ロックの歴史において、1989年は興味深い年だ。
何故なら、1989年には、3つのスーパーグループが1stアルバムをリリースしているらだ。
その3つのスーパーグルーとは、BADLANDS[バッドランズ]、MR. BIG[ミスター・ビッグ]、そして、今回取り上げているBLUE MURDER[ブルー・マーダー]のことだ。
それぞれの1stアルバムは、BADLANDSが3月、BLUE MURDERが4月、MR. BIGが6月、という具合に、かなり近い時期にリリースしているので、アーティストやレコード会社どうしで、何らかの申し合わせがあったのかもしれない。
ちなみに、ベテランでは、BAD ENGLISH[バッド・イングリッシュ]の1stアルバムも1989年であり、翌年の1990年にはDAMN YANKEES[ダム・ヤンキース]が1stアルバムをリリースしている。
上記した、BADLANDS、BLUE MURDER、MR. BIGの中で、筆者が最も期待していなかったのが、実はBLUE MURDERなのである。
何故なら、BADLANDSにはRay Gillen[レイ・ギラン]、MR. BIGにはEric Martin[エリック・マーティン]という歌の上手い専任のシンガーがいたのだが、BLUE MURDERはシンガー探しに難航し、ギタリストのJohn Sykes[ジョン・サイクス]がシンガーを兼任することになったからだ。
ところが、1stアルバムを聴いてみらた、John Sykesはメチャメチャ歌が上手かったのである。
John Sykesのギタリストとしての腕前やソングライターとしての能力は、既にTHIN LIZZY[シン・リジィ]やWHITESNAKE[ホワイトスネイク]で証明済みではあったものの、ここまで歌が上手いというのは新鮮な驚きだった。
まぁ、冷静に考えてみたら、John Sykesは、あの美しい名曲"Please Don't Leave Me"の作曲者なのだから、歌が上手いのは当然なのかもしれない。
BLUE MURDERの1stアルバムを聴いていると、「どうしてシンガーを探そうとしたの?」と、訊きたくたくなってしまうのである。