英国のプログレッシヴ・ロック・バンド、CAMEL[キャメル]と言えば、この2ndアルバム「MIRAGE」を反射的に思い浮かべる人が多いのではないだろうか?
バンド名がCAMELで、アルバムジャケットがラクダの絵であり、その絵がよく見かける煙草の銘柄『CAMEL』のコラージュなのだから、このアルバム「MIRAGE」が思い浮かんでしまうのは仕方のないことだろう。
煙草を吸わない筆者ですら、CAMELとうバンドのことをよく分かっていない時から、CAMELと言えば「煙草のキャメルと同じアルバム・カヴァー」という印象が強かった。
ただし、筆者が初めて聴いたCAMELのアルバムは、「MIRAGE」ではなく、1981年にリリースされた8thアルバムの「NUDE」だった。
その切っ掛けは、プロレスラーの前田日明がCAMEL の"Captured"という曲を入場テーマ曲として使用しており、その"Captured"が「NUDE」に収録されていたからである。
筆者のブログでプログレを取り上げる時に度々登場する、筆者が学生時代にバイト先で知り合ったU君という人がおり、彼のお兄さんは熱狂的なプログレ・マニアなのだが、プロレスも好きな人であり、彼とプロレスの話をしている時に、筆者が「前田日明の入場テーマ曲」が好きだと言ったところ、「その曲、CAMELの曲やで」と言って、彼の膨大なコレクションの中から取り出してくれたのが「NUDE」だったのである。
今でこそ「NUDE」は、コンセプト・アルバムとして、丸々一枚を楽しめるのだが、当時は"Captured"が強烈に好きすぎて、他の曲がどうしても入ってこなかったのだ。
それをU君のお兄さんに言ったところ、彼が「ほんなら、これはどうや?」と言って、またまた膨大なコレクションの中から取り出してくれたのが今回取り上げている「MIRAGE」であり、U君のお兄さんの思惑通り、筆者は「MIRAGE」にド嵌りしたのである。
Andrew Latimer[アンドリュー・ラティマー]のギターを中心に据えた各パートのテクニカルな演奏はスリリングで、聴いた瞬間、一気にこのアルバムの世界に引き込まれるのである。
フルート好きの筆者には、時おり聴けるAndrew Latimerのフルートの音色も聴きどころである。
なお、Andrew Latimerはヴォーカルも担当しており、こちらは弱々しくて全く耳に残らないのだが、「MIRAGE」はヴォーカルを聴くアルバムではないので、それで良いのである。