Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0434) COCKED AND LOADED / REVOLTING COCKS 【2006年リリース】

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REVOLTING COCKS[リヴォルティング・コックス](以下、RevCo[リヴコ])は、MINISTRY[ミニストリー]のAl Jourgensen[アル・ジュールゲンセン]が立ち上げたサイド・プロジェクトということでいいのだろか?


MINISTRY、RevCo、共に、インダストリアル・ロック、或いは、インダストリアル・メタルと呼ばれるジャンルの音楽性であり、筆者の耳では、MINISTRYとRevCoの間に決定的な音楽性の差はないように聴こえる。


MINISTRYもRevCoも、メンバーがコロコロと変わるバンドなのだが、そもそも、これらは、バンドというよりも、Al Jourgensenのソロ・プロジェクトなのだろう。


頻繁に発生するメンバー・チェンジに関しては、MINISTRYの場合は成り行きでメンバー・チェンジが発生しているように思えるのだが、RevCoの場合は意図的にメンバー・チェンジを発生させているように感じられる。


筆者は、MINISTRYに関しては、ニュー・アルバムがリリースされる度に、ほぼ、リアルタイムで追いかけてきたのだが、RevCoに関しては、1990年にリリースされた2ndアルバムの「BEERS, STEERS + QUEERS」を聴いた時に、「MINISTRYだけで充分かな」と感じたので、それきりになっていた。


今回取り上げている4thアルバムの「COCKED AND LOADED」を聴いてみようと思ったのは、アルバム・タイトルがL.A. GUNS[エルエー・ガンズ]の2ndアルバムと同じだったので、ジャンルも音楽性も全く違うことは承知のことながら、何となく気になったのである。


RevCoの「COCKED AND LOADED」は、正直なところ、MINISTRYのどのアルバムよりも良いとは思わなかったのだが、参加しているアーティストが豪華なことに驚かされた。


BUTTHOLE SURFERS[バットホール・サーファーズ]のGibby Haynes[ギビー・ヘインズ]、DEAD KENNEDYSデッド・ケネディーズ]のJello Biafra[ジェロ・ビアフラ]、CHEAP TRICK[チープ・トリック]のRick Nielsen[リック・ニールセン]がRevCoのメンバーとして名を連ねており、ZZ TOP[ヅィーヅィー・トップ]のBilly Gibbons[ビリー・ギボンズ]、CHEAP TRICKのRobin Zander[ロビン・ザンダー]もゲスト(Additional Cocks)として参加しているのだ。


MINISTRYを聴くのも、RevCoを聴くのも、あまり違いはなく、RevCoはMINISTRYと比べると、ちょっと緩いくらいの違いしか感じないのだが、この「COCKED AND LOADED」のように、ここまで多くの大物を迎えているアルバムは、MINISTRYのアルバムでは味わうことができない。


それだけでも、一聴の価値があるだろう。

 

#0433) ILLMATIC / Nas 【1994年リリース】

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今回取り上げているのは、Nas[ナズ]の1stアルバム「ILLMATIC」であり、ヒップ・ホップの歴史における名盤中の名盤である。


ちなみに、Nasのカタカナ表記はナスだったのだが、いつの頃からかナズに変わっている。


たぶん、英語の発音に近づけた場合、ナスではなく、ナズになるのではないだろうか?


まぁ、ナスだと野菜の茄子と同じなので、ナズと濁らせた方がカッコ良い。


話が完全に横道に逸れてしまったが、Nasの「ILLMATIC」と言えば、普段、ヒップ・ホップを聴かない人でも、その存在を知っているのではないだろうか?


普段、ヒップ・ホップを聴かない人、それは、正に筆者のことであり、筆者が日常的に聴く音楽はロックなのだが、「ILLMATIC」に関しては、1990年代にド嵌りしたアルバムなのである。


何故、ド嵌りしたのか?


それは、単純にサウンドがカッコ良いからだ。


何となく感じていることなのだが、「ヒップ・ホップを聴くならリリック(歌詞)を理解しなければ意味がない」という風潮があるような気がしている。


こんなことを書くと、真正のヒップ・ホップ・ファンからは、お叱りを受けるかもしれないが、筆者はヒップ・ホップのリリックに関しては殆ど興味が無い。


英語が苦手ということもあるのだが、筆者は、ヒップ・ホップのサウンドが好きなのである。


ラッパーの声も、曲を構成するサウンドの一部として聴いている。


例えば、ロックの場合、英語の歌詞を理解して曲を聴いている人など、1割もいないと思うし、それを、けしからんと言う人も殆どいないと思う。


ヒップ・ホップも、サウンドだけで楽しんでも良いのではないだろうか?


Nasの「ILLMATIC」は、とにかく、サウンドがカッコ良いアルバムなのである。


このアルバムのサウンドからは、ニューヨークという都会の匂いが漂ってくる。


そして、それと同時に、「都会の汚れ」が、このアルバムのサウンドからは聴こえてくるのである。

 

#0432) STILL LIFE / VAN DER GRAAF GENERATOR 【1976年リリース】

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プログレッシヴ・ロックと言えば、所謂プログレ5大バンドと言われている、PINK FLOYDピンク・フロイド]、KING CRIMSONキング・クリムゾン]、YES[イエス]、GENESISジェネシス]、Emerson, Lake & Palmerエマーソン・レイク&パーマー]の知名度が特出して高いので、その他のバンドが地味に見えてしまいがちだ。


しかし、今回取り上げているVAN DER GRAAF GENERATOR[ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーター]は、CAMEL[キャメル]と並び、5大バンドの次にくる存在感と高い音楽性を持っているのではないだろうか?


筆者もプログレに関しては、圧倒的に、聴くバンドが5大バンドに偏っているのだが、今回取り上げているVAN DER GRAAF GENERATORの6thアルバム「STILL LIFE」は、5大バンドの名盤に匹敵するくらいの回数を聴いている。


VAN DER GRAAF GENERATORを知った切っ掛けは、このブログでプログレを取り上げるときに必ず登場する、筆者が学生時代にバイト先で知り合ったU君のお兄さんからの影響である。


とにかく、U君のお兄さんは熱狂的な、と言うより、狂信的なプログレマニアであり、その上、若くして高給取りだったので、メジャー、マイナーを問わず、膨大な量のプログレのレコードを所蔵していた。


その量たるや、自宅の一室を、プログレのレコード置き場にしていたほどである。


その一室から取り出してくれて、オーディオ・ルーム(これは別の部屋)で聴かせてくれたのが、今回取り上げているVAN DER GRAAF GENERATORの「STILL LIFE」だったのである。


筆者にとってのVAN DER GRAAF GENERATORの良さとは、即ち、ヴォーカルなのである。


正直なところ、筆者は、プログレは好きなのだが、プログレを聴く時にヴォーカルは殆ど聴いていない。


5大バンドでも、演奏と同じくらい歌を聴き入ってしまうのは、YESのJon Anderson[ジョン・アンダーソン]だけであり、他のバンドは専ら演奏を中心に聴いている。


VAN DER GRAAF GENERATORのPeter Hammill[ピーター・ハミル]は、Jon Andersonのような美声ではないのだが、ちょっと狂気を感じさせる凄みがあり、アッパーな時とダウナーな時の振幅が極めて特徴的なのである。


プログレは冗長で...」と思っている人でも、Peter Hammillのヴォーカルなら、けっこう引き込まれて、聴けてしまうのではないだろうか。

 

#0431) THE BEST OF ROUGE / ROUGE 【1975年リリース】

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ROUGE[ルージュ]というバンドを知った切っ掛けは全く憶えてない。


ただ、今回取り上げている彼らの1stアルバム「THE BEST OF ROUGE」を、中古レコード店で見つけたときの衝撃は今でも鮮明に憶えている。


NEW YORK DOLLSニューヨーク・ドールズ]やん!


もう、この一言に尽きる。


NEW YORK DOLLSの1stアルバム「NEW YORK DOLLS」のリリースは1973年、ROUGEの1stアルバム「THE BEST OF ROUGE」のリリースは1975年なので、もう、間違いなくROUGEDOLLSの影響を受けているはずだ。


先ほど「ROUGEを知った切っ掛けを全く憶えてない」と書いたが、たぶん、筆者が1980年代後半に嵌っていた日本のバッド・ボーイズ・ロックン・ロール・バンドのインタビュー記事の中でROUGEの名前が登場していたのではないかと思う。


日本のバッド・ボーイズ・ロックン・ロール・バンドとは、RED WARRIORS[レッド・ウォーリアーズ]、ZIGGY[ジギー]、G.D.FLICKERSジー・ディー・フリッカーズ]、SHADY DOLLS[シェイディ・ドールズ]、MARCHOSIAS VAMP[マルコシアス・バンプ]などのことである(MARCHOSIAS VAMPは違うかな?)。


これらのバンドのインタビュー記事で、1970年代の日本には、村八分[むらはちぶ]、SONHOUSEサンハウス]、外道[げどう]などのロックン・ロール・バンドがいたことを知ったのだが、ROUGEの名前も出ていたような気がする。


それ故、中古レコード店で「THE BEST OF ROUGE」っを見たときに、「えっ、ROUGEって、あのROUGEなん?」ってなったのである。


ROUGEの奏でる音楽はアルバム・カヴァーのとおり、NEW YORK DOLLSに通じるグラマラスなロックン・ロールなのだが、DOLLS以前に、THE ROLLING STONESザ・ローリング・ストーンズ]、THE YARDBIRDS[ザ・ヤードバーズ]、THE PRETTY THINGS[ザ・プリティ・シングス]といった、ブルースの影響を多分に受けた1960年代の英国のロックン・ロール・バンドからの影響が大きいのではないかと思われる。


ただし、このバンド、ブルージーなロックン・ロールをやりながらも、常に、どこかに笑える要素を含んでいるのである。


コミック・バンドではないのだが、人を笑わせようとするエンターテイナーっぷりが凄い。


特に、このアルバムに収録されている"正義のパンツマ"という曲は、何回聴いても「クスクス」と笑ってしまうのである。

 

#0430) KYLIE / Kylie Minogue 【1988年リリース】

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筆者はロックを中心に音楽を聴いてきたリスナーだが、ロックが好きな女子とは付き合ったことがない。


どちらかと言えば、ロックが好きな女子は積極的に避けてきた感がある。


こんな書き方をすると、女子側からは、「こっちから願い下げだよ」とか「付き合ってもらえるつもりでいるよ、この男」って思わる可能性が大きい。


しかし、自分が付き合う女子には、ロックみたいなゴツイ音楽ではなく、もっと可愛らしい音楽を聴いてほしいなと思っていた。


筆者がこれまでに付き合ってきた女子は、ロックはもとより、そもそも洋楽を聴かない人が多かった。


ただし、洋楽は殆ど聴かないけど、ユーロビートは好きだという人は何人かいた。


そんな女子たちが好んで聴いていたのは、BANANARAMA[バナナラマ]、DEAD OR ALIVEデッド・オア・アライヴ]、Rick Astley[リック・アストリー]、そして、今回取り上げているKylie Minogueカイリー・ミノーグ]なのである。


筆者も、当時(1980年代後期)、付き合っていた女子からの影響で、ユーロビートはよく聴いていたのだが、中でもKylie Minogueの1stアルバム「KYLIE」は特に好きなアルバムだった。


当時の女性アーティストのトップはMadonna[マドンナ]だったのだが、筆者にとってのMadonnaは、それほど嵌れないアーティストだった。


Madonnaの曲やパフォーマンスは、脂っこく、胃もたれするような感じがして、アルバム1枚を最後まで聴く気にはなれなかったのだ。


それに比べると、Kylie Minogueの曲やパフォーマンスは、清楚で、清々しい感じがして、ずっと聴いていることができた。


歳も近いので(筆者はKylie Minogueの1つ下)、親近感が持てたというのもある。


MANIC STREET PREACHERSマニック・ストリート・プリーチャーズ]の名曲、"Little Baby Nothing"は、Kylie Minogueにデュエットをオファーしていたそうだ。


もちろん、実際のデュエットの相手となったTraci Lords[トレイシー・ローズ]の歌唱も大好きだし、本当に素晴らしいしい曲だと思う。


しかし、Kylie Minogueとのデュエットが実現していたら、"Little Baby Nothing"がどんな感じになっていたのか、願わくは聴いてみたいものである。