今回取り上げているアントニオ・ヴィヴァルディ[Antonio Vivaldi]のヴァイオリン協奏曲集「四季」と言えば、バロック音楽のみならずクラシック音楽の定番だろう。
とりわけ、この曲の幕開けとなる「春」の第1楽章で奏でられるヴァイオリンのメロディは多くの人が口ずさめるのではないだろうか。
今週は、通勤電車の中で、ずっとこの曲を聴いていた。
ここ最近は、かなりの前倒しで、夜が明けきる前に出勤しているため、アホみたいな混み方の電車に乗らずに済んでいる。
そんな穏やかな電車の中では無性にクラシック音楽が聴きたくなるのだ。
とにかく、ヴィヴァルディの「四季」と言えば、多くの人が学生時代の音楽の授業で聴いた経験があるのではないだろうか。
いずれにしても名曲中の名曲なので、誰しも何処かで無意識のうちに聴いていると思うのだが、筆者がこの曲を意識して聴いたのは、中学生の頃に従姉の女の子からこの曲のレコードを貸してもらった時だと思う。
上述した従姉はピアノを習っていたせいか、彼女の家にはクラシック音楽のレコードを沢山あり、音楽好きの筆者のために何枚かのレコードを見繕って貸してくれたのだ。
その中の一枚だったヴィヴァルディの「四季」を聴いた瞬間、「あっ、この曲、知ってる」となったわけである。
この曲はイタリアの室内楽団であるイ・ムジチ合奏団[I Musici]によるレコードが有名で、従姉が貸してくれたのもイ・ムジチだったような気がするが、古い記憶なので朧気だ。
筆者もこの曲はずっとイ・ムジチで聴いていたのだが、最近になって今回取り上げている、ヘルベルト・フォン・カラヤン[Herbert von Karajan]指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団[Berliner Philharmoniker]演奏によるレコードがあることを知り、それ以降、「四季」はカラヤンとベルリン・フィルで聴くことが多い。
室内楽としてこの曲を奏でるイ・ムジチも良いのだが、カラヤンとベルリン・フィルという鉄壁の組み合わせによるオーケストラのダイナミズムにもまた格別な良さがある。
目を閉じてこのレコードを聴いていると、タクトを振るカラヤンと、彼にコントロールされたベルリン・フィルの演奏が頭の中に浮かび上がってくるのである。