Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0369) DANZIG III: HOW THE GODS KILL / DANZIG 【1992年リリース】

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今回取り上げているDANZIG[ダンジグ]は、米国ニュージャージー出身のホラー・パンク・バンド、MISFITS[ミスフィッツ]のシンガーだったGlenn Danzig[グレン・ダンジグ]を中心に結成されたバンドである(Glenn DanzigはMISFITSとDANZIGの間にSAMHAIN[サムヘイン]というバンドもやっている)。


MISFITSのことは、GUNS N' ROSES[ガンズ・アンド・ローゼズ]やMETALLICAメタリカ]のメンバーが、当時(1980年代後半)の洋楽雑誌のインタビューで度々その名前を挙げていたので気になってはいたのだが、アルバムを買うまでには至らなかった。


そんな折、元MISFITSのGlenn DanzigDANZIGというバンドをやっていることを知り、1stアルバムの「DANZIG」を輸入盤で購入した(文章がDANZIGだらけになってしまった...)。


MISFITSはパンク・バンドだったので、RAMONESラモーンズ]やSEX PISTOLSセックス・ピストルズ]のような音を予想してアルバム「DANZIG」を聴いたのだが、飛び出してきたのはメタル成分がかなり多めのゴシック・ロックであり、意表を突かれた記憶がある。


また、後にDANZIGのミュージック・ビデオを見た時に初めてGlenn Danzigの姿を知ったのだが、彼が筋骨隆々の厳ついヴィジュアルだったことも意外だった。


ゴシック・ロックをやる人というのは、BAUHAUS[バウハウス]のPeter Murphy[ピーター・マーフィー]やCHRISTIAN DEATH[クリスチャン・デス]のRozz Williams[ロズ・ウィリアムズ]のように痩せているイメージがあったのだが、Glenn Danzigの体はパンパンにパンプアップされていたのだ。


筆者の中では、THE STOOGES[ザ・ストゥージズ]のIggy Popイギー・ポップ]、BLACK FLAGブラック・フラッグ]~ROLLINS BAND[ロリンズ・バンド]のHenry Rollins[ヘンリー・ロリンズ]、そして、MISFITS~SAMHAIN~DANZIGGlenn Danzigが3大筋肉ヴォーカリストなのである。


DANZIGはバンドと言うよりも、Glenn Danzigソロ・プロジェクトなので、自分の好きなようにやれるためなのか、短命に終わったMISFITSやSAMHAINと違い、2020年現在でも活動を続けている。


筆者が特に好きなのは、今回取り上げている3rdアルバムの「DANZIG III: HOW THE GODS KILL」なのだが、DANZIGはゴシック・ロックが好きな人なら、どのアルバムを聴いても、かなり楽しめるアーティストなのではないだろうか。


ゴシック・ロックなのに、声質が泥臭くて、米国人らしいブルージーなテイストがあるのも味わい深くて良いのである。

 

#0378) WELCOME TO THE PLEASUREDOME / FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD 【1984年リリース】

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今回は英国リヴァプール出身のFRANKIE GOES TO HOLLYWOODフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド]が、1984年にリリースした1stアルバムの「WELCOME TO THE PLEASUREDOME」を取り上げている。


FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD(長いので以下FGTH)は、このアルバムにも収録されている1stシングル"Relax"、2ndシングル"Two Tribes"、3rdシングル"The Power of Love"を立て続けに全英1位に送り込んでいる。


FGTHの少し前にKAJAGOOGOO[カジャグーグー]の1stシングル"Too Shy"が全英1位になっているが、FGTHのようにデビューから3作連続で全英1位になるというのは珍しいのではないだろうか。


FGTHの登場は、かなりセンセーショナルだったと記憶している。


FGTH以前に筆者が好んで聴いていた英国のアーティストは上記のKAJAGOOGOOや、DURAN DURANデュラン・デュラン]、SPANDAU BALLETスパンダー・バレエ]、ABC[エービーシー]、CULTURE CLUBカルチャー・クラブ]、WHAM![ワム!]辺りなのだが、何れも非常にソフィスティケートされていた。


CULTURE CLUB のBoy George[ボーイ・ジョージ]が女装ファッションで登場した時は衝撃を受けたが、それでも彼のファッションはカラフルで、どこか柔らかな印象があった。


FGTHは上記したアーティストの少し後に登場したので違うイメージ戦略を取らざるを得なかったという事情もあるが、とにかくFGTHには過激で挑発的なイメージがあり、当時の筆者はドキドキしながらFGTHのミュージック・ビデオを見ていた記憶がある。


当時(中3)から筆者の英語のスキルは低かったので、曲を聴きながら歌詞を理解することは出来なかったのだが、"Relax"がSMについて歌っていることを洋楽雑誌の記事を読んで知っていたので、FGTHのレコードを聴く時はちょっとした背徳感を覚えたものである。


FGTHの曲は、プロデューサーであるTrevor Hornトレヴァー・ホーン]からのインプットがかなりあると思うのだが、強烈に人間の下半身に響くダンス・ポップなのでディスコ等で流れれば確実に受けるように設計されているのだ。


ただし、けして長く続くようなバンドではないことも薄々分っていた感があり、今回取り上げている「WELCOME TO THE PLEASUREDOME」がリリースされた頃には既に大衆はFGTHに飽き始めていた。


なお、筆者はこのアルバムでカヴァーされている"Born to Run"がBruce Springsteenブルース・スプリングスティーン]の曲であることを知り、その後、オリジナルを聴きたくてBruce Springsteenの「BORN TO RUN」を買うことになるのである。

 

#0367) III / VOW WOW 【1986年リリース】

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このブログを書いている2020年現在では、BABYMETAL[ベビーメタル]やDIR EN GREY[ディル・アン・グレイ]等、世界規模でのツアーを行い、海外からも高い評価を得ている日本のロック・バンドが数多く存在する。


そんな現状を、1980年代からロックを聴き始めた筆者のような人間が目の当たりにすると、「時代は変わったんやなぁ~」と感じるのだ。


1980年代当時、海外で活動しながら、一定以上の評価を得ていた日本のロック・バンドと言えば、LOUDNESSラウドネス]と、今回取り上げているVOW WOW[ヴァウワウ]の二組だけだったのではないだろうか。


FLATBACKER[フラットバッカー]がバンド名をE・Z・O[イーズィーオー]に改めてゲフィン・レコードと契約したり、聖飢魔IIを脱退したジェイル大橋(Takashi "Jam" O'Hashi)が渡米して結成したCATS IN BOOTS[キャッツ・イン・ブーツ]がキャピトル・レコードと契約したりという具合に、活動拠点を海外に移して頑張っている日本人も多くは無いが存在した。


もちろん、筆者もE・Z・OやCATS IN BOOTSは当時かなり好きで聴いていたのだが、それでも、海外で活動している日本のロック・バンドと言えばLOUDNESSVOW WOWが2大巨頭であり、なんだか乱暴な言い方になってしまうが、とにかくLOUDNESSVOW WOWは凄かったのである。


VOW WOWと言うと、バンド名がBOW WOWの時代からバンドの中心であり稀代のギタリストでもある山本恭司[やまもときょうじ]のバンドという印象が強いのかもしれないが、バンド名をVOW WOWに改め再出発した時に加入したヴォーカリストの人見元基[ひとみげんき]の存在抜きでは絶対に語れないバンドなのである。


最近の日本のロックを殆ど聴いていないので迂闊なことは言えないのだが、それでも日本のロックの歴史において、人見元基を超えるヴォーカリストは未だに現れていないのではないだろうか?


迫力の声量、声域の広さ、表現力の豊かさ等、ハード・ロック・バンドのヴォーカリストに求められる全てのパーツが一級品なのである。


筆者は英語を聞き取るスキルが達者ではないのだが、そんな筆者でも今回取り上げているVOW WOW の3rdアルバム「III」を初めて聴いた時は日本人が歌っているようには全く思えず、人見元基の流暢な英語には心底驚かされた。


そして、この時代のロック・バンドと言えば、どうしても曲が歌謡曲臭くなってしまうのだが、VOW WOWの曲にはそれが全く無く、王道ハード・ロックそのものなのが実に良いのである。

 

#0366) BEAUTIFUL FEELINGS / Rick Springfield 【1984年リリース】

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筆者の仕事は土日祝が休み、所謂カレンダーどおりの休みである(土曜日が休みなのはカレンダーどおりとは言わないのか?)。


土日祝が休みなのでブログを書くのは週に2回、土日だけと決めており、昨日11/15 (日)もブログを書く予定だったが書けなかった。


その理由は家で仕事をしていたからだ。


筆者は元々コンピュータ・プログラマとして働いていたのだが、現在はコンピュータ・プログラマを育成する講師として働いている。


IT技術者からIT講師に職種を変えたわけだが、この二つは同じ業界にありながら、けっこう仕事の性質が異なる。


IT技術者の頃は迫る納期に追われて胃がキリキリするような忙しさを味わっていたが、IT講師はとにかく毎日がダラダラと忙しい。


社内にIT講師は筆者一人だけなので、教材の作成、講義、実習と受講者のフォロー等を全て一人でやることになり、IT技術者の頃のようにチームで仕事をすることは全く無い。


実は土日は時間の差異はあるものの結局は家で仕事をしており、昨日は食事をする時以外は、ずっと仕事をしていたので、どうしてもブログを書く時間が取れなかった。


「忙しい」という言葉を吐くのは、自分が若い頃に嫌いだった「忙しさ自慢オジサン」のようで嫌なのだが、どうにもこの忙しさは退職でもしない限りダラダラと続きそうだ。


昨日、仕事をしながら聴いていたのが今回取り上げているRick Springfield[リック・スプリングフィールド]の8thアルバム「BEAUTIFUL FEELINGS」だ。


このアルバムもロックを聴き始めた頃(1980年代初期)に大好きになったルバムだ。


精神を蝕まれるほど忙しい時は音楽なんて全く聴く気になれないのだが、今くらいのダラダラとした忙しさの時は、若い頃に大好きだったよく知っている曲を聴きたくなる。


昨日は他のRick Springfieldのアルバムも何枚か聴いたのだが、この「BEAUTIFUL FEELINGS」が最も気分が上がる一枚だった。


Rick Springfieldはロックを聴き始めた人が聴くのにちょうど良い、ロックらしいロックを聴かせてくれる素晴らしいアーティストだ。


ロックを聴き始めた人は変にマニアックなロックよりも、Rick Springfieldが歌う素直で真っ直ぐで気持ちの良いロックを聴くべきなのである。

 

#0365) RAGING SLAB/ RAGING SLAB 【1989年リリース】

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今回取り上げているのは、RAGING SLAB[レイジング・スラブ]が1989年にリリースしたセルフタイトルのメジャー・デビュー・アルバムだ。


ニューヨーク(以下、NY)のバンドだが、ジャンルとしてはサザン・ロック、或いは、サザン・メタルに該当する。


筆者は1980年代中期から1990年代初期にリリースされたハード・ロック/ヘヴィ・メタル系バンドのアルバムは、殆ど片っ端から聴いていたのだが、その多くはロサンゼルス(以下、LA)のバンドが多かった。


LAのバンドと言っても、例えばPOISON[ポイズン]のように本当の出身はLAから遠く離れたペンシルベニアだが、バンド活動のためにLAに流れてきたようなバンドも多く、そういう流れ者も含めて当時の日本では彼らのことをLAメタルと呼んでいた。


そんなLA勢が犇めく1980年代のハード・ロック/ヘヴィ・メタル界だったが、当然ながら他の都市からメジャー・デビューするバンドも少なからず存在した。


中でもNYからは今回取り上げているRAGING SLABやCIRCUS OF POWER[サーカス・オブ・パワー]、LAW AND ORDER[ロウ・アンド・オーダー]、SPREAD EAGLE[スプレッド・イーグル]、THE LOST[ザ・ロスト]といったバンドがメジャー・デビューし、けして大きな成功を修めたわけではないが、筆者にとってはどれも忘れ難いバンドだ。


はっきりとは分からないのだが、RAGING SLABは上記のバンドのなかでは、けっこう成功した方なのではないだろうか。


Wikipedia情報だが、このブログを書いている2020年11月現在でもバンドは存続しているようだし、リリースしているアルバムの枚数も多い。


RAGING SLABの奏でるロックはサザン・ロック/サザン・メタルであり、NYらしさは全く無い。


それも「NYのバンドが南部っぽい音を出してみました」というレベルではなく、かなり本格的に南部を感じさせる音なのである。


このアルバムを初めて聴いた時、当時主流だったLAのバンドが持つ華やかな音とは違い、NYのバンドの音はゴツいなと感じたものである(RAGING SLABの音にはNYらしさは無いのだが)。


実は、上述したNYのバンドのうち、SPREAD EAGLE 以外のCIRCUS OF POWER、LAW AND ORDER、THE LOSTにもRAGING SLABほどではないが、いずれも南部っぽさがある。


筆者が知らないだけで、実はNYはサザン・ロックの人気が高い都市なのだろうか?