時代が21世紀を向かえた初っ端にロックン・ロール・リバイバル或いはガレージ・ロック・リバイバルというムーヴメントがあった。
これは、ちょうどその頃に米国から登場したTHE STROKES〔ザ・ストロークス〕やTHE WHITE STRIPES〔ザ・ホワイト・ストライプス〕の人気に端を発したムーヴメントだ。
英国からはTHE LIBERTINES〔ザ・リバティーンズ〕、オーストラリアからはTHE VINES〔ザ・ヴァインズ〕、スウェーデンからはTHE HIVES〔ザ・ハイヴス〕、MANDO DIAO〔マンドゥ・ディアオ〕という具合に、1960年代から1970年代のロックン・ロールやガレージ・ロックへの回帰を標榜するバンドが各国から同時多発的に登場した。
今、名前を挙げたバンドの中で筆者が最も好きでよく聴いたのはTHE HIVESだ。
そして、どう言う訳か人気者のTHE WHITE STRIPESに関しては今までまともに聴く機会がない。
今回取り上げているTOKYO SEX DESTRUCTION〔トーキョー・セックス・ディストラクション〕が1stアルバム「LE RED SOUL COMUNNITTE」をリリースしたのは2002年なので、時期的にはちょうどこのムーヴメントと重なっている。
TOKYO SEX DESTRUCTIONはスペイン・バルセロナ出身のバンドだが、スペインという国は筆者の中ではちょっとロックとは結び付きにくい国だ。
確か、このバンドは洋楽雑誌rockin'onで知ったと記憶しているのだが「東京」、「性」、「破壊」という、何の脈絡もなくランダムに選んだ言葉を三つ並べただけのような奇妙なバンド名の命名センスに惹かれて1stアルバム「LE RED SOUL COMUNNITTE」を購入した。
はっきり言って、魔が差した感じで買ってしまった一枚なので、全く期待していなかったのだが、MC5〔エム・シィー・ファイヴ〕への憧憬を隠さない彼等のガレージ・ロックの一撃に見事なまでにやられてしまった。
MC5をマネジメントしていたJohn Sinclair〔ジョン・シンクレア〕にあやかり、メンバー全員がSinclair姓を名乗るというギミックも面白い。
所謂ロックン・ロール・リバイバル或いはガレージ・ロック・リバイバルの中では前年(2001年)にリリースされたTHE HIVESのコンピレーション・アルバム「YOUR NEW FAVOURITE BAND」と並んで最もよく聴いたアルバムだ。
2020年現在で日本語版どころか英語版のWikipediaすらないマイナーなバンドだが、全10曲を30分弱で駆け抜けるこのアルバムはガレージ・ロック好きには垂涎の一枚にはるはずである。