのだが、昨今では邦題が付くことが稀であり、少々寂しい)。
AC/DC や Thin Lizzy あたりのクラシック・ハード・ロックにパンクの風味を加えたサウンドは、直球一本勝負のロックン・ロールであり、スリーピース・バンドの理想形である。
【5位】The Datsuns / The Datsuns
[title]
The Datsuns
1st album
released: 2002
[artist]
The Datsuns [ザ・ダットサンズ]
origin: Cambridge, New Zealand
[comment]
とにかく、このバンドは登場した瞬間から、メチャメチャに好感の持てるバンドだった(かつて、ブルーバード等の名車を世に送り出した日産自動車のブランド名を思い起こさせるバンド名も好感が持てる!)。
Led Zeppelin、Deep Purple、AC/DC 等の模倣だという批判は全く聞き入れる必要はなく、ロックとは、カッコ良い曲が書ければ、それが正義なのである。
【4位】As Your Greens Turn Brown / Diamond Dogs
[title]
As Your Greens Turn Brown
1st album
released: 2001
[artist]
Diamond Dogs [ダイアモンド・ドッグス]
origin: Sweden
[comment]
David Bowie のアルバムと同じバンド名を持つバンドなのだが、そのアルバムはもとより Bowie っぽさは微塵も無いバンドであり、むしろ Faces 直系のバンドだ(というよりも The Quireboys に近いと言った方が分かり易いかもしれない)。
2000 年代以降の The Black Crowes に対し、「悪くはないけど、求めているものとは違う」と感じていた筆者のような人にドンピシャで嵌るバンドである。
【3位】Leave Them All Behind / Puffball
[title]
Leave Them All Behind
5th album
released: 2003
[artist]
Puffball [パフボール]
origin: Västerås, Sweden
[comment]
Motörhead 直系と言われるバンドは数多存在するが、90年代後半から2000年代前半においては、このバンドが本命中の本命だろう(本家の1.25倍くらいのスピードで爆走する曲もあり、スピードに関しては本家を凌駕している)。
アルバム・タイトルの Leave Them All Behind とは、そのスピードで「聴く者を全てを置き去りにしていく」という意味なのだろうか?
【2位】Refuge for Degenerates / The Peepshows
[title]
Refuge for Degenerates
4th album
released: 2003
[artist]
The Peepshows [ザ・ピープショウズ]
origin: Örebro, Sweden
[comment]
北欧には、憂いを帯びた悩まし気なメロディを書くロックン・ロール・バンドが多いのだが、この The Peepshows も、まさにその通りのバンドだ(ちなみに、その手のメロディを書く天才が Hanoi Rocks の Andy McCoy だ)。
こういうメロディは米国のバンドからはまず出てこないし、同じ「憂い」でも英国のバンドだとまた違う表現になり、北欧独特なのである。
【1位】Ahead of the Lions / Living Things
[title]
Ahead of the Lions
2nd album
released: 2005
[artist]
Living Things [リヴィング・シングス]
origin: St. Louis, Missouri, USA
[comment]
「もう米国からは好きになれるロックン・ロール・バンドは出てこないのかなぁ~」と思っていたときに、突然出会ったのがこのバンドだった(筆者にとっては、まさに驚天動地の出会いだったのである)。
このアルバムと多くの曲が被っている Black Skies in Broad Daylight というアルバムもあり、これら二枚の関係がよく分からないのだが、張り詰めた緊張感が心地良い "Bombs Below" で始まり、奈落の底に落ちていくような "I Wish the Best for You" で終わる構成が良いので、最近はこちらを聴くことが多い。
総括
2000年代初頭、ロックン・ロール・リバイバル、或いは、ガレージ・ロック・リバイバルというムーヴメントがあった。
そのムーヴメントの中心にいたのが米国の The Strokes や The White Stripes、英国の The Libertines だった。
当時、筆者も The Strokes と The Libertines はデビュー・アルバムを買って聴いており、いずれのアルバムも良い曲が多いとは思ったのだが、嵌ったりするまでには至らなかった。
嵌れなかった理由は、良い曲だなとは思うものの、カッコ良い曲だなとは感じなかったからだ。
そして、あまりにも上手にロックン・ロール・リバイバル、ガレージ・ロック・リバイバルをやっていて、何となく、いけ好かないと感じたのも嵌れなかった理由だ。
The White Stripes に関しては、ミュージック・ビデオを見て「うぅ~ん、いけ好かない」と感じてしまい、アルバムを買ったことがなく、未だにまともに聴いたことがない。
これらのバンドを聴かなかった理由、或いは、聴いても嵌れなかった理由は、とにかく「いけ好かない」という、筆者の一方的で理不尽な理由なのである。
この感じは、かつて、Sonic Youth、Television、The Velvet Underground 等を聴いたときと同じだ。
良い曲だなとは思うものの、カッコ良い曲だなとは感じないのだ(でも、曲が良いので実は聴いた回数は多い)。
筆者は、ロックン・ロールへの憧憬がアホほど溢れ出している曲や、「どやっ!カッコええやろ!」と言って無邪気にかっこつけているバンドが好きなのである。
今回取り上げた12枚は、まさにそのタイプのバンドが2000年代にリリースしたアルバムだ。
Towers of London は英国出身、The Star Spangles、Living Things は米国出身、Danko Jones はカナダ出身、The Datsuns はニュージーランド出身、Trashmonkeys はドイツ出身、Tokyo Sex Destruction はスペイン出身、そして、The Peepshows、Puffball、Diamond Dogs、The Hives、Mando Diao はスウェーデン出身という具合に、スウェーデン出身のバンドが圧倒的に多く、英米以外を出身とするバンドも多い。
90年代以降、ロックン・ロールの本場は英米ではなくなっており、むしろ、スウェーデンを含めた北欧がロックン・ロールの本場のようである。
他にも取り上げたいアルバムがあるのだが、今回はメタルっぽいものは避けた(メタルを聴かない人には十分メタルっぽいものがあるかもしれない)。
そして、The Dirtbombs、Demolition Doll Rods、The Detroit Cobras あたりも入れたかったのだが、あまりにもベテランっぽさが強すぎてフレッシュさがなくなるので外すことにした。
と、書きつつも、今回取り上げた Diamond Dogs、The Peepshows、Puffball は、当時でもけっこうなベテランなのだが。