サザン・ロックが好きだ。
ロックを聴き始めた1980年代初期、好んで聴いていた米国のアーティストはDaryl Hall & John Oates〔ダリル・ホール&ジョン・オーツ〕、CHEAP TRICK〔チープ・トリック〕、TOTO〔トト〕等、洗練されたポップ・センスを持つグループだった。
当時の筆者は中学生であり、買う、或いは、レンタルするレコードの情報は洋楽雑誌の「MUSIC LIFE」と「音楽専科」から仕入れていた。
そのうち、ロックが好きな大人のお兄さん、お姉さん連中と仲良くなり、ロックの英才教育を受け始めるのだが、お兄さん連中にはサザン・ロック好きが多かった。
そして、サザン・ロックの中でもお兄さん連中から圧倒的な人気を得ていたのがLYNYRD SKYNYRD〔レーナード・スキナード〕だった。
従って、お兄さん連中が筆者に対し、真っ先に薦めてくるくるバンドはLYNYRD SKYNYRD、および、その周辺のバンドなのである。
「その周辺のバンド」の一つが当ブログの#0325で取り上げた38 SPECIAL〔サーティーエイト・スペシャル〕であり、このバンドはLYNYRD SKYNYRDのシンガーRonnie Van Zant〔ロニー・ヴァン・ザント〕の実弟、Donnie Van Zant〔Donnie Van Zant〕がシンガーを務めるバンドだ。
そして、もう一つの「その周辺のバンド」が今回取り上げているMOLLY HATCHET〔モリー・ハチェット〕であり、このバンドはLYNYRD SKYNYRDのRonnie Van Zantに見出されたバンドなのである。
これはもう40年近い昔のことだが、サザン・ロックを初めて聴いた時、そのカッコ良さに痺れたことを今でもはっきりと憶えている。
タフで、むくつけき、南部の男たちに筆者は憧れ、彼らの奏でる荒々しくも情感たっぷりのロックに痺れたのである。
今回取り上げている「FLIRTIN' WITH DISASTER」はMOLLY HATCHETの2ndアルバムであり、トリプル・ギターが炸裂する「これぞサザン・ロック」と呼ぶべき豪快な一枚である。
このバンドは数あるサザン・ロック・バンドの中でもハード・ロックに通じるラウドな音が特徴的であり、後のCORROSION OF CONFORMITY〔コロージョン・オブ・コンフォーミティ〕辺りのサザン・メタルにも影響を与えている。
「FLIRTIN' WITH DISASTER」はダブル・プラチナムを獲得した商業的に最も大きな成功を修めた彼らのアルバムであり、MOLLY HATCHETを聴くなら先ずはこのアルバムからなのである。