昨日はヒップ・ポップを取り上げたが、今日はクラウトロックを取り上げている。
何故なら、12月以降、筆者の聴く音楽のジャンルが、その二つに集中しているからだ。
今回取り上げているのは、1968年にドイツ(当時は西ドイツ)のミュンヘンで結成されたAMON DÜÜL II[アモン・デュール・ツー]が、1969年にリリースした1stアルバムの「PHALLUS DEI」だ。
もし、筆者のブログをずっと読んでくれている方がおられるなら「またか」と思われるかもしれないが、このアルバムも筆者が学生時代のバイト先で知り合ったU君のお兄さんに教えてもらった1枚なのである。
U君のお兄さんは大のプログレッシヴ・ロック・マニアであり、そもそもご実家が裕福な上に、ご本人も高給取りだったので膨大な量のプログレのレコードやCDを所蔵していた。
どういう訳か、U君のお兄さんに気に入られた筆者は、プログレの名盤を次から次へと聴かされ、彼からの英才教育を受けたのだが、その中で大きな衝撃を受けたアルバムの一つがこの作品なのである。
#0364で、同じクラウトロックであるASH RA TEMPEL[アシュ・ラ・テンペル]の1stを取り上げた時にも書いたのだが、この時代、英国と米国以外の出身で、ここまで個性を確立させたロックをやっていたというのは驚異的だ。
ASH RA TEMPELの1stは1971年のリリースだが、今回取り上げているAMON DÜÜL IIの1stは1969年のリリースであり、THE BEATLES[ザ・ビートルズ]のデビューから、たった7年しか経っていない。
当時の西ドイツの音楽誌はAMON DÜÜL IIのことを「PINK FLOYD[ピンク・フロイド]やTHE VELVET UNDERGROUND[ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド]と比較しても劣らない」と言ったそうだが、AMON DÜÜL IIがこの1stで創り上げたフリーキーなサウンドを聴いた後で、PINK FLOYDの1stを聴くと王道のサイケデリック・ロックに聴こえてしまい、VELVETSの1stを聴くと古典的なフォーク・ロックに聴こえてしまうのである。
ドイツ(西ドイツ)はクラウトロックの誕生以降、1970年代に入りSCORPIONS[スコーピオンズ]、Michael Schenker[マイケル・シェンカー]、ACCEPT[アクセプト]等を、1980年代にはHELLOWEEN[ハロウィン]、GAMMA RAY[ガンマ・レイ]等を輩出し、日本では高い人気を得るようになる。
日本とドイツは近代国家成立の歴史に似ている部分が多いのだが、ことロックに関しては、日本はドイツに完敗しており、これはこの先、何年経っても変わらないような気がする。