大名盤である。
今回取り上げているBADLANDSの1stアルバムについては、それだけで充分だ。
ちなみに、2ndアルバムの「VOODOO HIGHWAY」も1stと甲乙つけがたい大名盤である。
ハード・ロックが好きで、BADLANDSを聴いたことがないのであれば、それは非常に勿体ないことなので絶対に聴くべきだ。
BADLANDSは、Ozzy Osbourne[オジー・オズボーン]のバンドを脱退したギタリストのJake E. Lee[ジェイク・E・リー]が、シンガーのRay Gillen[レイ・ギラン]、ドラマーのEric Singer[エリック・シンガー]、ベーシストのGreg Chaisson[グレッグ・チェイソン]と共に結成した、ブルースをベースにしたハード・ロック・バンドだ。
Ray GillenとEric SingerはBADLANDS 結成前は、BLACK SABBATH[ブラック・サバス]に在籍経験があるのだが、Eric Singerは、現在(2021年)ではKISS[キッス]のドラマーとして有名だ。
それにしても、ドラマーなのに名前がEric Singerというのは大変ややこしい。
シンガーのRay Gillenは残念ながら1993年に34歳という若さで亡くなっており、Greg ChaissonはBADLANDS加入前の経歴がよく分からない。
BADLANDSを簡単に説明すると、凄腕のミュージシャンが集まって、素晴らしい曲を演奏した、奇跡のようなハード・ロック・バンドだ。
Jake E. Leeは、Ozzy Osbourneの「BARK AT THE MOON」と「THE ULTIMATE SIN」を事前に聴いていたのでテクニカル・スキルの高いギタリストであることは予めて分かっていた(ちなみに、この人がOzzy Osbourneのアルバムで弾いているギターはテクニカル過ぎて、レコードを聴いているだけでは、どうやって弾いているのか全く分からない)。
BADLANDSの曲は、そんなJake E. Leeのテクニカルなギターと、泥臭いブルースを実に巧く融合させた完全無欠のハード・ロックなのである。
そして、そんなJake E. Leeのテクニカルなギターを時に凌駕してしまうほど凄いのが、Ray Gillenの迫力のヴォーカルだ。
この人の高音域における声の伸びの美しさは絶品であり、1980年代に登場したシンガーの中でも、その実力はトップクラスであると言えるだろう。
もし、BADLANDSを聴いたことがないのであれば、シングルにもなった"Dreams in the Dark"を聴いてもらえれば、その実力が分かるはずである。