Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0440) TRUE CONFESSIONS / BANANARAMA 【1986年リリース】

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昨日はクリスマスだった。


もう、クリスマス・プレゼントを貰えるような歳ではないし、クリスチャンでもないのだが、クリスマス・シーズンになると、不思議と気分がウキウキして仕方がない。


街中は松任谷由実山下達郎Mariah Careyマライア・キャリー]、WHAM!ワム!]等が溢れかえっている。


筆者は所謂(いわゆる)バブル世代である。


バブル世代のクリスマスの想い出と言えば、彼女と過ごすために、何ヶ月も前からレストランやホテルを予約して、かなり無理をして買った高価なプレゼントを彼女に渡すといった過ごし方である。


レストランを出た後に行くお店も予約しておかなければ、彼女から「段取りが悪い!」と怒られるわけである。


今、冷静に振り返ると、理不尽な話なのだが、当時は、それが当たり前だと思っていた。


そんな日本のバブル期のイメージにがっつり重なるアーティストと言えば、筆者にとってはBANANARAMAバナナラマ]なのである。


BANANARAMAに限らず、英国のプロデューサー・チームStock Aitken Waterman[ストック・エイトキン・ウォーターマン]が手掛けたアーティストは、ことごとく日本のバブル期のイメージと重なる人が多い。


今回取り上げているBANANARAMAの3rdアルバム「TRUE CONFESSIONS」は大ヒット曲"Venus"が収録されていることもあり、殊の外その印象が強い。


数十年ぶりに「TRUE CONFESSIONS」を聴いてみて、ちょっと以外だったのが、思いの外しっとりとした曲が多いことだ。


当時聴いていたときは、もっとイケイケ(死語)な印象があったのだが、"Venus"が飛び抜けてイケイケ感が強いだけで、意外なほど良質なヴォーカル・アルバムなのである。

 

#0439) TURN IT UPSIDE DOWN / SPIN DOCTORS 【1994年リリース】

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今回はSPIN DOCTORS[スピン・ドクターズ]の2ndアルバム「TURN IT UPSIDE DOWN」を取り上げている。


1994年にリリースされたアルバムである。


このアルバムをWikipedia(英語版)で調べると、Genreの欄にFunk Rock、Alternative Rockと書かれている。


SPIN DOCTORSがFunk Rockなのかどうかは不明だが、少なくともAlternative Rockではないような気がする。


#0429でCOUNTING CROWS[カウンティング・クロウズ]を取り上げたときにも書いたのだが、Alternative Rockというジャンルはよく分からない。


Alternative という単語の意味をそのまま捉えるなら「メインストリーム・ロックの代替えとなるロック」という意味なのだろう。


筆者の場合、Alternative Rockというジャンル名から直ぐにイメージできるのは、例えば、THE JESUS LIZARD[ザ・ジーザス・リザード]とかMUDHONEY[マッドハニー]あたりの、ハードコア・パンクをルーツに持つアーティストだ。


SPIN DOCTORSの楽曲は、筆者がイメージするAlternative Rockとは全く繋がらない。


むしろ、メインストリーム・ロックだ。


SPIN DOCTORSのアルバムは、今回取り上げている2ndアルバムの「TURN IT UPSIDE DOWN」と1stアルバムの「POCKET FULL OF KRYPTONITE」しか聴いたことがないので、全く詳しくはないのだが、この2枚で聴けるSPIN DOCTORSの曲はライヴハウスよりもアリーナでの演奏が似合う、昔ながらのアメリカン・ロックなのである。


それも、かなり上質のアメリカン・ロックだ。


この時期(1990年代)のロック系メディアには、「メタルじゃなければオルタナでえぇやん」みたいな雑な感じああった。


SPIN DOCTORSはけっこう売れたはずなので、本人たちがどう思っていたのかは分からないのだが、Alternative Rockという言葉は、たぶん彼らにとってプラスに作用したのだろう。

 

#0438) HUNTING HIGH AND LOW / a-ha 【1985年リリース】

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a-ha[アーハ]がデビューした時のインパクトは大きかった。


今回取り上げている「HUNTING HIGH AND LOW」は、1985年にリリースされたa-haのデビューアルバムだ。


1980年代初期の筆者は、のべつ幕無し、手当たり次第に色々な洋楽を聴き漁っていたのだが、時代は第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンだったので、やはり、英国のアーティストを聴くことが多かった。


中でも、DURAN DURANデュラン・デュラン]、CULTURE CLUBカルチャー・クラブ]、KAJAGOOGOO[カジャグーグー]、WHAM![ワム!]あたりを好んで聴いていたのだが、1980年代中期になると、上記のアーティスト達に陰りが見え始めた。


DURAN DURANAndy Taylorアンディ・テイラー](guitar)とRoger Taylorロジャー・テイラー](drums)が脱退、CULTURE CLUBは看板シンガーのBoy George[ボーイ・ジョージ]がドラッグ事件で逮捕、KAJAGOOGOOも看板シンガーのLimahl[リマール]を金銭トラブルでクビにしてからの活動が上手く行かず、WHAM!は変わらず人気があっのだが何故か解散への道を選ぶことになる。


言うなれば「沈みゆく大英帝国」とう状況だったのだが、そんな時にノルウェーから登場した新星がa-haだったのである。


当時の筆者は文系の授業が嫌いで、中でも地理はまともに授業を聴いていなかったせいか、ノルウェーと言われても、その国が何処にあるのかすら分かっていなかった。


a-haの音楽性を一言で言えばシンセポップということになるのだが、a-haの曲が持つ透明感やキラキラ感は、英国産のシンセポップとは一味も二味も違う新鮮味があった。


デビュー曲"Take On Me"の完成度の高さやミュージックビデオの面白さもあり、彼らのデビュー・アルバム「HUNTING HIGH AND LOW」は即決で購入したのだが、「"Take On Me"は前振りだったのですか?」と思えるほど全ての曲の完成度が高く、この時期に購入した洋楽アルバムの中では最も満足度の高い1枚だったのである。

 

#0437) BLUE MURDER / BLUE MURDER 【1989年リリース】

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ロックの歴史において、1989年は興味深い年だ。


何故なら、1989年には、3つのスーパーグループが1stアルバムをリリースしているらだ。


その3つのスーパーグルーとは、BADLANDS[バッドランズ]、MR. BIG[ミスター・ビッグ]、そして、今回取り上げているBLUE MURDER[ブルー・マーダー]のことだ。


それぞれの1stアルバムは、BADLANDSが3月、BLUE MURDERが4月、MR. BIGが6月、という具合に、かなり近い時期にリリースしているので、アーティストやレコード会社どうしで、何らかの申し合わせがあったのかもしれない。


ちなみに、ベテランでは、BAD ENGLISH[バッド・イングリッシュ]の1stアルバムも1989年であり、翌年の1990年にはDAMN YANKEES[ダム・ヤンキース]が1stアルバムをリリースしている。


上記した、BADLANDS、BLUE MURDER、MR. BIGの中で、筆者が最も期待していなかったのが、実はBLUE MURDERなのである。


何故なら、BADLANDSにはRay Gillen[レイ・ギラン]、MR. BIGにはEric Martin[エリック・マーティン]という歌の上手い専任のシンガーがいたのだが、BLUE MURDERはシンガー探しに難航し、ギタリストのJohn Sykesジョン・サイクス]がシンガーを兼任することになったからだ。


ところが、1stアルバムを聴いてみらた、John Sykesはメチャメチャ歌が上手かったのである。


John Sykesのギタリストとしての腕前やソングライターとしての能力は、既にTHIN LIZZYシン・リジィ]やWHITESNAKEホワイトスネイク]で証明済みではあったものの、ここまで歌が上手いというのは新鮮な驚きだった。


まぁ、冷静に考えてみたら、John Sykesは、あの美しい名曲"Please Don't Leave Me"の作曲者なのだから、歌が上手いのは当然なのかもしれない。


BLUE MURDERの1stアルバムを聴いていると、「どうしてシンガーを探そうとしたの?」と、訊きたくたくなってしまうのである。

 

#0436) SOUTHERN ACCENTS / Tom Petty & THE HEARTBREAKERS 【1985年リリース】

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ハートランド・ロックといジャンルにおける最大の大物は、間違えなくBruce Springsteenブルース・スプリングスティーン]ということになるだろう。


ちなみに、筆者が1番好きなハートランド・ロックのアーティストは、Bob Seger[ボブ・シーガー]だ。


そして、絶対に忘れてはならないハートランド・ロックのアーティストが、今回取り上げているTom Petty & THE HEARTBREAKERSトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ]である。


THE HEARTBREAKERSと言えば、Johnny Thundersジョニー・サンダース]を思い浮かべる人もいるだろう。


筆者は、 Johnny Thundersよりも先にTom Petty & THE HEARTBREAKERSの方を知ったので、Johnny Thunders & THE HEARTBREAKERSの「L.A.M.F. 」を見たときに、「えっ、HEARTBREAKERSって、Tom Pettyだけやのうて、Johnny Thundersのバックもしてはんの?」と混乱した記憶がある。


今では2つが違うバンドであることを理解しているし、ハートランド・ロック(Tom Petty)とニューヨーク・パンク(Johnny Thunders)では、だいぶ違うのだが、2とも大好きだ。


さて、多くの人がハートランド・ロックに持っているイメージとは、どのようなものだろう?


「地方都市の労働者に向けて歌われる男のロック」というのが、多くの人がハートランド・ロックに持っているイメージの最大公約数ではないだろうか?


そして、男のロックでありながらも、同時に、とても女々しいのである。


今回取り上げているTom Petty & THE HEARTBREAKERSの6thアルバム「SOUTHERN ACCENTS」は、筆者がロックを聴き始めた頃に出会ったアルバムだ。


これもまた、女々しさを全開にした男が、切なさを撒き散らす、ハートランド・ロックの名盤中の名盤なのである。