平日に筆者が音楽を聴ける時間は通勤中(door to doorで約60分)に限られる。
当然ながら、会社にいる間は仕事をしており、帰宅してからはシャワーをした後、寝る直前まで仕事を続けている(夕食は食べない)。
こんな生活なので、音楽を聴ける通勤中は、筆者にとって貴重な時間であり、聴きたい音楽を集中して聴くことにしている。
今週は月曜から金曜までの間、ずっとインストゥルメンタルばかり聴いていた。
今回取り上げているTORTOISE[トータス]もインスト主体のポストロック・バンドだ。
筆者が音楽を聴く時、ヴォーカルというパートは、それほど重要ではない(ただし、上手な歌を聴くのは嫌いではない)。
筆者がロック等の洋楽を聴き始めたのは1982年であり、13歳(中1)の頃だ。
洋楽を聴く前に最も聴く機会の多かった音楽は日本の歌謡曲なのだが、洋楽を聴き始めてからは、歌謡曲と洋楽を聴く時に、自分が全く違う聴き方をしていることに気が付いた。
歌謡曲の殆どは日本語で歌われているため歌詞の意味が分かるのでヴォーカルを歌として聴いているのだが、洋楽は外国語(主に英語)で歌われているため歌詞の意味が分からないのでヴォーカルを楽器として聴いているのだ。
実は、この聴き方は今も変わっていない。
それ故、筆者にとっては、ヴォーカル入りの曲も、インストゥルメンタルの曲も全く違いがないのである。
今回取り上げているTORTOISEの3rdアルバム「TNT」もインストゥルメンタル・ロックの名盤だ。
このアルバムは当時の新技術であったハードディスク・レコーディングにより制作されているので、そこに焦点があたることが多いのだが、そういった制作手法以前に、メンバー全員が凄腕のミュージシャンであることの方が筆者は重要だと思っている。
TORTOISEは前衛的と言われることも多いのだが、筆者の耳で聴く限り充分にポップだ。
ここまで演奏技術を研ぎ澄ませたミュージシャンの奏でる卓越した演奏は、下手なヴォーカルよりも、よほど多くを語ってくれる。
もし、インストを敬遠している人がいるなら、ぜひ、このアルバムを聴いて頂きたいと思う。