カナダにNICKELBACK〔ニッケルバック〕という有名な人気バンドがいるが、今回取り上げるStevie Salas〔スティーヴィー・サラス〕がTHE ROLLING STONES〔ザ・ローリング・ストーンズ〕のバッキング・ヴォーカルとして有名なBernard Fowler〔バーナード・ファウラー〕とかつて組んでいたバンドの名前をNICKLEBAG〔ニッケルバッグ〕という。
NICKELBACKとNICKLEBAG、何とも紛らわしい。
今回取り上げるのは、そのNICKLEBAGではなく、Stevie SalasがSTEVIE SALAS COLORCODEというバンド名義でリリースした1stアルバム「STEVIE SALAS COLORCODE」だ。
このアルバムがリリースされた1990年は、1980年代に隆盛を極めたグラム・メタルがじわじわと衰退に向かいつつあり、グランジ/オルタナティヴ・ロックが勃発の兆しを見せつつあった時期だ。
そんなグランジ/オルタナティヴ・ロックへの布石のような形で一つのジャンルとして人気を得つつあったのがハード・ロックやヘヴィ・メタルとファンクを融合させたファンク・メタルである。
「STEVIE SALAS COLORCODE」の音楽性もファンク・メタルと言って差し支えの無いロックだと思うのだが、RED HOT CHILI PEPPERS〔レッド・ホット・チリ・ペッパーズ〕、JANE'S ADDICTION〔ジェーンズ・アディクション〕、PRIMUS〔プライマス〕、FAITH NO MORE〔フェイス・ノー・モア〕あたりの奇想天外なファンク・メタル・バンドと比べると至極真っ当な印象がある。
Stevie Salasは、ファンク界の大物George Clinton〔ジョージ・クリントン〕に見出され、もう一人のファンク界の大物Bootsy Collins〔ブーツィー・コリンズ〕のアルバムでプレイしていた人物なので、ミュージシャンとしてはエリート中のエリートと言っていいだろう。
このアルバム「STEVIE SALAS COLORCODE」を聴いていて極めて印象的なのはリズム・ギタリストとしてのStevie Salasの凄さだ。
もちろん、豪快に弾きまくるリード・ギタリストとしてのStevie Salasも魅力的である。
しかし、このアルバムの聴きどころはリズム・ギターなのである。
たぶん、Stevie Salasは生まれながらにリズム感の良い人だと思うのだが、彼のリズム・ギターには、ちょっと言葉では説明し難い独特のグルーヴがある。
なるほど、Pファンクの大物二人に認められるのも頷ける話である。