BAUHAUS〔バウハウス〕を知ったのは彼らが最初の解散をした後だった。
当時の筆者は、BAUHAUSより少し前に解散していたJAPAN〔ジャパン〕が好きで、そのベーシストであるMick Karn〔ミック・カーン〕が立ち上げた新ユニットのDALIS CAR〔ダリズ・カー〕に参加していた異様な存在感を放つシンガーを知る。
それがBAUHAUSのPeter Murphy〔ピーター・マーフィー〕だった。
そして、DALIS CARでPeter MurphyとBAUHAUSに興味を持った筆者がレコード店に取り寄せを依頼して買ったのが今回取り上げるBAUHAUSの1stアルバム「IN THE FLAT FIELD」だ。
BAUHAUSと言えば、ゴシック・ロックの象徴のようなバンドであり、且つ、「IN THE FLAT FIELD」と言えば、ゴシック・ロックを代表するアルバムである。
BAUHAUSと言えばゴス、ゴスと言えばBAUHAUSと言っても過言ではないだろう。
それにも関わらず、何故かBAUHAUSのメンバーはゴスと言われることを嫌う。
しかし、ここで筆者は当たり前のことを、あえて言いたい。
BAUHAUSはゴスだ。
そして、メンバーがどんなにそう呼ばれることを嫌悪しようが、「IN THE FLAT FIELD」はゴシック・ロックの最高峰である。
このアルバムはとても不思議なアルバムである。
憶えやすい歌メロが一つもなく、全然キャッチ―じゃないのに、収録曲の全てが異様に耳に残る。
否、つまり、それがキャッチ―ということなのだろうか?
否、やはり違う。
気軽に口ずさめるメロディからは程遠いし、総合チャートの上位にランクインされるような音楽ではない。
このアルバムは、呪文であり、呪術であり、儀式である。
2ndアルバム以降は本来の意味でのキャッチ―な要素が入り、聴き易さを増していくのだが、この1stアルバムでは聴き手への配慮は殆どなく、ただただ聴き手を奈落へと沈めていく。
ゴシック・ロックを知りたいのであれば、このアルバムを聴き、BAUHAUSの造った世界に彼らと共に落ちてゆけばよい。