自分の年齢が40代に入ったあたりから新しいロックを積極的に探して聴くということが激減し、1990年代前半までのロックばかりを懐かしんで聴くようなった。
昔、自分の親がテレビで懐メロ番組を見て「最近の歌はダメだ、やっぱり昔の歌が良い」と言っていたが、それと全く同じことを自分がやっているわけである。
たぶん、今も、刺激的でカッコいいロックは次々と出てきているはずなのだが、それを受け入れるだけの豊かな感性を自分が無くしてしまったのだろう。
今の自分はロック・ファンではなく、ただの懐メロ好きのオジサンだ。
自分が最も貪欲にロックを聴いていた1980年代を振り返ると、その時代におけるロック・シーンのメインストリームはヘヴィ・メタルだったなと思う。
もちろんメインストリームに対するオルタナティブとしてインディー・ロックも一定の人気を獲得していたが、普段ロックを聴かないようなリスナー層まで巻き込んだムーヴメントとなると、それはやはりヘヴィ・メタルだけであり、中でもグラム・メタルやポップ・メタルの勢いは凄かった(ちなみに、このグラム・メタルやポップ・メタルに対し、同じメタルの中から出てきたオルタナティブがスラッシュ・メタルなのである)。
そんな1980年代を象徴するメタル・バンドは山ほどいるわけだが、今回とり上げているVIXEN〔ヴィクセン〕もその一つだろう。
VIXENはメンバー全員が女性のメタル・バンドなのだが、彼女達よりも前に登場した女性メタル・バンドとは明確に違う新しさがあった。
例えばGIRLSCHOOL〔ガールスクール〕やROCK GODDESS〔ロック・ゴッデス〕といった女性メタル・バンドには怖いイメージがあったが、VIXENは下の画像のとおり女性らしいエレガントなイメージを打ち出しており怖いイメージはない。
VIXENはメンバー全員が美人なのだが、特にシンガーのJanet Gardner〔ジャネット・ガードナー〕の美しさは下の画像のとおりであり、ロック・ミュージシャンというよりもモデルだ。
メタルに限らずロック全般を見渡しても歴代最も美しい容姿を持つ女性ロック・ミュージシャンはJanet Gardnerだろう。
これで、曲がショボかったらガクッとなるのかもしれないが、今回取り上げている1stアルバム「VIXEN」は、ほどよくキャッチーで、ほどよくヘヴィな楽曲が詰まった名盤である。
このアルバムが成功した理由は、自分達で書いた曲に拘らず、外部ソングライターの曲を積極的に取り入れた彼女達の柔軟性だろう。
ギタリストのJan Kuehnemund〔ジャン・クエネムンド〕が2013年に59歳という若さで癌により亡くなってしまったのは残念で仕方がない。
ベーシストのShare Pedersen〔シェア・ペダーセン〕は筆者の最も好きなバンドTHE DOGS D’AMOUR〔ザ・ドッグス・ダムール〕のドラマーBam〔バム〕と結婚しShare Ross〔ロス〕となった。
ドラマーのRoxy Petrucci〔ロキシー・ペトルッチ〕は、あのSKID ROW〔スキッド・ロウ〕のシンガーSebastian Bach〔セバスチャン・バック〕も在籍していたMADAM X〔マダム・エックス〕出身のメンバーである。