■ 第1位
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title | Low[ロウ] (11th album) |
released | 1977-01-14 |
comment | 今回のリストでは、Lowを1位、"Heroes"を2位としたが、筆者にとってこの2枚は順位が付け難いので気持ちとしては2枚とも1位だ。 録音場所がベルリンだからクラウトロックっぽくなったのか、クラウトロックっぽいものを作りたいからベルリンで録音したのか? このアルバムでのBowieはあまり歌っていないのだが、そこがこのアルバムの良いところでもある。 筆者は、サウンドクリエーターとしてのBowieが好きなのであり、シンガーとしてのBowieには殆ど興味が無い。 従って、このアルバムは、筆者にとって、最もBowieを楽しめる1枚なのである。 |
■ 第2位
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title | "Heroes"[英雄夢語り (ヒーローズ)] (12th album) |
released | 1977-10-14 |
comment | Lowに続きベルリンで録音されたアルバムであり、このアルバムもインストゥルメンタルの比率が高い。 後に(80年前後)に登場するポストパンクやニュー・ウェイヴに対し、大きな影響を与えたアルバムだが、多くのポストパンクやニュー・ウェイヴのアーティストが束になってかかっても太刀打ちできない名盤である。 特に後半のインストゥルメンタル・パートは、陳腐な言い方だ神憑っているとしか言いようがない。 少し乱暴な言い方になるのだが、もし、Bowieがこのアルバムを最後に引退していたなら、現在での評価は更に上がっていたように思えてならない。 |
■ 第3位
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title | Station to Station[ステイション・トゥ・ステイション] (10th album) |
released | 1976-01-23 |
comment | Lowと"Heroes"に続く3部作の最終章はLodgerなのだが、正直なところ、Lowと"Heroes"が放つヒリヒリとしたテンションの高さと比べると、Lodgerはどうにも緩く感じてしまいLowや"Heroes"と同じ気持ちで聴くことができない。 それに対し、Lowの1つ前のアルバムであるこのStation to Stationには、Low~"Heroes"へと続くテンションの高さが既に放たれており、筆者にとってはStation to Station、Low、"Heroes"こそがBowieの3部作なのである。 前作Young Americansに引き続きソウル等ブラック・ミュージックの要素を取り入れながらも、Bowieの歌にはあまり重きが置かれておらず、演奏の面白さの方に耳が魅かれるアルバムである。 |
■ 第4位
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title | Black Tie White Noise[ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ] (18th album) |
released | 1993-04-05 |
comment | 筆者が初めてリアルタイムで聴いたBowieのアルバムは、1983年リリースのLet's Danceなのだが、それに続くTonight、Never Let Me Downの3枚は、いずれも全く良いと思えなかった。 後追いで聴いたLowや"Heroes"と比べると、80年代のBowieは「ほんまにおんなじ人なん?」と思えるほど、凋落の一途を辿っていたのである。 そんな80年代のBowieが復活の兆しを見せた瞬間が一瞬だけあり、それがこのBlack Tie White Noiseだ。 Let's Danceと同じNile Rodgers[ナイル・ロジャース]のプロデュースなのだが、Let's Danceでは嵌らなかったものが、このBlack Tie White Noiseでは完璧に嵌っている。 "Heroes"よりも後のアルバムでは、最後まで集中力を切らさずに聴ける唯一のアルバムである。 |
■ 第5位
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title | Tin Machine[ティン・マシーン] (Tin Machine's 1st album) |
released | 1989-05-22 |
comment | Black Tie White Noiseで復活の兆しを一瞬だけ見せたBowieだが、このTin Machineでその予兆を垣間見ることができる。 たぶん、Never Let Me Downを制作した後に、「この路線が自分に合っていない」と気付いたのではないだろうか? Bowieがソロでの活動を止め、このTin Machineを結成したとき、殆どの人は「どうせ長続きしない」と思ったはずであり、実際にそうなった。 しかし、Reeves Gabrels[リーヴス・ガブレルス](lead guitar)、Tony Sales[トニー・セイルス](bass)、Hunt Sales[ハント・セイルス](drums)という凄腕のミュージシャンと共にロックン・ロールしているBowieには、80年代の不調を吹き飛ばす勢いがある。 ただし、物凄く、バックの演奏に救われているアルバムでもある。 |
今年(2022年)は、お盆くらいから、ずっとDavid BowieのLowと"Heroes"を聴いている。
とにかく、このアルバムは、いつ聴いても凄い。
ロック史に燦然と輝く「永遠の名盤」である。
キャリア初期のシンガーソングライターっぽい時代(1970年前後)や、グラム・ロック時代(1970年代前期)のアルバムも好きなのだが、あまりにも聴きすぎたせいか、今では少々飽きてしまっている。
それに比べ、Lowと"Heroes"の2枚は、飽きるほど聴いているはずなのに全く飽きていない。
20世紀が生んだ天才総合芸術家であるDavid Bowieが、最も音楽的に充実していたときに放ったアルバムがこの2枚であり、あまりにもこの2枚が凄すぎるので、その後は、David Bowie自身ですら、この2枚を超えることができなったのである。