Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0450) 好きなパンク(80年代)のアルバム10選

【10位】The Record / Fear

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The Record
 1st album
 released: 1982

[artist]
 Fear [フィアー]
 origin: Los Angeles, California, U.S.

[comment]
 筆者は Guns N' Roses がカヴァーした "I Don't Care About You" → Fear という流れで、このアルバムに辿り着いた。
 インテリっぽいバンドが多いニューヨーク・パンクに比べ、カリフォルニア・パンクには荒っぽいバンドが多いのだが、中でもこのバンドの放つ聴く者の耳を喰いちぎるようなエネルギーは凄まじい。


【9位】Damaged / Black Flag

[title]
Damaged
 1st album
 released: 1981

[artist]
Black Flag [ブラック・フラッグ]
 origin: Hermosa Beach, California, U.S.

[comment]
 筆者は Henry Rollins (vo) の Rollins Band → Black Flag という流れで、このアルバムに辿り着いた。
 Rollins Band で提示したハードコア・パンクヘヴィ・メタルの融合は既にこのアルバムで完成しており、よく言われているとおり、このアルバムには Black Sabbath 直系の重さがある。


【8位】Walk Among Us / Misfits

[title]
Walk Among Us
 1st album
 released: 1982

[artist]
 Misfits [ミスフィッツ]
 origin: /Lodi, New Jersey, U.S.

[comment]
 筆者は Glenn Danzig (vo) の Danzig → Misfits という流れで、このアルバムに辿り着いた。
Metallica や Guns N' Roses にカヴァーされたバンドだがメタルっぽさは無く、ロックン・ロールやロカビリー(サイコビリー?)っぽいホラー・パンクであり、後に Danzig で打ち出すダークなヘヴィ・メタルとは似ている部分が殆ど無い。


【7位】Dance with Me / T.S.O.L.

[title]
Dance with Me
 1st album
 released: 1981

[artist]
 T.S.O.L. [トゥルー・サウンズ・オブ・リバティ]
 origin: Long Beach, California, U.S.

[comment]
 5th Hit and Run の日本盤が発売されたときに、その 5th を買って気に入り、その後 2000年代になってから、この 1st を聴いた。
 5th 発売時には「米国盤 The Cult」のような紹介記事があったのだが、The Cult のような呪術っぽさは無く、この 1st はシンプルなホラー・パンク/ハードコア・サウンドを全面出ししつつ、メロディはけっこう捻りが効いている。


【6位】Mommy's Little Monster / Social Distortion

[title]
Mommy's Little Monster
 1st album
 released: 1983

[artist]
 Social Distortion [ソーシャル・ディストーション]
 origin: Fullerton, California, U.S.

[comment]
 4th Somewhere Between Heaven and Hell の日本盤が発売されたときに、かなり気に入って聴いていたのだが、いつの間にか忘れてしまい、2000年代になってから、この 1st を聴いた(T.S.O.L. と、このバンドはご無沙汰期間が長く、2000年代に入ってから、ふと思い出したように聴いた)。
 パンクは音楽的な深みを出すことが難しいジャンルだと思うのだが、このバンドにはルーツ・ミュージックに根差した深みがあり、それは既に、この 1st の時点で確認できる。


【5位】Songs of Praise / The Adicts

[title]
Songs of Praise
 1st album
 released: 1981

[artist]
 The Adicts [ジ・アディクツ]
 origin: Ipswich, Suffolk, England, U.K.

[comment]
 パンクには「怒っている」というステレオタイプなイメージがあると思うのだが、このバンドの音には「怒っている」というイメージが無く、Monkey (vo) のピエロのメイク(時計じかけのオレンジ?)も相まって悲喜劇のイメージがある。
 このジャンルを英国ではパンク・パテティック(Punk Pathetique)というらしいのだが、ハードコア・パンクとは一線を画す面白味がある。


【4位】Dig That Groove Baby / Toy Dolls

[title]
Dig That Groove Baby
 1st album
 released: 1983

[artist]
 Toy Dolls [トイ・ドールズ]
 origin: Sunderland, Tyne and Wear, England, U.K.

[comment]
 このバンドもパンクなのに「怒っている」というステレオタイプなイメージが無く、前出の The Adicts 同様、パンク・パテティック(Punk Pathetique)なのだが、本気なのか冗談なのかの境目が分からないバンドだ。
 "Nellie the Elephant" のミュージック・ヴィデオを初めて見たときは、底抜けのアホっぷりに引っくり返り、後ろ受け身を取ってしまった。


【3位】Let's Start a War / The Exploited

[title]
Let's Start a War
 1st album
 released: 1983

[artist]
 The Exploited [ジ・エクスプロイテッド]
 origin: Edinburgh, Scotland, U.K.

[comment]
 The Exploited と言えば、印象的なタイトルを持つ 1st Punks Not Dead が有名だが、ハードコア・パンクとしての The Exploited の神髄は、2nd Troops of Tomorrow か、この 3rdだ。
 タイトルの Let's Start a War とは、当時の英国の首相、Margaret Thatcher[マーガレット・サッチャー]がフォークランド紛争を始めたことへの言及なのだが、とにかくその怒りっぷりが凄まじく、これぞハードコア・パンクと呼べる名盤である。


【2位】Midnight Madness and Beyond / GBH

[title]
Midnight Madness and Beyond
 1st album
 released: 1986

[artist]
 GBH [ジー・ビー・エイチ]
 origin: Birmingham, England, U.K.

[comment]
 このアルバムがリリースされた86年のロック・シーンと言えば、パンクは既に勢いを失っていたのだが、筆者はこのアルバムをリアルタイムで聴いたときにパンクのカッコ良さを理解できたような気がした。
 1st City Baby Attacked by Rats、2nd City Babys Revenge も名盤なのだが、このアルバムが放つ金属の味がしそうなメタリックなサウンドとキャッチーなメロディーは、ハードコア・パンクの完成形である。


【1位】Hear Nothing See Nothing Say Nothing / Discharge

[title]
Hear Nothing See Nothing Say Nothing
 1st album
 released: 1982

[artist]
 Discharge [ディスチャージ]
 origin: Stoke-on-Trent, Staffordshire, England, U.K.

[comment]
 このアルバムを初めて聴いたときから、筆者にとっての No.1 パンク・バンドが Discharge であり、No.1 パンク・アルバムが Hear Nothing See Nothing Say Nothing であることは不動である。
 激しい高速2ビートに乗せて、このアルバムで Discharge が叫ぶのは、反戦反核、反権力だ。
 このアルバムがリリースされてから40年以上の時間が経過しているが、戦争と核兵器を無くす方法は見つからず、人は当時よりも更に権力に支配されており、今後もそれが変わることは無さそうだ。


総括

 筆者は無節操に色々な音楽を聴き、それぞれのジャンルを分かったような気になっているのだが、正直なところパンクだけは全く分かっていないと自信を持って言える。

 初めて聴いたパンクのレコードは、中1のとき(1982年)に同級生のH君が貸してくれた Sex Pistols のコンピレーション・アルバムだ。

 たぶん、Flogging a Dead Horse だと思うのだが、レコードからダビングされたカセットテープだったので正確には分からない。

 とにかく、そのカセットテープを聴いて、「こういう激しいロックがパンクなんやぁ~」という先入観が筆者の中に植え付けられた(ただし、曲はロックン・ロールっぽいのに、シャウトしない Johnny Rotten のヴォーカルには違和感と一抹の不安を感じた)。

 それから、5年くらい経過して、「ちょっとパンクのこと勉強してみたろ~」と思い立って聴いたのが、

 だったのだが、あまりにも Sex Pistols と違っていて、激しくも無く、やたらと完成度の高いロックだったので、「パンクってなんなん?」となってしまったのである。

 そして、これらのアルバムは、筆者に植え付けられていたパンクのイメージとはかけ離れていたのだが、いずれのアルバムも完成度が高いので作品としては好きになってしまい、なんともややこしい心理状態に陥ってしまったのである。

 「パンクって、そういうもんなんや」って思えたのは、Joe Strummer の Punk is attitude. Not style. という名言を知ったときだ。

 とは言うものの、筆者は音楽は音楽としてしか捉えることのできない人間であり、音楽に音楽以外のもを基本的に求めないタイプのロック・リスナーである。

 そんな筆者にとって、やはり、パンクは音楽的にパンクらしい方が好ましいのである。

 今回取り上げた10枚は、1~5位がリアルタイムで聴いたアルバム、6~10位が90年代以降に後追いで聴いたアルバムという具合に、はっきりと別れた。

 そして、1~5位が英国のバンド、6~10位が米国のバンドという具合に、はっきりと別れた。

 筆者はニューヨーク・パンクが苦手だった。

Ramones、The Dictators、Dead Boys は好きだったのだが(Dead Boysはニューヨークではなくクリーブランド?)、Television、Richard Hell & the Voidoids、Patti Smith、Suicide、Talking Heads等は、どう聴いてもパンクに聴こえなくて、頭の中が?だらけになったのである。

 そんな東のニューヨークに対し、西のカルフォルニアには、分かり易いパンク・バンドが多いような気がする。

 筆者の中では、ニューヨーク・パンクは偏差値高めで取っ付きにくいというイメージが出来上がってしまい、今回取り上げた米国のバンドにもニューヨークのバンドは入っていない。

ニュージャージーのMisfits 意外は、全てカルフォルニア・パンクだ。

 正直なところ、最近、筆者が聴くロックは、ロックン・ロール、ブルース・ロック、ハード・ロック、サザン・ロック、プログレッシヴ・ロックハートランド・ロック等、コンサヴァティブなものが多いので、パンクのレコードを聴くのがけっこう辛かった。

 ロックとは、そもそも若者の音楽だと思うのだが、その中でもパンクは特に若者の音楽だと思う。

 この先の人生では、もうパンクを聴くことはないかもしれないと思っていたのだが、Discharge、GBH、The Exploited については、パンクが分からなくなていた筆者に「これがパンクだ!」と分からせてくれた大切なバンドなので、ここ数日、ヘヴィ・ローテーションになっている。