こんな音源がAmazon Musicで簡単に聴けてしまうとは有り難い時代である。
今回はTHE BABYSITTERS〔ザ・ベイビーシッターズ〕の1stアルバム「THE BABYSITTERS」を取り上げてみる。
1985年の作品だが、このアルバムはリリース当時の日本では殆ど話題になっていなかったように記憶している。
こういうグラム感てんこ盛りのロックン・ロール・バンドは筆者の大好物なので、当時、毎月購入していた洋楽雑誌「音楽専科」の新譜レビューでこのアルバムのリリース情報を見つけて迷うことなくレコードを購入した。
1985年という時代を振り返ると、米国ではMÖTLEY CRÜE〔モトリー・クルー〕の3rdアルバム「THEATRE OF PAIN」が全米6位(4Xプラチナム)、RATT〔ラット〕の2ndアルバム「INVASION OF YOUR PRIVACY」が全米7位(2Xプラチナム)という具合に、グラム・メタルが盛り上がりを見せ始めていた時期だ。
それでは、THE BABYSITTERSの祖国である英国はどうだったかと言うと、米国で興りつつあるグラム・メタル・ムーヴメントは飛び火しておらず、シンセポップやインディー・ロックの人気の方がはるかに高かった。
この時期の英国のグラム・メタル・バンドとして、今パッと思いつくのはWRATHCHILD〔ラスチャイルド〕くらいで、枠を欧州に広げてみるとフィンランド出身のHANOI ROCKS〔ハノイ・ロックス〕がいたが、今まさに話題にしている1985年に不本意な解散を強いられている。
そんな英国のグラム・メタルやロックン・ロールのシーンが寂しかった時代に登場したTHE BABYSITTERSに対し、筆者は大きな期待を寄せて彼らの1stアルバム「THE BABYSITTERS」を聴いたのだが「これは売れへんやろなぁ~」というのが正直な感想だった。
けして楽曲が悪いわけではなく、筆者にとっては大好きなタイプのグリッターなロックン・ロールが目いっぱい詰め込まれたアルバムなのだが、どうしても拭い取ることが出来ないチープなB級感がグイグイと前に出てきてしまうのである。
また、MÖTLEY CRÜEやRATT等の米国勢と比べると時代に合わせた新しさ無く、1970年代のSLADE 〔スレイド〕やSWEET〔スウィート〕をそのまま聴いているような錯覚に陥るのである。
しかし、そこが筆者のようなマニアの心を掴むところであり、例えばMÖTLEY CRÜEも好きだがPRETTY BOY FLOYD〔プリティ・ボーイ・フロイド〕も好きだという人には是非聴いてもらいたいバンドなのである。