Alice Cooper [アリス・クーパー]
[origin]
Phoenix, Arizona, U.S.
[live album]
The Alice Cooper Show
released: 1977
[studio album (4th)]
Killer
released: 1971
[comment]
グラム・ロック・ムーヴメントでスーパースターの座に登り詰め、その後、70年代の KISS、80年代の W.A.S.P. や Lizzy Borden、90年代の Marilyn Manson に多大なる影響を与えたショック・ロックの帝王。
Alice Cooper は全盛期のアルバムはもちろん、低迷期と言われる時期のアルバムすら好きなのだが、多くのアーティストにカヴァーされている名曲 "Under My Wheels" のオリジナルを初めて聴いたときのテンションの上がりっぷりは今でも鮮明に憶えている。
New York Dolls [ニューヨーク・ドールズ]
[origin]
New York City, U.S.
[live album]
French Kiss '74
released: 2013
[studio album (1st)]
New York Dolls
released: 1973
[comment]
今回取り上げた個人的なグラム・ロック Big 5 において、活動期間中に商業的成功を得ることのできなかったのは、この New York Dolls だけなのだが、Todd Rundgren がプロデュースした 1st は特に良くできており、売れる要素はあったと思う。
同時代の Slade や Sweet くらい常に安定した演奏ができて、Aerosmith の Steven Tyler のような絶対的なリーダーがいて、"Dream On" のようなキャッチーな曲が1曲あれば歴史は変わっていたのかもしれない(そうなると Dolls ではないか?)。
Slade [スレイド]
[origin]
Wolverhampton, England, U.K.
[live album]
Slade Alive, Vol. 2
released: 1978
[studio album (3rd)]
Slayed?
released: 1972
[comment]
グラム・ロックというキーワードに対し、筆者が無条件で連想するバンドは2つあるのだが、その1つが Slade であり、80年代になってグラム・メタル・バンド Quiet Riot にカヴァーされた "Cum on Feel the Noize" は70年代のグラム・ロック・ムーヴメントを代表する名曲だ。
とにかく Slade の曲は一緒に歌いたくなるキャッチーで高揚感のあるメロディーが秀逸であり、KISS の Gene Simmons が Slade をお手本にしたというのは納得できる(KISS のライヴ・アルバム Alive! は Slade Alive! へのオマージュか?)。
The Sweet [ザ・スウィート]
[origin]
London, England, U.K.
[live album]
Live in Denmark 1976
released: 1998
[studio album (3rd)]
Desolation Boulevard
released: 1974
[comment]
グラム・ロックというキーワードに対し、筆者が無条件で連想するもう1つのバンドがこの The Sweet であり、Mike Chapman と Nicky Chinn から提供されたシングル曲を次々にUKチャートの上位に送り込んだグラム・ロック・ムーヴメントを代表するバンドだ。
このバンドの凄いところは、後に "Fox on the Run" や "Action" というキャッチーな曲を自作できる力があるのに、拘りを捨てて外部ソングライターの曲を取り入れてバンドを成功させたところだ(ちなみに "Action" は Steve Stevens のカヴァーが秀逸である)。
T. Rex
[origin]
London, England, U.K.
[live album]
T. Rex in Concert
released: 1981
[studio album (7th)]
The Slider
released: 1972
[comment]
筆者にとってグラム・ロックを代表するバンドと言えば、既に述べたとおり Slade と Sweet なのだが、グラム・ロックのアイコン、或いは、グラム・ロックの帝王となると、それは T. Rex、即ち Marc Bolan をおいて他にいないと思っている。
ソングライターとしての Marc Bolan の魅力は 6th Electric Warrior に詰っていると思うのだが、「グラム・ロックとは何だったのか?」を知りたいのであれば、ギラギラと輝く 7th The Slider を聴けばその答えが直ぐに分かるはずである。
総括
古い記憶で定かではないのだが、グラム・ロックというジャンルを知った切っ掛けは、当時(80年代)購読していた「音楽専科」という雑誌の「グラム・ロックを振り返る」的な特集記事だったと思う。
筆者がロックを聴き始めたのは、1982年頃なので、当時の筆者にとってのグラム・ロックとは、およそ10年くらい前に流行したロック・ムーヴメントだった。
上述した「音楽専科」の特集記事では、当時のアーティストとアルバムが紹介されていて、筆者もその記事を参考にしてレコードを買っていたのだが、「グラム・ロックっぽい!」と思えるアーティストもいれば、「えっ、こういうのもグラム・ロックなん?」て思えるアーティストもいた。
グラム・ロックは見た目の共通点で括られたムーヴメントなので、音楽的に共通する特徴は無いと言われている。
しかし、筆者はグラム・ロックよりも先に、その影響を受けたグラム・メタルを先に聴いていたので、グラム・メタルっぽさのあるものをグラム・ロックっぽいと感じる先入観があったのである。
今回取り上げた5組のうち、Alice Cooper、Slade、Sweet は聴いた瞬間からグラム・ロックっぽいと思えたアーティストだった。
New York Dolls はグラム・ロックというよりもプリミティヴなロックン・ロールとしての魅力に惹き付けられ、T. Rex は Marc Bolan の紡ぎだす魔法のような不思議で独特な世界観に引き摺り込まれた。
他にも、同じ特集記事では David Bowie、Roxy Music、Mott the Hoople、Silverhead も紹介されていた(Jobriath、Sha Na Na、Mud、Hello も紹介されていたような気もするが定かではない)。
しかし、David Bowie と Roxy Music からはグラム・ロックっぽさを全く感じることができず、洗練された音楽性を持つアート・ロックのアーティストとして好きになってゆき、筆者の中ではグラム・ロックではなくプログレッシヴ・ロックに近い位置に存在するアーティストになった。
Mott the Hoople と Silverhead はグラム・ロックっぽくしようとしているけども、聴けば聴くほど The Rolling Stones や Faces に通じるオーセンティックなロックとして好きになってゆき、グラム・ロックのイメージからは遠のいていった。
結局、筆者にとってのグラム・ロックとは「プロト・グラム・メタル」であり、開き直ったような「馬鹿馬鹿しさ」、偽物のような「いかがわしさ」を持ちながらも、実は優れた作曲センスを持つ高性能なロックなのである。