今回取り上げるNatalie Imbruglia〔ナタリー・インブルーリア〕の1stアルバム「LEFT OF THE MIDDLE」は筆者が珍しくジャケ買いをしたCDである。
どこまでも透き通った美しい瞳を持つショートカットの可憐な女の子、このアルバム・ジャケットを見てジャケ買いの衝動を抑えられる人は、きっとどんな時でも沈着冷静でいられる人なのだろう。
筆者はこのアルバムを輸入CDショップで見て、全く知らないアーティストだったのだが、衝動的に買ってしまったのである(ちなみに日本盤はアルバム・ジャケットが違うらしい)。
正直なところ、もし、聴いてみて音楽がダメであったとしても、このアルバム・ジャケットなら、それだけにお金を払う価値があると思ったのだ。
このアルバムは1997年にリリースされているのだが、筆者がこのアルバムを買ったのはリリースから4~5年経過した後だと思う。
そんな時にジャケ買いしたこのアルバムの1曲目 "Torn"を聴き終わった瞬間、大当たりだと感じたことを今でもはっきりと記憶している。
この"Torn"という曲の多幸感は一体どこから来るのだろうか?
この曲はEDNASWAP〔エドナスワップ〕というバンドの曲のカヴァーなのだが、歌詞は、傷ついて終わった恋から立ち直ろうとする女の子の気持ちを歌ったものっであり、けして幸せな内容ではない。
しかし、どこまでも上昇していくような"Torn"の曲調は、アルバム・ジャケットに写る美しいNatalie Imbrugliaとの相乗効果を生み出し、「どんなに苦しくても、諦めずに前に進みなさい」と言ってくれているように聴こえ、極めて感情移入がし易い曲なのである。
"Torn"以外の曲は、全てNatalie Imbrugliaが作曲に関わっている曲であり、意外なほど骨太なロックも収録されていて聴きごたえのある内容なので、けして"Torn"だけのアルバムではない。
"Torn"は人気曲なので、動画サイトで見れるライヴ映像も多い。
普通は時間が経つにつれ、デビュー当時の瑞々しさはどうしても失われていくものだ。
しかし、近年の映像でもこの曲を歌っているNatalie Imbrugliaはデビュー当時と変わらぬ瑞々しさがあり、あの時、衝動的にジャケ買いをさせてくれた女の子のままでいてくれることがとても嬉しく思えるのである。