Scott Walker〔スコット・ウォーカー〕のことはロックを聴き始めた頃(1980年代前半)から気になっていた。
当時、よく聴いていた英国のニュー・ウェーヴ系アーティストが雑誌のインタビューでScott Walkerへのリスペクトを語っていたからだ。
しかし、当時、Scott Walkerのアルバムを置いているレコード屋が無かったので、聴きたくても聴けなかった。
時代は1990年代になり、今度はブリットポップのアーティストがScott Walkerへのリスペクトを語るようになっていた。
そんなこんなで、筆者のScott Walkerへの興味が最高潮に高まっていた頃、友人の家から車での帰宅途中、ふと立ち寄ったCDショップに「SCOTT」、「SCOTT 2」、「SCOTT 3」、「SCOTT 4」が売られているのを発見し、それら4枚を狂喜乱舞して大人買いした。
そして、今回取り上げた「SCOTT」を車のCDプレーヤーに入れ、再生されたその音が、あまりにも想像していたとおりの音で、思わず笑ってしまったことを昨日のことのように憶えている。
もう、メロドラマ全開というか、涙が糸をひいて流れていくような、大仰なストリングス・アレンジにのせて歌われるScott Walkerの声は、聴く者の心を恍惚とさせずにはいられない、一種の麻薬だ。
それにしても、こういう音(某有名インターネット百科事典によるとバロック・ポップというらしい)が米国人から出されるとは、何とも意外だ。
Scott Walkerが米国人であることは知っていたが、この人から米国らしさを全く感じたことがない。
初期のScott Walkerと言えば、どうしても、フランスのシャンソン歌手Jacques Brel〔ジャック・ブレル〕のカヴァーに注目が集まりがちだが、Scott Walkerの自作曲も全く遜色がない。
英国のニュー・ウェーヴ系アーティストに最も影響を与えた英国のアーティストがDavid Bowie〔デヴィッド・ボウイ〕とBryan Ferry〔ブライアン・フェリー〕であるなら、米国のアーティストでは間違いなくScott Walkerがその筆頭であろう。