このブログではグレイテスト・ヒッツ・アルバム(所謂「ベスト・オブ・アーティスト名」的なアルバム)を殆ど取り上げていない。
何故なら、グレイテスト・ヒッツ・アルバムはレコード会社による編集盤が多く、オリジナルのスタジオ・アルバムと比べると、そのアーティストの意向が反映されていないような気がするからだ。
しかし、アーティストのタイプによっては、オリジナルのスタジオ・アルバムを聴くよりも、先ずはグレイテスト・ヒッツ・アルバムを聴いて、その後、オリジナルのスタジオ・アルバムを辿るという聴き方をした方が良いケースもある。
例えば、CARPENTERS〔カーペンターズ〕は今回取り上げた「GOLD: 35TH ANNIVERSARY EDITION」という非常に優れたグレイテスト・ヒッツ・アルバムがあるので、これからCARPENTERSを聴いてみたいと思っている人には、先ずはこれを聴くことをお勧めしたい。
筆者はCARPENTERSをリアルタイムで聴いた世代ではないので、CARPENTERSの曲を知ったのはけっこう後になってからだった。
筆者が洋楽を聴き始めて少し経った頃にKaren Carpenter〔カレン・カーペンター〕は他界しており、CARPENTERSに対しては前の時代のアーティストという印象があった。
しかし、1980年代も後半になって、ふとしたことからCARPENTERSの楽曲を聴くことになる。
当時、付き合っていた年上の彼女がCARPENTERSのファンであり、彼女の車の助手席に座っている時にCARPENTERSの楽曲を聴く機会を得たのである。
ちなみに彼女は日本の歌謡曲やニュー・ミュージックを中心に音楽を聴いている普通の女子だったのだが、洋楽ではCARPENTERSやABBA〔アバ〕を好んで聴いていた。
とにかく筆者は彼女のおかげでCARPENTERSの楽曲を何の予備知識もないまま聴くことが出来たわけだが、その完成度の高さに驚かされた。
キャッチーなメロディとそれを引き立てる完璧なアレンジ、そしてKaren Carpenterの美しいアルトとその歌唱力、という具合に足りないものが何もないのである。
更に付け加える魅力としては、Karen Carpenterの聴きとり易く美しい英語の発音だろう。
まるで英語の先生のようである。
CARPENTERSくらい名曲の多いアーティストのグレイテスト・ヒッツ・アルバムとなると、どれを聴いても似たようなものだと思うのだが、Amazon Music Unlimitedで最も見つけ易かったのがこのアルバムだった。
収録曲の全てが名曲だが、とりあえず一曲だけ聴いてみたい人は、1995年にテレビドラマ『未成年』のエンディング曲として使われた曲で、Karen Carpenterが最も愛した曲と言われている"I Need To Be In Love"(邦題:青春の輝き)を聴いてみることをお勧めする。