今回取り上げている米国・ワシントンD.C.出身のバンドANGEL[エンジェル]は、1975年に1stアルバムの「ANGEL」をリリースしている。
筆者は1969年生れなので、当然のことながらリアルタイムで聴いたバンドではない。
ANGELのキーボディストだったGregg Giuffria[グレッグ・ジェフリア]は、1980年代にGIUFFRIA[ジェフリア]というバンドを率いて活動しており、筆者は、このGIUFFRIAが好きだったので、そこから遡ってANGELに辿り着いたのである。
今回取り上げているのは5thアルバムの「SINFUL」なのだが、そのアルバム・カヴァーのとおり、レコード会社やマネジメントからアイドルとして売り出されていたバンドだ。
ただし、1stアルバムの「ANGEL」、2ndアルバムの「HELLUVA BAND」では、プログレッシヴ・ロックの要素が強い重厚なハード・ロックを演奏しており、アイドル・バンドらしい分かり易い音楽性ではない。
デビュー当時、本国の米国では鳴かず飛ばずの状況だったが、日本ではデビューから女性ファンを中心に大人気となった。
確かに、キーボディストのGregg Giuffriaと、ギタリストのPunky Meadows[パンキー・メドウス]のヴィジュアルはかなりのものであり、とりわけ、Punky Meadowsは、筆者も初めて彼の写真を見た瞬間、自分の中のカッコ良いギタリスト・ランキングの上位に飛び込んできた。
何しろ、ステージに上がっていない時の姿がこの麗しさであり、
ステージに上がっている時の姿がこのカッコ良さなのである。
日本の女性ファンが飛びつくのも当然だろう。
ただし、先ほども書いたとおり、デビュー当時のANGELは、アイドル・バンドらしい、分かり易い音楽性を持っていたわけではない。
ANGELがポップな面を押し出してきたのは3rdアルバムの「ON EARTH AS IT IS IN HEAVEN」からであり、その方向性が功を奏し、4thアルバムの「WHITE HOT」では売り上げも伸び、全米55位のという結果を残すことができた。
そして、今回取り上げている5thアルバムの「SINFUL」は、彼らのキャッチーでポップな面が最も強く打ち出されており、アルバム・カヴァーどおり、アイドル・バンドとして分かり易いアルバムとなったのだが、売り上げは前作を超えることができず、このアルバムを最後に解散という道を選ぶことになった。