最も好きなロック・バンドは?
こう訊かれた時に「THE DOGS D'AMOUR〔ザ・ドッグス・ダムール〕です」と答える筆者にとって、とても興味深い記事が音楽雑誌BURRN!の2019年9月号に掲載されていた。
その興味深い記事とは「LAメタルの真実」という連載における元GUNS N' ROSES〔ガンズ・アンド・ローゼズ〕のギタリスト、Gilby Clarke〔ギルビー・クラーク〕のインタビューのことだ。
言うまでもないかもしれないが、Gilby Clarkeとは、リズム・ギターを担当していたGUNS N' ROSESのオリジナル・メンバーであるIzzy Stradlin〔イジー・ストラドリン〕が脱退した後、その後任としてGUNS N' ROSESに加入した人物だ。
Gilby Clarkeの加入はIzzy Stradlinの脱退が決定した後、それほど間を空けずに発表されている(Izzy Stradlinの脱退が1991年、Gilby Clarkeの加入も1991年)。
Gilby ClarkeはGUNS N' ROSESに加入する前からCANDY〔キャンディー〕やKILL FOR THRILLS〔キル・フォー・スリルズ〕の中心メンバーとして活動しており、GUNS N' ROSESよりも先にメジャー・レーベルと契約してプロのミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせている。
そのため、Gilby ClarkeのGUNS N' ROSESへの加入はオーディション無しで決定したのだろうなと思っていたのだが、前述のBURRN!のインタビューではSlash〔スラッシュ〕から電話があり、しっかりとしたオーディションを2回受けた上での加入であったことが語られており、これには少々驚かされた。
そして、それ以上に驚いたのは、Slashが電話した相手が他にもいたことが語られており、それがTHE DOGS D'AMOURのJo Dog〔ジョー・ドッグ〕だと言うのである。
Jo Dogはスライド・ギターの名手なので、彼が新しいインプットを与えたGUNS N' ROSESでJo Dogの演奏する姿を見てみたかったような気もするが、結果としては米国のバンドであるGUNS N' ROSESには英国人のJo Dogよりも米国人のGilby Clarkeの方が合っていたように思える。
今回取り上げているのは、そんなJo DogがL.A. GUNS〔エルエー・ガンズ〕の初期のシンガー、Paul Black〔ポール・ブラック〕と組んだJo Dog & Paul Black's SONIC BOOM〔ソニック・ブーム〕のアルバム「SUNDOWN YELLOW MOON」だ。
このアルバムで聴けるのは、基本的にはロックン・ロールなのだが、けっこうカントリー要素の強い曲もあり、曲によってはオルタナ・カントリーっぽかったりもする。
Jo Dogの古巣であるTHE DOGS D'AMOURもアコースティック・ギターが際立つ「A GRAVEYARD OF EMPTY BOTTLES」というEPがあるのだが、THE DOGS D'AMOURのメイン・ソングライターはTyla〔タイラ〕であり、Jo Dogは作曲にはあまり関与していなかったので、THE DOGS D'AMOURにおけるカントリー・テイストはTylaからのインプットだと思っていたのだが、Jo Dog & Paul Black's SONIC BOOMの「SUNDOWN YELLOW MOON」を聴いていると、Jo Dogからのインプットもかなりあったのではないかと思えてくる。
Paul Blackのハスキーとまではいかない少しかすれ気味な声質もオルタナ・カントリーっぽい曲にあっているし、こういう声質で歌われる大地の匂いがするバラードは胸に染みる。
今回は筆者のお気に入りのギタリストであるJo Dogに関するアルバムだったので、調子に乗り過ぎて、いつもよりも300字ほど多めに書いてしまった。