■ 第10位
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title | UNDER LOCK AND KEY[アンダー・ロック・アンド・キー] |
artist | DOKKEN[ドッケン] |
released | 1985年 |
origin | Los Angeles, California, US |
comment | 80年代に興ったグラム・メタルというジャンルにおいて、MÖTLEY CRÜE[モトリー・クルー]とRATT[ラット]の次にくるバンドと言えば、それは間違いなくDOKKENなのである。 しかし、このバンドは王道のハード・ロックすぎて、フレッシュさが全く無い。 グラム・メタル風のヘアスタイルやファッションも、好きでやっているというよりも、マネジメントやレコード会社からの圧力でやらされているように見える。 とは言うものの、Don Dokken[ドン・ドッケン]の甘く艶やかなヴォーカル、George Lynch[ジョージ・リンチ]の超絶的に個性的でテクニカルなギターが織りなす曲のクオリティは高く、特にこの3rdアルバムは今でも時々聴きたくなる1枚なのである。 |
■ 第9位
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title | ONCE BITTEN[ワンス・ビトゥン] |
artist | GREAT WHITE[グレイト・ホワイト] |
released | 1987年 |
origin | Los Angeles, California, US |
comment | この時代、LED ZEPPELIN[レッド・ツェッペリン]に似ていると言われていたバンドが、KINGDOM COME[キングダム・カム]と、このGREAT WHITEである。 KINGDOM COMEは曲をLED ZEPPELINに似せていたが、GREAT WHITEはシンガーであるJack Russell[ジャック・ラッセル]の声質や歌い方がRobert Plant[ロバート・プラント]に似ているものの、曲はそれほどLED ZEPPELINに似ていない。 最近になって気付いたのだが、このバンドのブレインは、ギター、キーボード、ハーモニカ、バッキング・ヴォーカル、そして、プロデュースまで担当するMichael Lardie[マイケル・ローディ]だ。 このバンドも王道ハード・ロックすぎてフレッシュさが全く無いのだが、曲が良いので今でも無性に聴きたくなるときがあり、そんな時に手が伸びるのがこの3rdアルバムなのである。 |
■ 第8位
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title | THRILL OF A LIFETIME[スリル・オブ・ア・ライフタイム] |
artist | KING KOBRA[キング・コブラ] |
released | 1988年 |
origin | Los Angeles, California, US |
comment | KING KOBRAは、60年代から活躍している超有名ドラマーCarmine Appice[カーマイン・アピス]が結成したバンドだ。 ベテランが作ったグラム・メタルのアルバムを取り上げるのは避けているのだが、このバンドの場合、Carmine Appice以外のメンバーは、当時殆ど無名だったので取り上げることにした。 1stアルバムから曲のクオリティが高かったのでその片鱗はあったのだが、この2ndはハード・ポップの教科書と言えるほど、非常によくできたアルバムである(ただし、その分、グラム・メタル感は薄い)。 余計な話かもしれないが、このKING KOBRAというバンド名は、ググラビリティが低すぎて、インターネットが普及した現在では、まず採用されない(できない)バンド名である。 |
■ 第7位
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title | VIXEN[ヴィクセン] |
artist | VIXEN[ヴィクセン] |
released | 1988年 |
origin | Saint Paul, Minnesota, US |
comment | 今あらためてグラム・メタルを振り返ると、このムーヴメントは「男の演者が女の聴衆に向かってパフォーマンスするロック」だったので、演者側に女が入り込む余地が無いムーヴメントだった。 ベテランではLita Ford[リタ・フォード]がグラム・メタル的なアプローチで活躍していたが、新人で大健闘したのは、間違いなく、このVIXENだろう。 このアルバムの勝因は、自作曲に拘らず、Richard Marx[リチャード・マークス]等、外部のソングライターが書いた良い曲を積極的に採用したことだ(もちろんレコード会社からの圧力もあったはずだ)。 しかし、この1stアルバムの成功により、2ndアルバムでは、収録曲の殆どを自作曲にできるという自由を彼女たちは手に入れたのである。 |
■ 第6位
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title | HOUSE OF LORDS[ハウス・オブ・ローズ] |
artist | HOUSE OF LORDS[ハウス・オブ・ローズ] |
released | 1988年 |
origin | Los Angeles, California, US |
comment | HOUSE OF LORDSは、ANGEL[エンジェル]のキーボーディストだったGregg Giuffria[ジェフリア]が、自身の名を冠したバンドであるGIUFFRIAを解散させた後に立ち上げたバンドだ。 つまり、ベテランが作ったグラム・メタルのアルバムなので、取り上げるにあたっては多少の迷いがあったのだが、演奏、曲、歌、全てにおいて完璧な名盤なので取り上げることにした。 GIUFFRIAは「JOURNEY[ジャーニー]に似すぎやないか!」と言われて叩かれたのだが、HOUSE OF LORDSは欧州的な陰りのあるプログレ・ハードという感じの曲が多く、「このバンドでなければ」という個性が明確にある。 そして、こう感じるのは筆者だけかもしれないのだが、このバンドのシンガーJames Christian[ジェイムズ・クリスチャン]の声質は、Joe Lynn Turner[ジョー・リン・ターナー]に似ているように感じる。 |
■ 第5位
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title | LOVE YOU TO PIECES[ラヴ・ユー・トゥ・ピーシズ] |
artist | LIZZY BORDEN[リジー・ボーデン] |
released | 1985年 |
origin | Los Angeles, California, US |
comment | シンガーであるLizzy Bordenの名をそのままバンド名にしており、Alice Cooper[アリス・クーパー]から影響を受けていることは明白である。 W.A.S.P.[ワスプ]とは違う形でAlice Cooperが創り出したショック・ロックを受け継ぐバンドなのだが、音楽的にはJUDAS PRIEST[ジューダス・プリースト]やIRON MAIDEN[アイアン・メイデン]等、英国産ヘヴィ・メタルからの影響が強い。 メタルを含むロックというジャンルは、演者があまりにも真剣に取り組み過ぎると、それが返ってバカバカしく見えてしまうので、演者側には自らバカバカしさを演じられる余裕があった方が良い。 LIZZY BORDENの場合も、音楽だけ聴いていると王道すぎるくらいの正統派ヘヴィ・メタルなので、バカバカしく見えるヴィジュアル、そして、奇を衒ったショック・ロックと組み合わせることで、上手い具合にバランスが取れているのである。 |
■ 第4位
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title | BIG DEAL[ビッグ・ディール] |
artist | KILLER DWARFS[キラー・ドワーフス] |
released | 1988年 |
origin | Oshawa, Ontario, Canada |
comment | 「このアルバム・カヴァーを見て、購買意欲をそそられる奴はいるのだろうか?」と感じる人が殆どだと思うのだが、世の中にはこのアルバム・カヴァーを気に入って買う「物好きな奴」もいるのだ。 既にお気付きかもしれないが、その「物好きな奴」とは、もちろん筆者のことである。 このアルバム・カヴァーなのだから、こちらも「どんなコミック・ソングが飛び出してくるのだろうか?」という具合に、ある程度の覚悟を持って聴くわけだが、そこから飛び出してきたのは、あまりにも上質なハード・ロックなので、逆に面喰ってしまうのである(こんなん、反則やん!なんなん、このアルバム・カヴァーの意味は?)。 ちなみに、このバンドのバンド名はKiLLeR DWaRfSと書くのが作法らしい。 |
■ 第3位
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title | FIGHT TO SURVIVE[華麗なる反逆] |
artist | WHITE LION[ホワイト・ライオン] |
released | 1985年 |
origin | Copenhagen, Danmark / New York City, New York, US |
comment | 後出しジャンケンのような言い方になるが、筆者はこのWHITE LIONの1stアルバムを聴いたときに、「このバンドは絶対に売れる」と確信していた(実際に売れたのは2ndからだ)。 デンマーク人シンガーMike Tramp[マイク・トランプ]は独特の癖を持つ声なのだが(つまり、美声ではない)、欧州的な湿り気や切なさがあり、同時期・同ジャンルの米国人シンガーとは決定的に違う「何か」がある。 そして、更にこのバンドを個性的にしているのは、Vito Bratta[ヴィト・ブラッタ]の超絶テクニカルなギターだ。 この時代、高速タッピングやスウィープを取り入れるギタリストは多かったのだが、この人は、高速タッピングやスウィープを、曲の中に美しく自然に入れるのが上手い。 実はこのアルバム、米国でのレコード会社(エレクトラ)がリリースを拒否したため、当時は日本のレコード会社(ビクター)でのみリリースされていたアルバムだったのである(エレクトラ、大丈夫か?)。 |
■ 第2位
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title | BACK TO BABYLON[バック・トゥ・バビロン] |
artist | TORMÉ[トーメ] |
released | 1985年 |
origin | Ranelagh, Dublin, Ireland / London, England, UK |
comment | このバンドのギタリストBernie Tormé[バーニー・トーメ]も70年代から活動しているギタリストであり、1952年生れなので、この当時でもけっこうなベテランである(Johnny Thunders[ジョニー・サンダース]やPaul Stanley[ポール・スタンレー]と同い年)。 Ian Gillan[イアン・ギラン]やOzzy Osbourne[オジー・オズボーン]という超一流のバックを務めたギタリストなのだが、その超一流の下を自ら去ってソロ活動をした後に、元GIRL[ガール]のPhil Lewis[フィル・ルイス]と結成したバンドがTORMÉだ。 ベテランが作ったグラム・メタルのアルバムは避けたいところなのだが、とにかく筆者はBernie Torméのギターが好きなのである。 特に、この人が、弦が切れそうなほど、ノリノリで乱暴に惹きまくっているときのギターが最高に好きだ。 この人は、Ozzy Osbourneのバックをもっと長く務めて、Ozzyのレコードでも弾いていたら、ひとかどの成功と名声を得られていたと思うのだが、どうにも生き方が下手な人のような気がして仕方がない。 |
■ 第1位
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title | VINNIE VINCENT INVASION[ヴィニー・ヴィンセント・インヴェイジョン] |
artist | VINNIE VINCENT INVASION[ヴィニー・ヴィンセント・インヴェイジョン] |
released | 1986年 |
origin | Los Angeles, California, US |
comment | KISS[キッス]の2代目リード・ギタリスト、Vinnie Vincentが率いるバンドなので、これもベテランが作ったグラム・メタルのアルバムなのだが、Vinnie Vincent以外は当時ほぼ無名だったので取り上げることにした(今回初めて知ったのだが、Vinnie Vincentも1952年生れだ)。 このアルバムを初めて聴いたときは、Vinnie Vincentの弾きまくりっぷりに一発でノックアウトされてしまった。 はっきり言って、このアルバムは、Vinnie Vincentのエゴが丸出しになった、ギターだけが飛び抜けて目立つアルバムだ。 Vinnie Vincentの速弾きを楽しむためのアルバムなので、ロックを聴く時にギターよりもヴォーカルに魅かれる人が聴くと、あまり面白味の無いアルバムに感じるかもしれない。 しかし、ギターの速弾きが好きな人にとっては、物凄い満足感を得られるアルバムなのである。 ちなみに、このバンドのベーシストDana Strum[ディナ・ストラム]と、次作でヴォーカルを担当するMark Slaughter[マーク・スローター]は、後にSLAUGHTER[スローター]を結成することになる。 |
前々回が「好きなグラム・メタルのアルバム10選(1980-1984)」、前回が「好きなグラム・メタルのアルバム10選(1985-1989)」ということで、合計20枚選んだのだが、まだまだ好きなグラム・メタルのアルバムがあるので、80年代にリリースされたアルバムに絞って、追加で10枚選んだ。
前回、前々回は、ベテランが作ったグラム・メタルのアルバムは避けていたのだが、今回はメンバーの中で1人だけがベテランならOKにした。
そうしたところ、Carmine AppiceのKING KOBRA、Gregg GiuffriaのHOUSE OF LORDS、Bernie TorméのTORMÉ、Vinnie VincentのVINNIE VINCENT INVASIONという具合に、10枚中4枚が、それに該当するバンドのアルバムになってしまった。
それにしても、このグラム・メタルというジャンルは、1980年代に一世を風靡したジャンルなので、掘れば掘るほど、いくらでも好きなアルバムが出てくる。
そして、今回分かったことは、実はグラム・メタルが死滅したと思われている90年代にも名盤が多いということだ。
選んでいて、「あれっ、これって90年代なん?」ということで、取り上げなかったアルバムもかなりある。
いずれ、「好きな90年代のグラム・メタルのアルバム」もやってみたいと思った。