今回取り上げているJohn Cougar Mellencamp[ジョン・クーガー・メレンキャンプ]の8thアルバム「SCARECROW」は1985年のリリースであり、当時の筆者は16歳(高1)だった。
このアルバムは、物凄く売れていたという印象があり、筆者はこのアルバムでJohn Cougar Mellencampというアーティストに出会った。
現在はJohn Mellencampという本名で活動している彼だが、Johnny Cougar(1st~2nd)→John Cougar(3rd~6th)→John Cougar Mellencamp(7th~10th)→John Mellencamp(11th~)という具合に、徐々にアーティスト名を本名に変えていった経緯がある。
たぶん、レコード会社かマネジメントあたりに付けられたCougarという芸名が、かなり嫌だったのではないだろうか。
ちなみに、Cougarとは、日本では一般的にピューマと呼ばれている動物であり、食肉目ネコ科に分類される肉食動物のことである。
ネコ科は、ネコ亜科(イエネコ、ヤマネコ等)とヒョウ亜科(ヒョウ、トラ、ライオン等)に分かれるのだが、ピューマは、見た目や大きさはヒョウのようなのだが、ヒョウ亜科ではなく、ネコ亜科に分類される変わった動物であり、筆者にとってはユキヒョウと並ぶ好きな動物の一つだ。
だいぶ話が横道に逸れたが、筆者はこの「SCARECROW」あたりからハートランド・ロックというジャンルを熱心に聴くようになった。
この「SCARECROW」、そして、同じく1985年にリリースされているTom Petty & THE HEARTBREAKERS[トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ]の「SOUTHERN ACCENTS」の2枚は、当時、かなり聴き込んでいた。
筆者が洋楽を聴き始めた切っ掛けは、DURAN DURAN[デュラン・デュラン]、CULTURE CLUB[カルチャー・クラブ]、KAJAGOOGOO[カジャグーグー]、WHAM! [ワム!]といった英国の煌びやかなアーティストだったのだが、1984年にリリースされたBruce Springsteen[ブルース・スプリングスティーン]の「BORN IN THE U.S.A.」が切っ掛けとなり、米国の煌びやかではないロックにも興味を持つようになった。
その後は、Huey Lewis & THE NEWS[ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース]の「SPORTS」に嵌り、そして、この手の米国産ロックを好きになる決定打となったのが今回取り上げているJohn Cougar Mellencampの「SCARECROW」だった。
今、この手の米国産ロックのことをHeartland Rock[ハートランド・ロック](中西部地域のロックという意味か?)と言うらしいが、1980年代当時、Heartland Rockというジャンル名は、少なくとも日本では使われていなかったと思う。
「この手の米国産ロック」と書くと、何のことか分からなくなりそうなので、この記事でもHeartland Rockと書くが、Heartland Rockのアーティストというのは、日本ではけっこうイメージを誤解されているようように思えてならない。
多くの日本人は、Heartland Rockのアーティストに対し、「勇ましい」とか「男らしい」というイメージを持っているのではないだろうか?
筆者も、最初はそのイメージでHeartland Rockのアーティストのことを理解しようとしていたのだが、実際に聴き込んでみると、彼らは意外なほど繊細...というか女々しいのである。
John Cougar Mellencampの「SCARECROW」も自身の弱さを曝け出したようなアルバムであり、そこが男の胸にグッと刺さるのである。