今回取り上げるBuddy Holly〔バディ・ホリー〕の1stアルバム「BUDDY HOLLY」は1958年のリリースであり、このブログで取り上げたロックのアルバムの中では最古のものである。
今、1stアルバムと書いたが、Buddy HollyはTHE CRICKETS〔ザ・クリケッツ〕として1957年に「THE "CHIRPING" CRICKETS」をリリースしており、「BUDDY HOLLY」もNiki Sullivan〔ニキ・サリバン/guitar〕、Joe B. Mauldin〔ジョー・B・モールディン/bass〕、Jerry Allison〔ジェリー・アリソン/drums〕というTHE CRICKETSのメンバーを率いて録音されているので、何となく2ndアルバムという印象がある。
以前、#0110でNICKEY & THE WARRIORS〔ニッキー&ザ・ウォーリアーズ〕の「DREAMS」を取り上げた時に、筆者に日本のロックを教えてくれた高校の同級生のK君のことを書いたが、実はK君は1950年代の米国のロックン・ロールやロカビリーにも造詣が深く、今回取り上げた「BUDDY HOLLY」もK君からテープに録音してもらったアルバムである。
K君からBuddy Hollyを教えてもらうまで、筆者の中では「ロックとはTHE BEATLES〔ザ・ビートルズ〕以降」という固定概念があった。
しかし、このアルバム「BUDDY HOLLY」を初めて聴いた時、確かに録音技術の古さを感じたものの、曲の良さが現代(当時は1980年代)でも十分に通用することに驚いた。
THE BEATLESやTHE ROLLING STONES〔ザ・ローリング・ストーンズ〕でお馴染みのヴォーカル、ギター×2、ベース、ドラムスというロック・バンドの基本的なバンド編成は、諸説あるもののBuddy Hollyから始まったと言われており、確かに「BUDDY HOLLY」で聴くことが出来るサウンドはTHE BEATLESやTHE ROLLING STONESの初期のサウンドとかなり似ているのである。
実際にはTHE BEATLESやTHE ROLLING STONESがBuddy Hollyを真似たのであり、THE ROLLING STONESに至っては米国盤の1stアルバム「ENGLAND'S NEWEST HIT MAKERS」の一曲目にBuddy Hollyの"Not Fade Away"を収録している。
後の時代にロック・スターとして大きな影響を与えたのはキング・オブ・ロックンロールことElvis Presley〔エルヴィス・プレスリー〕だが、ロック・ミュージシャンとして大きな影響を与えたのはBuddy Hollyだろう。
このアルバム「BUDDY HOLLY」の目玉は"I'm Gonna Love You Too" 、"Peggy Sue"、"Words Of Love"、"Rave On!"等のヒット・シングルが収録されていることかもしれないが、この時代はまだアルバムのコンセプトという概念が希薄だったせいか、シングルか否かに関わらず、とにかく良い曲の寄せ集めになっているところが凄い。
Buddy Hollyは22歳という若さで亡くなっているのでオリジナルのスタジオ・アルバムは3枚しか残していないのだが、どれを聴いてもまるでグレイテスト・ヒッツ・アルバムのようである。
今回は今日の筆者の気分で「BUDDY HOLLY」を取り上げたが、「THE "CHIRPING" CRICKETS」と「THAT'LL BE THE DAY」の二枚も良い曲の詰まった名盤であることを付け加えておく。