#0198) A CAR CRASH IN THE BLUE / ATOMIC SWING 【1993年リリース】

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スウェーデンは、英語を母国語としていない国の中で、最も高い英語力を持っているらしい(そもそも北欧の国々は英語力が高い)。


スウェーデンに限らず北欧の国々は人口が少ないため、その市場が限られており、国内だけでなく世界を市場としたグローバル・ビジネスを国家政策として展開する必要があり、それが高い英語教育に繋がった。


その高い英語教育は音楽産業でも結果が出ており、スウェーデンからはABBA〔アバ〕、EUROPE〔ヨーロッパ〕、THE CARDIGANS〔ザ・カーディガンズ〕等、歌詞を英語で作詞するアーティストが多く、英国や米国でも大きな人気を獲得するアーティストが多い。


特に1990年代以降はスウェーデンから登場するアーティストが急激に増え、最早、スウェーデン出身のアーティストは英語で歌うのが当たり前となり、スウェーデンの母国語が英語であるかのごとく錯覚してしまう時がある。


スウェーデンから登場したアーティストの作品で、筆者が最も衝撃を受けたのは、今回取り上げたATOMIC SWING〔アトミック・スウィング〕の1stアルバム「A CAR CRASH IN THE BLUE」だ。


このアルバムは、洋楽雑誌rockin'onの新譜紹介で高い評価を得ていたので気になっていたのだが、何となく買うのを躊躇していた。


ところが、一時期、一緒にバンドをやっていたT君の家に久しぶりに遊びにいった時に、彼は「A CAR CRASH IN THE BLUE」を買っており、幸運にもこのアルバムを聴かせてもらうことが出来たのである。


そして、こういう言い方はATOMIC SWINGに対し、失礼になるかもしれないが、当時、今ほどロックの先進国ではなかったスウェーデンから出てきた新人のデビュー・アルバムとは思えないその完成度の高さに筆者は完全にやられてしまったのである。


ATOMIC SWINGというバンドの音楽的影響源は未だによく分からないのだが、このアルバムで聴ける音を例えるなら、「ロック大学院でロックの歴史の修士課程を修めた後、ロックの博士号を取得した人が創ったような音楽」と言えば分って頂けるだろうか。


スウェーデンのアーティストには多かれ少なかれそういう部分があるのだが、ATOMIC SWINGはその性質が極端に出ているような気がする。


カセットテープに録音してくれるというT君の有難い申し入れを断り、彼の家から帰る途中でCDショップに立ち寄った筆者は、迷うことなくこのアルバムを購入したのである。